2011.7.8(金)晴れ
峠の名前の由来の多くは峠の下にある村の地名を持ってくるのが多いようだ。坪坂峠も洞峠もそうである。猪鼻峠の麓に猪鼻という地名があれば総てが解決する。ところが丹波側にはそれらしい地名はないし、若狭側は詳しく調べていないので今のところ不明なのだが、どうもありそうではないのだ。仮にそうなると猪鼻峠そのものが猪鼻地名の元となるわけだが、柳田氏の云う「人の住む塙」といえるような地形ではない。困っているときに丹波負笈録、市茅野村の項に次の一文があるのを思い出した。
一ノ端嶺若州坪セキヤ村に一里 間道悪
他の文から嶺はトウゲと読ませ、一ノ端嶺は猪鼻峠のことらしい。一ノ端というのがどういう意味をなすのか不明である。この峠が丹 、若どちらかから見て左端、あるいは右端にあるのなら字のとうりの意味がありそうだが、一番端では無さそうだ。
”一”が市茅野の”市”としたらどうだろう。市茅野、市志、市ノ瀬など市(いち)のつく地名が連なっており気になるところだが、この”市”に何か意味があって、その端にあるということかもしれない。
平凡社の地名辞典には「一ノ端を猪鼻と読ませたものだろう」とある。しかしこれは逆に「猪鼻を一ノ端と書いた」と考えることも出来る。したがって附近には猪鼻という地名は存在しないのかもしれない。存在すれば、「猪鼻を一ノ端と書いた」となるからだ。
柳田氏の云うところの”鼻”は概ね塙の意味で良かろうと思うが、端の意味で使われている”鼻”もあるように思う。また、”猪”を”居”として人が居住するという意味に限定するのはどうかとおもう。
苗代に水を引くところの水口を猪口(いのくち)と言うところがある。この場合”猪”は”井”、すなわち水の湧き出るところという意味だろう。京丹波町の猪鼻を訪れておそらくその中心地だろう、熊野神社があるところの地形を見て驚いたことがある。実はシデの山(睦寄町鳥垣)の地名を調べていて、その茅かきの基地となるべき獅子鼻(シシハナと呼ぶのだろうか)の地形図とうり二つなのだ。両脇から二つの尾根が付き出していて、真ん中に豊かな水量の水が流れているのだ。
熊野神社は右の尾根の末端にあり、その下に豊かな水が流れている。
鳥垣の獅子鼻についてはどれだけの水量か確認していないのだが、いずれ見てみたいと思っている。あまりに例が少なくて言い切れないのだが、「猪鼻」地形とはこういうものを云うのではないかという気がするのである。つづく
【作業日誌 7/8】
看板色塗り
今日のじょん:家の下の道路に人が通るとワンワンと吠える。先日から工事の人が府道の草刈りでうろうろされているんだが一向に吠えない。よーく考えると店に来る人も強面の人には吠えないで、人の良さそうな優しそうな気の弱そうな人にはよく吠える。「それって縦貫道の覆面パトと一緒やないかい」。黒いベンツなど見たこと無いが、小型車に乗ったおとなしそうな人ばかり捕まっている。
あつ~てぐったり。