2016.1.15(金)晴
讀賣新聞の読書欄で見つけた新書である。府内の図書館で探しても既に予約済みである。順番待ちでもいいから予約したら、綾部図書館が購入してくれたようだ。専門的な内容なので2週間では読み切れず、延長しようとしたら、次の予約が入っていた。何と人気のある本なのかと思ったが、結構関心事な事なのかも知れない。
「地球はもう温暖化していない 科学と政治の大転換へ」深井有著 平凡社新書 2015年10月15日初版
今冬の前半は例年にない暖冬で何とも間の悪いときに発行されたものだ。世間では「暖かい冬は温暖化のせいかな」という声をよく聞く。気持は解らないでもないが、気候の変動というものはそんな瞬間的な状況ではかれるものではない。何百年、何千年というスパンで見るべきものだろう。
著者は物理学者で気象学の専門家ではないが気象学者がこぞってCO2による地球温暖化を口にする昨今、冷静な目で気候変動をとらえ、CO2による温暖化と国の政策の欺瞞性を鋭く追及している。
4月に咲くレンギョウが1月に咲いた。
本書を読む動機は、CO2による地球温暖化に大変疑問を持っていたからである。気候の変動という大規模な現象が人間の出したCO2という細分化された個別の事柄で起こるものなのかという疑問である。様々な要素の中の一つであると言うことならまだ理解も出来るが、現状はCO2だけが悪者にされているのである。そうこうしているうちに牛のげっぷなんて馬鹿げた話が出て来たり、今でも真剣に語られているツバルの沈下問題、北極の氷が解けて海面が上昇などという理屈に合わない話が出て来たり、氷河末端の崩壊する映像など見せつけられたりすると国やマスコミの作為を感じずには居られない。
本書の中ではツバルの問題は珊瑚礁の特性として沈まないものとしている。第一海面が上昇したとしてなんでツバルだけが問題視されるのだ。もし海面が上昇したら、日本の湾岸だって海抜0m地帯はいくらでもあるのだから大問題になるはずだ。
北極海の氷の問題だって、確かにシロクマ君は困るだろうがそれが直接海水面の上昇には繋がらない。コップの氷が解けても水はあふれない。現実に北極海の海氷は減少している、しかしそれは気温上昇が原因ではなく海流の影響だという説が有力のようだ。南極の海氷は増加しているという報告もある。また北極のシロクマ君も中世温暖期を生き延びてきているのだから今回も生き延びるだろうと本書は説いている。
ただ、海水面の上昇は氷の消長ではなく海水温による膨張の影響を受けることは間違いない。縄文海進時には数メートルも海水面が上がっていたわけだから。もちろん縄文期に人為的な二酸化炭素の放出ということは無かったはずである。つづく