5年に1度開催される中国共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)が始まる11月9日の直前の時期に、「北京の奥の院」といわれる習近平国家主席執務室の近くで起こった車両突入・炎上事件。
ウイグル独立派の計画的行動と見られている。しかし、「奥の院」が恐れるのは少数民族の反発だけではない。この事件が引き金となり、中国版ツイッター、「微博(ウェイボ)」などのSNSを通じ、四大格差問題に対する不満噴出が連鎖的に拡散する可能性を最も懸念しているのだ。
四大格差とは、中国の東部と西部の間の「東西格差」、都市と農村の「城郷格差」、国営企業と私営企業の「業種間格差」、そして「貧富格差」を指す。
例えば、電力、電信、金融、保険、水道ガス、たばこなどの国有企業の職員は全国職員数の8%にすぎないが、全国職員の給料総額の55%を占めるという「業種間格差」の例。そして、1%の家庭が41.4%の資産を保有しているとの世界銀行の統計が示す「貧富格差」だ。
「城郷格差」も構造的問題に根差す。農民は割り当てられた農地を売却したり賃貸したりする権利がない。地方政府が土地販売を独占することで、地方政府の重要な収入源となっているのだ。
今回の共産党全体会議で、農民が土地の使用権を融資の担保として認める土地改革案なども議論されるようだが、抵抗勢力の地方政府は既得権死守の構えだ。
さらに、この四大格差に対する不満を増幅させ、社会不安の温床ともなっているのが、北京など大都市にまん延する「三奴」の傾向だ。カード、マイホーム、マイカーの奴隷となり、物欲が満たされないと不満を格差問題に置き換え、政府に対する抗議行動を引き起こす。
「奥の院」の長老たちが最も嫌うシナリオであるが、四大格差と三奴が共振すると、今回のような事件に発展する。
「経済の量から質への転換」を目指す新政権が、中国版「成長戦略」をまとめつつある目と鼻の先で起こった車突入劇は、あらためて経済構造改革の難しさを浮き彫りにした。
ウイグル独立派の計画的行動と見られている。しかし、「奥の院」が恐れるのは少数民族の反発だけではない。この事件が引き金となり、中国版ツイッター、「微博(ウェイボ)」などのSNSを通じ、四大格差問題に対する不満噴出が連鎖的に拡散する可能性を最も懸念しているのだ。
四大格差とは、中国の東部と西部の間の「東西格差」、都市と農村の「城郷格差」、国営企業と私営企業の「業種間格差」、そして「貧富格差」を指す。
例えば、電力、電信、金融、保険、水道ガス、たばこなどの国有企業の職員は全国職員数の8%にすぎないが、全国職員の給料総額の55%を占めるという「業種間格差」の例。そして、1%の家庭が41.4%の資産を保有しているとの世界銀行の統計が示す「貧富格差」だ。
「城郷格差」も構造的問題に根差す。農民は割り当てられた農地を売却したり賃貸したりする権利がない。地方政府が土地販売を独占することで、地方政府の重要な収入源となっているのだ。
今回の共産党全体会議で、農民が土地の使用権を融資の担保として認める土地改革案なども議論されるようだが、抵抗勢力の地方政府は既得権死守の構えだ。
さらに、この四大格差に対する不満を増幅させ、社会不安の温床ともなっているのが、北京など大都市にまん延する「三奴」の傾向だ。カード、マイホーム、マイカーの奴隷となり、物欲が満たされないと不満を格差問題に置き換え、政府に対する抗議行動を引き起こす。
「奥の院」の長老たちが最も嫌うシナリオであるが、四大格差と三奴が共振すると、今回のような事件に発展する。
「経済の量から質への転換」を目指す新政権が、中国版「成長戦略」をまとめつつある目と鼻の先で起こった車突入劇は、あらためて経済構造改革の難しさを浮き彫りにした。