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IS:「恐怖の支配」を確立…処刑の執行を「踏み絵」に

2015年03月05日 07時18分37秒 | ニュース
 ◇「もう誰も殺したくない」トルコへ脱出した元戦闘員

 シリアの反体制派勢力が2013年3月に北部の主要都市ラッカを制圧してから2年。同地を「首都」として、テロの脅威を世界に拡散するイスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)が、残酷な処刑の執行を「踏み絵」に戦闘員の忠誠心を試すなど、組織内部でも「恐怖の支配」を確立していることが、ラッカ出身の元戦闘員への取材で明らかになった。子供に対する無慈悲な処刑を迫られ、精神を病むメンバーも出ているという。【シャンルウルファ(トルコ南東部)で大治朋子】

 アブウサマと名乗る男性(26)はトルコ南東部シャンルウルファ郊外のアパートの一室で取材に応じた。「ISの手はトルコにも及んでいる」と語り、部屋の窓に新聞で目張りをしていた。携帯電話には、シリアで活動していたIS時代の写真が残されていた。ラッカの学校関係者のつてで探し当てた男性の証言は客観的で、確認可能な諸情報とも符合していた。

 13年春。ラッカでアサド政権の支配が崩れ、ISら反体制派組織が割拠した。「どの組織も政権の打倒だけを目標としていて、その後のビジョンはなかった。だが、ISにはイスラム国家の建設という明確な目標があり、未来を感じた」。男性は13年6月、ISの戦闘員になった。

 固定給はなく、戦闘に勝つたびに報酬を得た。14年春、東部で国際テロ組織アルカイダ系ヌスラ戦線を撃破した際には600ドル(約7万2000円)、シリア軍との別の戦いでは4日間で1500ドルを手にした。主要産業の農家の月収が250ドルというラッカでは、大きな収入だった。

 ISでは外国人の処刑とは別に市民の処刑も日常的に行っている。戦闘員らに希望を募り、「犯罪者を処刑したい」と書いた紙にサインさせ、登録する。「志願しなければ忠誠心を疑われる。当日まで誰を殺すのかは分からない」。ISは、不信心者を殺せば天国に行けると説いている。

 男性も登録し、14年初め、親欧米の反体制派武装組織「自由シリア軍」の「スパイ」とされた32歳の男性を銃殺した。「後悔はしていない。自由シリア軍は武器を密輸するなど腐敗しているからだ」

 だが、処刑は未成年者にも及んだ。昨年初夏、戦闘員の友人が「神を汚す言葉を口にした」14歳の少年を処刑した。傍らで号泣する母親。外国人戦闘員らの子供は棒で遺体をたたいたり、つついたりした。友人はその後、精神的に不安定になった。

 同時期、北部アレッポ近郊のマンビジュへの遠征時にも15歳の少年の処刑に遭遇した。「70歳の女性から金品を奪い強姦(ごうかん)した」という。疑念を禁じえなかった。少年ははりつけにされ、のど元を浅くナイフで切られ、出血多量で死亡した。腹部には「強奪と強姦」という「罪名」を書いた布が巻かれ、3日間放置された。「母親が毎日、顔を水で洗い、水で唇をしめらせてやっていた。その姿が頭から離れない」

 幹部が「罪」と言えば信じる以外にすべはない。組織には忠誠心を試すさまざまな「踏み絵」が用意され、メンバーは相互に監視し合っている。「不信感を抱けば、自然と態度に出て周囲に感づかれる。今度は自分がやってもいない疑いをかけられて処刑される」

 男性は14年夏、アレッポ北部の村から徒歩でトルコへ脱出しようと決意した。密輸業者を装い、汚れた衣服に大きな荷物を背負って国境を目指した。途中、ISの検問所を通った。担当者は「見慣れない顔だ」といぶかったが、「最近商売を始めました。生きるためです。許してください」と言うと、通行を許された。

 取材の最後に、「イスラム国家の建設」を掲げる別の組織が現れたら再び入るかと聞くと、こう答えた。「入らない。もう誰も殺したくない。毎日、悪夢を見て明け方まで眠れない。信仰は、自分と神の間の問題なのだと感じている」
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特区に外国人・女性呼び込み 政府が追加規制緩和案

2015年03月05日 06時27分03秒 | 行政
 政府は3日開いた国家戦略特区諮問会議で、今通常国会に提出する特区法改正案に盛り込む追加規制緩和の主要項目を決めた。外国人医師がへき地で研修医として働ける仕組みをつくる。都市公園に保育所をつくれるようにして女性の就労も支援する。ただ企業の農業参入を進める規制緩和は難航している。

 特区法改正案はもともと、起業に取り組む外国人の在留資格の緩和などを盛り込んで昨年秋の臨時国会に提出したが、衆院解散で廃案になった。規制緩和の要望がその後も地方から出てきたため、新たな項目を追加して通常国会に提出する。3月中にも特区法改正案を閣議決定する。

 目玉の一つは地方への外国人の呼び込みだ。温泉などを生かした医療ツーリズムで外国人観光客を誘致する場合、医師不足がネックになっていた。戦略特区の有力候補である秋田県仙北市から、国内での診療が制限されている外国人医師を活用したいとの要望が挙がっていた。

 具体的には研修目的の外国人医師を受け入れる「臨床修練制度」を拡充する。現在は外国人医師が働けるのは設備や人材の整った大規模な病院に限られている。戦略特区では指導医さえ確保できれば、地方の小さな診療所でも働けるようにする。

 もう一つの目玉は女性の活躍促進だ。待機児童が多い東京都では、保育所増設用の土地の不足が深刻だ。現状で都市公園は遊具やスポーツ施設しか設置できないが、特区では保育所の設置も可能にする。この取り組みは東京都荒川区が提案していた。

 保育士不足を解消するため、年1回の保育士試験を政令指定都市が独自に年2回実施できるようにする。この制度に基づく「地域限定保育士」は3年間は特区内で、その後は全国で働ける。

 農業分野では課題が残る。農地を保有する農業生産法人に対し株式会社は現状では25%までしか出資ができない。内閣府は50%超出資できるようにする規制緩和を法案に盛り込みたい考えだったが、農林水産省が難色を示しており、決着がついていない。

 戦略特区を担当する石破茂地方創生相は会議後、記者団に対して「農業は多様な担い手があってしかるべきだ」と発言。同日の特区諮問会議では民間議員も「目玉となる規制緩和が必要だ」と述べ、農業分野の改革が必要だと強調した。

 内閣府は「出資要件の緩和は改正特区法が施行されて半年以内に検討する」との文言を法案に盛り込み、改革の方向性を示そうとしている。政府内の最終調整を経て、特区法改正案にどこまで農業分野の改革が盛り込めるかが当面の焦点となる。
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