『蕎麦にこだわる』その20杯目。今回は『あんかけそば』にスポットを当ててみたい。蕎麦屋ては色々とメニューがあるが、同じトロリとした餡が掛かる蕎麦でもカレー南蛮やきのこ蕎麦、かき玉蕎麦などと違い注目されることの少ない、しかし、ほぼ全ての蕎麦屋のメニューに載っているのである。
その不思議を解明すべく、2軒のお馴染みの蕎麦屋をたずねた。1軒目は私が1番昼飯を食べている(小諸そばとほぼ同じくらい)の『おそば高松』、とにかくカツ丼が人気の関東風な味付けの蕎麦屋さん。メニューを見ると冬に人気のトロリ系蕎麦があんかけ(900円)、かき玉(900円)、カレー南蛮(1000円)、おかめとじ(1050円)と揃っている。
注文を受けると結構時間がかかる。そして出された蕎麦は濃い茶系の餡の下に具や蕎麦が沈んでいてしかも餡は熱い。このままでは食べにくいので振りネギと七味をかけてから底の方から麺に箸を入れ、粗くかき混ぜてから食べ始める。しかし、熱い、寒い時にはちょうどいい。
中に入る具はかまぼこ3枚(内1枚は切り方が違う)、椎茸、麩、水菜が入っている。食べていると確かにかまぼこは美味いが3枚は多すぎる。餡は優しい味だが、やはり味が私には少し濃すぎる。とにかく早くは食べられないそばでゆっくりと餡を楽しみながら食べ進める。全体的に私にはやや濃いめの味だが、寒い日にはちょうど良いメニューであった。
次にお邪魔したのが人形町の甘酒横丁にある『東嶋屋』。明治初期創業の老舗である。こちらにもトロリ系のメニューは先程の高松同様にたくさんある。『あんかけそば』(900円)はおかめそばと並んで表記されている。
お願いするとこちらは高松よりは早く出された。見た目は高松とほぼ同じ、ただ、ツユの味は少し薄めである。
こちらもそこに沈んだ麺を引っ張り上げ、混ぜて頂く。具はかまぼこ2.5枚、ナルト、椎茸、麩、水菜、さらに卵焼きが入っていた。ここで私は気がついた。
そうだ、蕎麦屋の定番おかめそばと具は同じ、ただ、ツユがサラッとしたのがおかめそば、トロリとしたのがあんかけそばということである。これならばあんかけそばがあまり注文されなくても問題ない。もちろん仮説ではあるが。
ところで味の方は卵焼きが美味かったこともあり、東嶋屋の方に軍配をあげたい。もちろんどちらも大変美味かったが。ご馳走さまでした。
おそばの高松
中央区日本橋堀留町1ー4ー16
0336611484
東嶋屋
中央区日本橋人形町2ー4ー9
0336666964