『久我山歳時記』㉙、前回このブログを書いたのは8月30日で立秋だった。暑い暑いと言いまくっていたが、やはり秋分の日から1週間で空気が秋になった。少しのズレはあるが、やはり暦は裏切らない。そうこうしているうちに次の季節『寒露』に入ったのが10月8日。
『寒露』はもう晩秋、その意味は『晩秋から初冬の頃に降りる冷たい霜』である。季節を感じながら久我山の街を歩くと『みのりの秋』に遭遇する。
通勤路にいくつかある柿の木には青い柿の実が付いていたのだが、気がつくとオレンジ色になっている。
さらに角を曲がると何度となく枯そうになった葡萄も実が緑から紫色に変わって来ていて熟して来ている。
こちらはまだ緑色だが、なっている数に圧倒されるのがレモン。無農薬の国産レモンは相変わらず高いが、こうやって栽培すればタダで楽しむことができるだろう。
レモンによく似ている実を付けるのが『ムベ(郁子)』、常緑蔓性の木で楕円形の実を秋に付ける。まだ、緑色だが、実ると赤紫色になる。柑橘系かと思うが、アケビの仲間で中には半透明な果肉と種があり、甘い果汁に満たされている。ただ、果肉と種を引き離しにくく、より分けて食べるのは難しいようだ。そのため、果実酒などに加工される。天智天皇の時代に皇室に献上されていた。これは天智天皇が近江国蒲生野というところで狩をした際に長生きをしている夫婦に遭遇、その長生きの秘訣を聞いたところ、ムベの実を差し出した。これを食した天皇は『むべなるかな(もっともであるな)』と言ったという逸話がある。
他にも夏みかんやゴーヤなど食べられる実を付けた植物は以外に久我山には多くある。
さらに高井戸駅近くには栗の林、今がちょうどシーズンである。
10月7・8日は久我山稲荷神社の秋祭り、街中をウロウロしていたらお神輿に遭遇。わっしょい、わっしょいと威勢の良い声が青空の中で響いていた。
いつもこの声を聞くと改めて秋の到来を感じることができる。そういえば人形町の人形市やべったら市ももうすぐ。月日が流れるのが早い。気がつけば歳の市となってしまいそうである。