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敗戦を冷静に見つめれば、アメリカに屈服することを、サンフランシスコ講和条約を結んだ時点で日本は認めたのである。たとえそれがいかに屈辱的な内容であっても、敗戦国として日本はそれを呑んだ。
だけれども、アメリカ追従、はっきり言って属国と堕した自国のことを考えるとプライドは保てない。そのフラストレーションを
「おれたちは確かにアメリカには負けたけれども、別に中国や韓国に負けたわけじゃない」
という、戦勝国に文句を言えないいらだちをアジアに放出するのが日本のナショナリストの姿だと。
とても、納得できます。
この考えを基準にすると、現在の日本が抱える尖閣諸島などの領土問題、拉致被害者、TPPなどに違った側面が見えてくる。原発事故が起こったとき、放射能の情報を、自国民には公表しないのにアメリカに提供していたことも呆れるほど納得できる。
それでもまだ、プーチンが北方領土を返してくれるという期待をふりまくことが、いかに虚妄かも理解できます。よけいな話だけれど、いつ日本は四島一括返還の旗をおろしたのだろう。右翼たちの沈黙が怖いくらいだ。敬愛する現首相の方針なら何でも受け入れるのだろうか。
もちろん、白井の指摘はすでに何度も行われてきたことではないかとする批判もある。白井自身も、それは認めている。しかしこの書が出た途端に論壇騒然、ネトウヨ激昂、という事態を見ると、やはりみんな敗戦国だという事実から目をそむけているのだと再確認できる。
いまさらですけど、必読の書です。