事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「真田幸村の謀略」 (1979 東映)

2016-12-23 | 邦画

 

真田丸」つながりというわけではないけれど、いろんな事情があって拝見。時代劇復活大作「柳生一族の陰謀」の次にシリアスな「赤穂城断絶」をもってきて失敗した東映が、もういちど荒唐無稽なお話で勝負しようとした形跡がありあり。

立川文庫の真田十勇士ものを下敷きにしているので講談調。大河「真田丸」が意図的に離れようとしたストーリーを採用している。もっとも、脚本が笠原(仁義なき戦い)和夫で監督が中島(「狂った野獣」)貞夫なのだから、おおいにひねってある。なにしろ猿飛佐助(あおい輝彦)が異星人で、三好清海入道(秋野暢子)がお姫様ですから。

もっとも大きな改変は、「瀬降り物語」などで中島貞夫がライフワークにしている「サンカ」と呼ばれる山の民(根津甚八←役者じゃなくてキャラの名前ね)や朝鮮人(真田広之)など、虐げられた存在が結束して徳川家康(萬屋錦之介)が象徴する権力に対抗するお話になっている。

サンカの生活は、いけない葉っぱをやっていたり、女性が全裸で水浴びしていたり、確かに魅力的だ。萬屋錦之介は、赤穂城断絶において最初にオファーされたのが吉良上野介役だったのが納得できる悪役ぶり。気持ちよさそうに演じています。

真田幸村を演ずるのは松方弘樹で、父親は片岡千恵蔵。大河の堺雅人と草刈正雄が、いかに軟弱なキャスティングだったかと(笑)。

豪華キャストはそれにとどまらず、加藤清正が丹波哲郎、霧隠才蔵が寺田農、穴山小助が火野正平(すごくいい)、比丘尼のトップに丹阿弥谷津子で林羅山が金子信雄(かなり山守親分が入った演技)の夫婦、後藤又兵衛が成田三樹夫、淀君はなんと高峰三枝子。東映の本気度がわかります。

個人的には幸村の正妻役の萩尾みどりがうれしかった。大好きなんですよ。

「柳生一族の陰謀」で、柳生宗矩(錦之介)の眼前で家光が柳生十兵衛によって首が切られるという驚愕のラストを持ってきたのだから、幸村によって徳川家康の首が吹っ飛ぶオチはむしろ普通に思える。真田丸ロスに悩む方は、一度ごらんになるといいと思いますよ。かなりエッチなので覚悟はしてね。さすが東映時代劇です。

コメント (2)
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