事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

真田丸 第四十九回「前夜」

2016-12-11 | 大河ドラマ

第四十八回「引鉄」はこちら

あ、と思いました。

そうか最終回前にいろんな伏線を刈り込みまくった「前夜」で、三谷幸喜はこれをやりたかったのか。まるでスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーン(彼らの不倫は誰もが知っていながら、誰もが彼らを尊敬していたために報じられなかった)のような、武骨な男と強気な女性のキス。

やられたなあ。男は信繁で女はきり。一年間、このふたりのラブストーリーでもあったとつくづく。視聴者みんなが(うぜーと最初は不評でもあったけれど)きりちゃんがんばれと応援してきた甲斐があったというものだ。

前回の視聴率は16.1%と、ついに「逃げ恥」に追いつかれた。三谷は朝日新聞の連載で、ようやくオンエア時だけの視聴率から、“総合視聴率”という、録画も含めた形での計測が行われたことを歓迎している。作り手の側はそれ言わない約束でしょ、と彼だって思っていたに違いないのに、言わずにおれなかったのだろう。彼がこのドラマに自信をもっていることの裏返し。

今日も素晴らしかった。伏線の数々とは……

・秀吉のためにずんだ餅をふりまいていた伊達政宗は、同じことを信繁の妻と子に行い、信繁へのリスペクトを示す。

・真の裏切り者が織田有楽斎ではなかったことで、「古畑任三郎」「オリエント急行殺人事件」の作家であり、ミステリがお手のものであることを証明。

・姉の松(木村佳乃)は、まさしく祖母のとり(草笛光子)の再来のように、信幸の言葉が聞き取れない。

・そして「黙れ!小童!」を、まさかまさか室賀の息子(西村雅彦にそっくり)に向かって叩きつけることになろうとは(笑)

あまりにおみごとなので、終焉前夜であるとつくづく。うー。今回の視聴率は、17%超えと強気に読みました。

第五十回「最終回」につづく

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「続・深夜食堂」 (2016 東映)

2016-12-11 | 邦画

他地区ではすでにファーストランを終えているけれど、鶴岡まちキネでは12月10日が封切り。初日の一回目に見てまいりましたよ。昨夜の酒がまだ残っているというのに鶴岡まで全速力(いろんな意味で法律違反)。

8割方うまっている客席は、わたしと同世代かそれ以上の方々とお見受けしました。朝8時40分という、午前十時の映画祭もびっくりな時間もなんのその。早起きなわたしたちにはむしろ好都合(二日酔いの日をのぞく)。まちキネもそこはわかっているんでしょうね。

前作と同様、久しぶりの東映三角マークだとしみじみ。監督松岡錠司、主演小林薫、そして常連客たちも同じ布陣。みんないつもどおりであることが強みだ。

今回も三つのチャプターから成る。「焼肉定食」で河井青葉、佐藤浩市(わざと薄っぺらい感じを出すあたり、うまい)、「焼きうどん」でキムラ緑子、池松壮亮、「豚汁定食」で渡辺美佐子、井川比佐志らが演技合戦。

池松壮亮(彼の映画を観るのは今年4本目だ)が、蕎麦屋を守る未亡人(キムラ)の息子として、蕎麦ではなく焼きうどんを深夜食堂で食べるあたり、年上の恋人(小島聖)との関係性を象徴していて芸が細かい。

前作で泣かせたひかるちゃん(多部未華子)が元気だったのがうれしいし、なぜ深夜食堂のお品書きには豚汁定食だけが書いてあるかがオリジナルストーリーで描かれ、これまたグッとくる。

タクシードライバーの片岡礼子、刑事の篠原ゆき子が激しく魅力的でさすが。みんないつもどおりではあるけれども、たとえばおかわりシスターズのひとり、須藤理彩は夫を亡くすなど、役者たちはそれぞれ人間としての重みを増している。

このシリーズ、もっともっと続いてほしい。映画の常連客として、ぜひにとリクエスト。

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