◆経営上の妙味がどれほどあろうとも、カジノは人の不幸と不運を養分にして咲く徒花である。日本経済の定評であった優秀の「秀」の字が悲しい金にまみれ、「銹(さび)」に変わる。見るに忍びない。
……あいかわらず読売のコラム「編集手帳」は冴えている。しかしよく考えると、あの保守ゴリゴリの読売ですらカジノ法案については否定的なのか。というか、カジノ法案については、自民、民進、公明内部でも推進派と慎重派が分かれている。保守革新の二元論ではかたづかないのかもしれない。国会運営を考えると、民進は政権を再奪取するつもりはないようだ。
カジノ法案(正確には統合型リゾート整備推進法案。NHKはカジノ法案とは呼ばずに『カジノ含むIR法案』と気持ち悪く表記)を推進しようとする勢力の主張はつまるところ
・儲かる
これでしょう?メリットはいくらでも思いつく。
・カジノや観光施設の箱ものをつくることで、まず不動産業、建設業が潤う。
・新たな雇用が創出される。
・洗練されたギャンブルを合法化することで、新しい文化が創造できる。
・海外から、特に富裕層を呼びこむ(インバウンド)ことで経済が活性化する。
逆に、デメリットもいくらでも。
・ギャンブルを合法化することで、依存症患者を増やすことになる。
・“質の悪い”海外資本の流入が予想される。
・地元資本(笑)のやくざが、この動きを指をくわえて見ているはずがない。
・治安悪化により、社会的コストが増大する。
・リゾート法の二の舞で、疲弊した地域に廃墟が乱立。
他にも、ネット上ではパチンコとのからみに言及する人が多くて、そんな話なのかなあと違和感。おもてなし感覚でカジノを開帳するとすれば、当然のように(非合法ではあるにしろ)周辺にはセックス関係のサービス業が進出するはずだが。
さて、わたしがこの法案をどう考えているかというと……以下次号。