第四十九回「前夜」はこちら。
いま、目が真っ赤です。妻はしみじみ「いいドラマだったわねえ」と。
いいドラマでした。もちろん今回はどうしたっておなじみの面々が死にゆく話なので、それなりの感慨があるだろうとは思ったけれども、それ以上に、最後の最後まで三谷幸喜らしさが横溢していたことに満足。
たとえば自刃の場面。ことここに至って佐助の年齢を確かめるあたりのユーモアと陰惨な設定の共存。これこそが三谷ドラマ、真田幸村の物語を描く真骨頂だ。そして大河ドラマファンである三谷幸喜だからこそ、数々の新機軸を。
・ドラマ開始前の特報「ダメ田十勇士」で登場した雑兵たち(博多華丸、梅垣ピーナッツ義明など)を、ここで再登場させ、堺雅人と共演させる妙味。
・ディック・フランシスばりに二文字のタイトルを連続(早川書房に仁義はきりましたか)、そしてそれを最終回で「最終回」と三文字にする余裕。
・重要な人物なのに、近ごろ出番が少ないんじゃないかと心配させた竹内結子に用意した大芝居。
そしてわたしがなにより感じ入ったのは、最終回のくせに回想をいっさい入れなかったという矜持だ。
もちろんエンドタイトルでは盛大に流してくれるけれども、普通は名文句を発した人物のそのシーンを挿入させるじゃないですか。それ一切なし。信繁が腹を切るときも、他のキャラがその後どのようになるかだけを暗示して終わる。
もちろん計算違いもこの大河にはたくさんあった。ペース配分がちょっとくるってなかったかとか、戦国なのに(いくら合戦が嫌いだとはいえ)騎馬の場面が少ないのはわたしも不満。
でもね、わたしは五十週にわたってこのドラマを見続けてきてつくづく正解だった。一回も日曜夜にこのドラマを見逃さなかったのは社会人失格だけれども、満足しています。
前回の視聴率は意外に上がらなくて14.8%。うーん、今回は16%台かな。これほど総集編が楽しみな大河はない。また特集します。わたしはこの長大なお話が、最後まで兄弟の物語であったことに感動しています。
総集編「真田丸アカデミー賞」につづく。