事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「穂村弘の、こんなところで」 穂村弘著 KADOKAWA

2016-12-03 | 本と雑誌

資生堂のPR誌(の範疇を大きく逸脱しているけれど)「花椿」に連載された、穂村弘がホスト、撮影が荒木経惟というとてつもなく贅沢な対談集。

花椿かあ、むかし母親も化粧品を買ったときにもらってきていたような。まだ出ているんだな。なんと全盛期には680万部も発行していたという。へー。

この、41人というこれまたとんでもない数の対談相手のなかには、“わたしの範疇”ではない人も多く、漫画家の渡辺ペコ、瀧波ユカリ、エッセイストの平松洋子、メレ山メレ子など、ひょっとして知らないでいたことが損なのでは、と思わされた。なにしろ穂村作品への彼女たちのつっこみがみごとだし。

それにね、荒木経惟(最後の対談相手でもある)の写真がいつもながらすばらしいんですよ。女優は女優として美しいのはもちろん、被写体として慣れていないはずの女性たちが激しく魅力的。これはもう、よほど被写体を、そして写真を撮るという行為を愛していないとこうはいかない。

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さらばカリスマ PART2

2016-12-03 | 社会・経済

PART1はこちら

鈴木氏がセブンイレブンにおいてやってきたのは、まさに“絶対に無理”と言われていたことの連続。

コンビニという業態自体が日本に合うはずがないと思われていたし、きわだっていたのはセブン銀行だ。当初は既存の銀行との連携を(当然)模索したわけだが、紆余曲折があって(時代もセブン銀行に追い風となっていた)自前の銀行を立ち上げることになった。コンビニの顧客拡大にどれだけ貢献したか。

他にも、有名なのが役員試食というやつで、鈴木会長はいっさい妥協しなかった。冷やし中華は11回キャンセルされたというし、チャーハンも1年8か月のあいだ店頭から消えたこともあったとか。

そんな鈴木会長が後継者として指名したのが井阪隆一氏。その井阪氏の社長在任の7年間、セブンイレブンは拡大を続け、利益も最高益を更新し続けた。しかし、鈴木会長は井阪氏に「退け」と命ずる。驚くようなイノベーションを実現できなかったではないかと。納得できなかった井阪氏は……

取締役会で決をとった結果、鈴木氏の人事案は否決され、彼はさっさと辞任を決める。日経の考察は

・イトーヨーカ堂創業家が代替わりし、鈴木会長との関係が微妙になっていた。

・鈴木会長の息子が(実績もないのに)取締役となっていたことで、世襲をねらっているとまわりが感じた。あるいは、そう指摘してセブン&アイの経営に介入したいアメリカのヘッジファンド、サードポイントを煽った人物がいた。

・鈴木氏が強力に推し進めるオムニチャネル(いま、ばりばりPRしてます)に、まわりが懐疑的だった

……いけいけどんどんの時代には、鈴木氏のようなカリスマは確かに必要だったかもしれない。しかしその成功体験が企業を次第に苦しめていく。部下も、カリスマの顔をうかがうことに懸命になる。

ダイエーがそうだったし、後継者を見限って自ら現役復帰した衣料品関係のあの経営者も油断はできない。IT関連なんかそんなのばっかりですもんね。引き際……誰にとっても、いちばん難しいところなのかも。

わたし?石にかじりついてでも働きつづけますよー(若手の「えーっ!」という声が聞こえる)。さて、イノベートはしなかったかもしれないが人柄はいいという井阪氏率いるセブン&アイの将来は?

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