事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

麒麟がくる 第八回 同盟のゆくえ

2020-03-08 | 大河ドラマ

第七回「帰蝶の願い」はこちら

腹黒いっ!

いやなにが黒いって池端俊策さんの脚本だ。ラブコメでさんざんひっぱっておいて、黒々とした背景をラスト10分で一気呵成に。うまい。

だいたい、ラブコメとしてもこのドラマはちょっと異質。キャラがみんな冷静なのである。

政略結婚を十分に承知しながら、織田信長という人物を明智光秀に見てこいと命じた帰蝶(川口春奈)が、見に行ったということはわたしに(嫁に)行けと言っているようなもの、と判断させているし、もう光秀とエッチしたこと確定の駒(門脇麦)もあっさりした別れを受け入れている。

肝心の光秀はどうかといえば、母(石川さゆり)のアドバイスがあって渋々、という都合のいい理屈を与えられている。

にしても演歌歌手の人たちは時代劇に合いますよね。ケレンがあるというか、客をちゃんと意識しているというか。

周到なのは、織田信長が圧倒的に若いのを前面に出したことだ。染谷将太という、何才にも見える異能の俳優を起用したことが最初から効いている。

うつけと罵られながら、海に出て魚を捕り、一切れ一文で売るエピソードからスタート。尾張という国が美濃とちがって海という財産があること、信長が銭のやりとりを知悉していたことを前ふりにしている。うまいなあ。

妻に迎えることとなる帰蝶に

「是非もなかろう」

と語らせて、このドラマのクライマックスが本能寺であることまで再確認。やるなあ。よく考えたら15才の男子に、父親に毒殺された夫をもつ女性をあてがうんですよ。こりゃ、黒くもなります。くどいようですけど、ここは沢尻エリカだったらもっと……

演出もすばらしい。海、道、煙など、これまでのドラマでは達成できなかったであろうリアルな画面の連続。スタッフに「貝合わせ指導」までいる。金かかってます。

第九回「信長の失敗」につづく

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うまい店ピンポイント 春休みラーメン祭りその5 つるおか家

2020-03-08 | 食・レシピ

その4「とみ将」篇はこちら

きのうは鶴岡まちなかキネマで「 i  新聞記者ドキュメント」を妻と。いやはやすばらしい映画。思えば今年はいい映画ばっかり見てるなあ。

ということでせっかく鶴岡まで来たのだからとこちらのラーメン店を。その名も「つるおか家 本店」

人気メニューの味噌ホルモン麺を選択。

ルックスとは違い、意外にあっさりした味。妻も満足しておりました。とにかくここは店内も駐車場もゆったりしていてけっこうです。にしても、平日はすべてラーメンをいただく覚悟なのに、休日もかよ……

ラーメン哲篇につづく

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「i 新聞記者ドキュメント」(2019 スターサンズ)

2020-03-07 | 邦画

正式タイトルは「i 新聞記者ドキュメント」だけれど、画面には筆記体でiの一文字しか出てこない。その意味はラストで明らかになる。

東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者のことは、あなたもどこかで、というか確実に官房長官の記者会見の場で見かけている。いや、画面に抜かれることはないから声を聞いている。

彼女の質問に、菅義偉官房長官は露骨に嫌悪感を示し、スルーしようする。しかし記者はなおも質問をあびせて……

そんな彼女の取材活動を、「A」「放送禁止歌」「職業欄はエスパー」などでおなじみの森達也が追う。

望月記者の原案だった「新聞記者」のドキュメンタリーバージョンでもある。え、日本アカデミー賞で「新聞記者」が作品賞と主演男優賞と主演女優賞?おー、各社持ち回りで授賞してるわけじゃなかったんだね。実はわたしの去年の邦画ベストワンでもあります。キネ旬の順位(11位)は低すぎる。

さて、この映画のなかで望月記者はでかい荷物を抱えて歩き回り、食べ、書き、キーを叩く。なるほど新聞記者ドキュメントだ。しかし彼女は他社の政治部記者とは違い、菅官房長官と関係性が悪化することをおそれない。

記者クラブという悪習に安住している“ジャーナリスト”のようには空気を読まない。しかも、方向音痴。映像の素材として最高だ。

森はこの最高の“主演女優”を、自分の姿もさらすことで冷静に観客に提供する。彼女の孤立と、フリーランスであるがゆえに記者会見場に入れない森(オウム真理教青山総本部の内部にすら招き入れられたのに)のいらだちがシンクロする。

そしてこの作品がすばらしいのは、傲岸不遜な官房長官や首相を支持する層と批判する層のふたつを等価に見ていることだ。複数形Weではなく、あくまで単数、しかも小文字のiでいようという主張だ。

何度かインサートされる魚群の映像。同調圧力の強いこの国で、iでいることはとてもしんどいことだけれども。

2019年キネマ旬報文化映画ベストテン第1位作品。

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うまい店ピンポイント 春休みラーメン祭りその4 とみ将

2020-03-07 | 食・レシピ

その3「花鳥風月」篇はこちら

物理的に最長になるであろうラーメン祭り。計算したら20杯以上食べることになるかも。まあ、山形県はそれを軽く受け止めるラーメン屋の数が。

このお祭りでわたしが決めているのは

・大盛り禁止

・変なトッピング禁止

・同じ店に二度行かない

なんの苦行ですか(笑)

さて、とみ将。これまでのラーメン祭り皆勤賞です。必ず行ってる。大好きなんですよ。なんちゅうか、味がスマートなんだよなあ。路駐するしかないんだけど、客もそれわかっててお行儀がいいのね。

つるおか家篇につづく

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「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」ジーナ・キーティング著 新潮社

2020-03-06 | 本と雑誌

わたしにはビジネス書を読むという習慣がない。というか、役に立つ読書というものにあまり重きをおいていない。経営者のサクセスストーリーから何かを学ぼうなどとは考えたこともない。

でも、この本はめちゃめちゃに面白かった。なにより、Netflixという会社の気風が興味深かったの。

いまや動画配信サービスでトップを走り、自前のコンテンツ「ハウス・オブ・カード」「ROMA」「アイリッシュマン」なども大成功、GAFA(Google Amazon Facebook Apple)と肩を並べるどころか、もうアメリカではFANG(NがNetflix)とくくられるまでの存在になっている巨大企業が、いまでも“とんがった”イメージを保持しているのはなぜなのか、そのあたりが理解できるようになっています。原題はNetflixed(ネットフリックスされた)。

もっとも、ここで扱われるのは起業から動画配信サービスがスタートしたばかりの15年間のお話。この、DVD郵送レンタルで急成長した会社を起業したのは

リード・ヘイスティングス(1960年生まれ)

マーク・ランドルフ(1958年生まれ)

の2名。97年の創業当時、彼らはすでに若くはなかった。ザッカーバーグスティーブ・ジョブズのように、若いころから天才を発揮していたわけではなく、すでに管理職としての経験すらもっていた。

この書では、当時の巨大なレンタルビデオ企業ブロックバスターとの激突が主に語られている。Netflixの郵送レンタルをブロックバスターは最初は歯牙にもかけなかったのに、次第に追いつめられていく状況がすごい。Netflix側も多くのミスをおかすが、ブロックバスター側の方は成功していただけ店舗型レンタルを切ることができなかったと。

いまの日本の現状はどうだろう。

わたしはTSUTAYAディスカスの会員で、TSUTAYA酒田北店の閉店を嘆くものだけれども、まもなく配信が席巻することは火を見るよりも明らか。

それを悲しむだけでなく、日本のクリエイターたちにあきれるほどの資金提供をはじめたらしいNetflixの慧眼と資金力に期待する部分もある。そのセンスが、とんがった企業というイメージを保持するキモなんでしょうね。あ、この本は役に立ってしまった

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うまい店ピンポイント 春休みラーメン祭りその3 花鳥風月

2020-03-06 | 食・レシピ

その2「新月」篇はこちら

濃厚接触を避けろという同調圧力が全開。満員のラーメン屋ってのはその意味でしんどいのかも。人気店ですらすいすい入れる状態はその反映かしら。

花鳥風月に行ってまいりました。券売機に慣れないおばあちゃんたちのあとに並ぶ。

「出でこね!」

食券がでてこないとおばあちゃんうろたえる。

店員は慣れているのであろう。

「食券ボタンを押す前におつりボタンを押したんじゃないでしょうか。もう一度やってみましょう」

そのとおりでした。接客しっかりしてるなあ。

濃厚接触以上に濃厚な辛味噌ラーメンをいただく。おいしい。ただ、置いてあるスポーツ紙がサンケイスポーツだからなあ。あんまり読むとこないんだよね。

とか言いながら、アダルト面をそぉーっと眺めるわたしは、ええそうですオヤジです。帰るころには行列状態。濃厚。

とみ将篇につづく

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うまい店ピンポイント 春休みラーメン祭りその2 新月

2020-03-05 | 食・レシピ

花火東泉店篇はこちら

うまい店ピンポイントと言っているわりに、酒田の名店である新月がなかなか登場しないと思ったでしょ。物理的に無理だったんですよ。この店はほんとにいつも激混み。

営業しているかは店の外側にあるランプ(?)が回っているかどうかで判断。で、たいがい止まってます(笑)。売り切れになるから。

でも近ごろはそうでもない。駐車場は空いてるし、席もすぐに用意されました。日本中が自粛状態なのかなあ。

ワンタンメン。おいしい。すごくおいしい。自宅からも近いし、これからも通うことにしよう……絶対無理。また激混みになるに決まってんだから。ランプ回ってるかドキドキするんだろう。

花鳥風月篇につづく

 

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マイベスト2019 キネ旬洋画篇

2020-03-05 | 洋画

邦画篇はこちら

さあ今度は洋画篇。はたして何本見ているものだか。

1 「ジョーカー」(トッド・フィリップス WB)

2 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(クエンティン・タランティーノ SONY)

3 「アイリッシュマン」(マーティン・スコセッシ Netflix)

4 「運び屋」(クリント・イーストウッド WB)

5 「グリーンブック」(ピーター・ファレリー ギャガ)

6 「家族を想うとき」(ケン・ローチ ロングライド)

7 「COLD WAR あの歌、2つの心」(パヴェウ・パヴリコフスキ キノフィルムズ)

8 「ROMA/ローマ」(アルフォンソ・キュアロン Netflix)

9 「象は静かに座っている」(フー・ボー ビターズ・エンド)

10 「バーニング 劇場版」(イ・チャンドン マイン)

……よかった。こっちはまだ格好がついている。10本中6本見ています。久しぶりにハリウッドが意地を見せた一年だったかも。

そんななか、「ジョーカー」は興行的にも大ヒット。アメコミ原作がトップをとったことよりも、トッド・フィリップスやピーター・ファレリーのような、むかしはとんでもなくくっだらねーコメディを撮っていた彼らが、ここまでの作品を構築したことのほうに底力を感じる。

ケン・ローチ的な、いかにもな巨匠の映画よりも、「ハングオーバー!」や「メリーに首ったけ」を撮っていた連中の作品が上位にいるってのも(ケン・ローチには悪いけど)いっそ爽快な感じ。

タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、見終わってしばらくたってからのほうが印象がいいという珍しい作品(笑)。また見たいなあ。

さあマイベスト2019もラストスパート。次回はようやく最終回です。

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マイベスト2019 キネ旬邦画篇

2020-03-04 | 邦画

世界興行収入篇はこちら

キネマ旬報ベストテン特集号が出てからまもなく一か月。もうそろそろ結果をお知らせしてもいいころかな。ということで2019年に公開された日本映画について、映画評論家たちはこう評価した。

1 「火口のふたり」(荒井晴彦 ファントム・フィルム)

2 「半世界」(阪本順治 キノフィルムズ)

3 「宮本から君へ」(真利子哲也 スターサンズ=KADOKAWA)

4 「よこがお」(深田晃司 KADOKAWA)

5 「蜜蜂と遠雷」(石川慶 東宝)

6 「さよならくちびる」(塩田明彦 ギャガ)

7 「ひとよ」(白石和彌 日活)

8 「愛がなんだ」(今泉力哉 エレファントハウス)

9 「嵐電」(鈴木卓爾 ミグラントバーズ=マジックアワー)

10 「旅のおわり世界のはじまり」(黒沢清 東京テアトル)

……ぼ、呆然。ついにこんな年が来てしまった。わたし、このベストテンの1本も見ておりません

もちろん、メジャーである東宝、東映、松竹の三社の作品が「蜜蜂と遠雷」しかなかったんだからという理屈はある。田舎では公開されていないのがずらりと並んでいるし。

でもね、もうちょっと映画ファンとして嗅覚を働かせる余地はあったと思う。若いもんたちが「愛がなんだ」という作品に熱狂しているとか、「よこがお」の筒井真理子がとんでもないらしいとか、情報はそれこそキネマ旬報やネットで承知しているのに、動きがどんどん鈍くなっている。加齢のせいですかねえ。

ただ、ベストテンの映画と興行成績トップテンの作品が一本もかぶっていないというのはよろしくない事態ではないかと思う。

あ、個人賞も紹介します。主演女優賞は「火口のふたり」(企画は寺脇研さんです)で脱ぎまくった瀧内公美。男優賞は「宮本から君へ」でテレビでも映画でも走りまくった池松壮亮でした。ああ見たかった。

洋画篇につづく

コメント (2)
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うまい店ピンポイント 春休みラーメン祭りその1 花火東泉店

2020-03-04 | 食・レシピ

川柳&ひな祭り篇はこちら

まあいろいろあって急に学校は休業に。誰かさんのパフォーマンスにふりまわされて。しかも失敗してるし。

とりあえずわたしにとってはラーメン祭り開始。世の中の自粛ムードを払拭し、日本経済の……すみませんパフォーマンスです。食いしんぼなだけです。

第一弾は職場近くの花火東泉店。おいしいんだけどいつもすいてます。にしたってこの日、入ってから帰るまで客はわたし1人でした。だいじょうぶなのか。

懸案の、つねにEXILE系のライブビデオが流れているという状況下、スマホを眺めながら岩のり煮干しをいただく。

頭のなかでは、やっぱり煮干し濃度とEXILE濃度って比例してるんだなあと思いつつ。

なんとあの新月篇につづく

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