その1はこちら。
裕福そうな主婦が食料品店でデリバリーを頼む。その住所のメモを見たチンピラ3人がその主婦の部屋に乱入する。そこには結婚したばかりの娘も来ていて、ふたりとも暴行される。
このチンピラのひとりがなんとジェフ・ゴールドブラム。のちに「ザ・フライ」でハエ男になり、「眠れぬ夜のために」で一晩中逃げ回ることになったあの人。っていうか「ジュラシック・パーク」の数学者です。
もちろんこの暴行された母娘はチャールズ・ブロンソンの妻と娘。気弱な設計技師である彼は呆然とする……ただねえ、これは当時から話題だったんだけど、演じているのがブロンソンなので気弱でも設計技師にも見えないんだ(笑)。しかしまあ、後の展開を考えると仕方がないともいえる。
普通の展開なら、ここからブロンソンの復讐劇が開始されると誰だって思う。でも洗練された都会人であるブロンソンはまだ警察に期待している。しかし、現在よりもはるかに危険な街だったニューヨークで、警察は解決を確約することができない。
この映画の周到なところは、登場人物たちにこんな会話をさせていることだ。
「警察官を増やすべきだ」
「増税はごめんだ」
無法の町であることは、市民の選択という側面もあったわけ。
リハビリも兼ねて、ブロンソンは田舎に出張。そこで西部劇のショーを見る。無頼漢に、住民が銃をとって立ち向かうストーリー。テンガロンハットをかぶるなど、絵に描いたような田舎者である取引先の社長からブロンソンは拳銃をプレゼントされる……
この映画は、あざといぐらいに都会と田舎を対比させている。新しいアメリカと古いアメリカといってもいい。仕立てのいいコートを着ていかにもニューヨーカーなブロンソン(見えないけど)と、開国以来の銃依存に疑問を持たない西部人とか。
そして、ようやくブロンソンは行動を開始する。以下次号。