まいめの池の紅葉を撮影した。
まいめの池は、長野県松本市安曇・乗鞍高原の中央部を占める一の瀬園地(標高1,500m)にある小さな池。周辺には、「あざみ池」「どじょう池」「偲ぶの池」等、幾つかの池があり、それぞれ特徴があるが、「まいめの池」は池畔の木々の映り込みが特に美しく、トンボの撮影も含めて頻繁に訪れる撮影スポットのひとつである。
新緑も良いが紅葉の季節はまた格別だ。標高が高いので紅葉の時期が早く、例年10月上旬に紅葉が始まり中旬にピークを迎える。シラカバと紅葉のシンメトリーが美しく、快晴無風の朝ならば放射冷却で冷え込むため、池面から立ち上る水蒸気が陸上の冷たい空気に触れて霧となり、幻想的な光景となるのである。
今回は、トンボやチョウではなく、久しぶりに自然風景との真剣勝負。見頃の時期を待って、フルサイズ機種の Canon EOS 5D MarkⅡ を持って出掛けた。
10月17日雨の土曜日。午後から会議のために出勤。自宅から車で会社に向かい、退勤後は自宅に戻らずにそのまま長野へ向かった。中央道諏訪SAで夕食をとり、松本ICで降りて乗鞍高原へ。国道158号線(野麦街道)は、傾斜のある急カーブが多く、またトンネルが狭い。この2~3年で何回走ったか分からないほど通い慣れた道だが、真っ暗な夜道は、いつも怖さを感じる。前後を走る車はなく、時々対向車とすれ違う程度。闇に吸い込まれていく。
乗鞍高原の一の瀬園地に22時に到着。車を降りて見上げれば、快晴の空に満天の星。乗鞍岳の右方向に流れる天の川。写真に撮ろうと思ったが、気温7℃。寒さと疲労に負けて断念。4時半にアラームをセットして就寝。朝、目覚めると、駐車場には全部で3台。想像していたよりも、かなり少ない。気温は3℃まで下がっていた。5時。準備を整え、懐中電灯を頼りに池まで歩く。先客は4名。挨拶を交わした後、とりあえず池のほとりに三脚を立て夜明けを待った。
まいめの池の全貌が明らかになり、撮影可能になった午前5時半。撮影開始である。快晴無風で冷え込んだ朝ならではの池から湧きたつ靄が、幻想的な雰囲気を醸し出している。さざ波一つない水面は、水鏡となって柔らかな秋の色彩を映している。6時55分。池のほとりの紅葉に朝陽が当たり始める。今度は、キラキラと輝く秋の色彩が水鏡に映し出された。
乗鞍岳の紅葉は、シャトルバスで乗鞍スカイラインを通ると赤いナナカマドが美しい。一方、乗鞍高原では、ダケカンバやミズナラの黄色がほとんどを占めるため、色彩的には物足りなさを感じてしまう。ただ、一の瀬園地には、紅一点の絵になる「大カエデ」があり、丁度、見頃と思われたが、おそらく、どのように撮っても他の方々と対して変わらぬ絵になるので、今回は、「まいめの池」だけに集中した。
以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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コメントありがとうございます。
久しぶりに自然風景を撮ってきました。あちこち流し撮りするのではなく、
今回は、まいめの池に絞っての撮影です。
乗鞍高原は、すっかり秋色に染まっておりました。
東京奥多摩や多摩NT の紅葉が待ち遠しいですね。
もう乗鞍はこんなに黄葉しているのですね。
いつもの様に朝早く撮影なさると
こんなに幻想的なお写真になるのですね。
写真というより絵画のように趣きのある
作品になっていてとても素晴らしいです。
乗鞍には10年程前の夏に行き、一ノ瀬園地やあざみ池辺りを歩きました。夏と秋では
全く異なった印象です。
これからは風景の写真を見せて頂くようになるのですね。楽しみです。
久しぶりに昆虫ではなく、風景だけ、
しかも「まいめの池」に絞って真剣に撮ってきました。
水鏡と秋の色合いを日本的色彩にまとめました。
この秋から冬は、これまで撮っていない場所へ行ってみるつもりです。
綺麗な風景を紹介できると良いのですが・・・
特に池・湖等の水鏡を写すときは、どんなに綺麗な写真でも、水面に傾きがあれば不自然になってしまい残念なものになってしまう。
しかしながら、水準器を使ってカメラを水平垂直にしても、構図によっては、人間の目の錯覚によって傾いて見えてしまう場合もある。
フィルムでは修正ができないが、デジタルの場合は、現場でモニターに映して「見た目」の自然さを重視したり、RAW現像の際に微妙な修正を加えることもある。
この「まいめの池」も写真も修正を加えている。つまり、実際は水準器に逆らって、カメラは傾いているのである。