ウラナミシジミ Lampides boeticus (Linnaeus, 1767) は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)/ウラナミシジミ属(Genus Lampides)に分類され、河川敷の草地や樹林地、都市の公園などでも普通に見られるチョウで、翅の裏に薄い褐色と白のしま模様があり、和名の由来となっている。幼虫はエンドウ、アズキ、クズなど、野菜・山野草を問わずマメ科植物を幅広く食べ、エンドウ、サヤエンドウ、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、タヌキマメ、ソラマメ等の害虫としても有名である。
オスとメスの翅裏の模様に違いはないが、翅表は、オスは淡紫色で外縁のみ細い暗色、メスは広く暗褐色で翅の中央部が青紫色で、後翅外縁に沿って白く縁どられた黒点列が目立つ。
ウラナミシジミは、秋になると東京や東北、稀に北海道でも見ることができるが、実際は九州南部、四国の南部、紀伊半島の南部、伊豆半島南部、そして房総半島の南部が分布域である。分布域では、4月から12月までに年6~7回発生をするが、羽化した個体の一部が、春から秋にかけて食草であるマメ科植物の成長に合わせて世代を繰り返しながら個体数を増やし北上することによって他の地域でも見ることができるのである。房総半島に発生した個体が北上し、東京に現れる成虫が三代目くらいと言われている。
越冬態は、最近の研究では成虫、幼虫、卵といった様々な姿で越冬していることが分かっているが、本種が越冬できるのは上記分布域のみで、寒冷地では越冬できずに死滅してしまう。晩秋までどんどん北上して冬が来るとそこで死に絶えるが、翌年も北上を繰り返すのである。
ウラナミシジミの北上は、アサギマダラが春に北へ向かい秋に南へ帰る「移動」とは違う。食草と生育に適した気温の土地へと、一部が北だけではなく四方八方へと、その強い飛翔力で拡大しているのである。
温暖化の影響により、南方系のチョウが分布域を北方に広げていく現象が知られており、日本国内では、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、クロコノマチョウ、ムラサキツバメなどが
代表的な例で、ナガサキアゲハにおいては、各都市の年平均気温が約15℃を超えると侵入し生息することが判明している。
ウラナミシジミの北上と温暖化の関係は明らかではないが、将来的には、温暖化によって東京や東北の気候が生育に適するようになれば、越冬しその地域で繁殖する可能性はあるだろう。
参考文献
北原正彦, 入來正躬, 清水剛(2001) 日本におけるナガサキアゲハ(Papilio memnon Linnaeus)の分布の拡大と気候温暖化の関係. 蝶と蛾(日本鱗翅学会誌)52(4):253-264.
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ウラナミシジミ(オス)
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ウラナミシジミ(オス)
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ウラナミシジミ(オス)
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ウラナミシジミ(オス)
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ウラナミシジミ(オス)
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ウラナミシジミ(メス)
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ウラナミシジミ(メス)
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ウラナミシジミ(メス)
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ウラナミシジミ(メス)
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