サツマシジミ Udara albocaerulea albocaerulea (Moore, 1879) は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)/タッパンルリシジミ属(Genus Udara)のチョウ。南方系で、本州(三重、和歌山、広島、山口の沿岸部)、四国と九州の沿岸部等に分布しているが、近年では、温暖化の影響により、大阪府南部や静岡県の藤枝市でも見ることができる。食樹は、サンゴジュ、クロキ、モチノキなどである。
サツマシジミは2015年から追いかけ、2015年5月に三重県で、今年の5月に高知県で撮影しているが、何れも翅裏の様子だけ。過去には、和歌山へ2回、高知と三重にも1回ずつ遠征しているが、この時は出会うことさえ叶っていないチョウである。普通種ではあるが、生息場所が限られており、また遠方であるため発生のタイミングがつかめないことが原因であろう。
今年は、新型コロナウイルスの感染予防のための自粛と長梅雨の影響で、チョウの撮影予定をすべて中止にしていた。唯一、5月の高知遠征時に、偶然イシガケチョウを撮っただけであった。今回、
このサツマシジミの開翅写真を撮ることを主目的として、和歌山県を訪れた。単にチョウの姿を撮るだけならば、出会いさえ叶えばそんなに難しくはないが、ゴマシジミを代表するように翅を全開にして止まることが少ない本種の開翅写真撮影は、長年の大きな課題である。
この地は、今回で3回目の訪問である。タムロンのAF70-200mm MACRO レンズを使うのも、随分と久々である。前日入りして車中泊。朝7時から探索を開始した。日当たりの良い道をゆっくりと歩きながら探すとクロマダラソテツシジミ、ヤマトシジミ、ヤクシマルリシジミ、ウラナミシジミは多いが、本種は見つからない。この道には、ほとんど花が咲いていないので、探索場所を変え、センダングサの花が沢山さいている草地に絞ることにした。ただし、山の影になっているため太陽が当たるのは9時半を過ぎてからになった。
朝日が当たり始めると、様々なチョウたちがセンダングサの花で吸密を始めた。一番多いのはヤクシマルリシジミである。10時をすぎて、ようやくミゾソバで吸密している1頭のサツマシジミ(オス)を見つけた。この日は10時の時点で気温が23℃。活性が高いためか翅を開いてくれない。他に個体は見当たらない。翅表は、最後にほんの少しだけ垣間見られた程度で、林の上へ飛んで行ってしまった。
来年は、秋の高知にてヘイケボタルの幼虫観察を予定しているので、サツマシジミも探しに行って見ようと思う。
以下には、サツマシジミ(2015年撮影を2枚含む)の他、今回見られたクロマダラソテツシジミ、ウラナミシジミ、ヤマトシジミも掲載した。クロマダラソテツシジミは、翅裏の模様に個体変異(変異と言うより、低温期型の特徴と教えて頂いた。)があり、ヤマトシジミのメスは青い鱗粉がのった低温期型であることが分かる。尚、ヤクシマルリシジミは次の記事で紹介したいと思う。
お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。
サツマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(撮影地:和歌山県 2020.10.24 10:06)
サツマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320(撮影地:和歌山県 2020.10.24 10:08)
サツマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 640(撮影地:和歌山県 2020.10.24 10:21)
サツマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:和歌山県 2020.10.24 10:21)
サツマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2000(撮影地:三重県 2015.5.17)
サツマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2000(撮影地:三重県 2015.5.17)
クロマダラソテツシジミ(低温期型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:和歌山県 2020.10.24 10:21)
クロマダラソテツシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2000(撮影地:和歌山県 2020.10.24 9:22)
ウラナミシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 160(撮影地:和歌山県 2020.10.24 7:33)
ウラナミシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250(撮影地:和歌山県 2020.10.24 7:34)
ヤマトシジミ(低温期型メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1000(撮影地:和歌山県 2020.10.24 9:48)
ヤマトシジミ(低温期型メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1600(撮影地:和歌山県 2020.10.24 9:50)
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2020 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます