今日は札幌彫刻美術館→札幌宮の森美術館の2箇所。
まずは彫刻美術館「前田哲明彫刻展」。
2年に1度選考される「本郷新賞」を受賞した作家の展覧会である。まず美術館の前庭に大きな土器が何か巨大な力で引き裂かれたような作品が展示されている。
美術館に入ると、また少し傾向は変わる。「Untitled 05」は花束を包むラッピングのような赤い円錐形が、軽やかにステップを踏んでいる。そして「Untitled 2003-alternative take-」という作品にはビックリだ。2階の床をぶち抜き、天井に突き抜けているかのような8本の鉄のインスタレーション。大迫力に圧倒される。
受賞作は栃木県の駅前にあるのでもちろん展示されていないのだが、マケットと説明書きがあった。リーフレットを見て、色が派手すぎではと思っていたのだが、栃木カラーを色々検討した結果作られたようだ。
予想以上の存在感が感じられる展覧会に満足し、宮の森緑地を下る。今日初めて知ったのだが、住宅地の中を貫いて緑地帯があるのだ。その両端にはいずれも本郷新作品が展示されている。
続いて宮の森美術館「ヤノベケンジ展:トラやんの大冒険」へ。
この作者のチェルノブイリを訪問する「アトムスーツ・プロジェクト」はもちろん知っていた。しかし展覧会のリーフレットを見て、その社会派ぶりとは違い、今回は随分子供向けの展覧会だなと漠然と思っていた。
ところが実際に見ると大違い。展示は「禿げた鉄腕アトム(失礼)」のようなトラやんが、空から落ちてきた小さな太陽を持って冒険に出かけるという童話的ストーリー。しかし途中にはさみ込まれている「第5福竜丸」「太陽の塔」の写真を見たり、小さな太陽がぬすっとネズミに悪用されるのを見ると、エネルギー問題と科学技術利用の善悪について意識せざるを得ない。
作者はこのストーリーに合わせて各地でロボット、方舟などのインスタレーション作成をしており、パッと見にはおもちゃ展示のようで入り易いが、実は深いテーマを常に語りかけてくるのである。
ところでぬすっとネズミは例の「ネズミーランド」の暗喩ではないかと思うのは、考えすぎかな?
今日はいずれも面白い展覧会で、足を運ぶ価値があった。