三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

オテアライ ハケン 不二家

2007年01月19日 | 政治・社会・会社

 企業の経営者には社会的責任があり、企業の規模が大きくなるにつれて責任も重くなり範囲も広がっていきます。大企業の経営者ともなれば、その発言や行動が社会的政治的な影響力を及ぼし、場合によっては国際関係を変化しうることを常に自覚していなければなりません。
 という、私たち庶民にとっては当り前のように思える理屈ですが、当の経営者の方々はあまりそんなふうには考えないようです。有名な圧力団体のオテアライとかいう会長さんは、社会的責任どころかご自分の会社では偽装請負という違法行為によって労働者を安くこき使い、巨額の利益を出しています。オテアライさんは日本の法人税の実効税率が20%もないことを当然ご存じだと推察申し上げますが、にもかかわらず日本の法人税は高過ぎるから下げるように政治的圧力をかけていまして、なかなかちゃっかりしています。それにしてもいったいどれだけ儲ければ気がすむのでしょうか?
 このオテアライさんのすごいところは、それでなくても偽装請負をやって人件費を極限まで削って無慈悲に労働者を働かせているのに、まだ飽き足らずに今度は正社員からも人件費を削ろうと自律的労働時間制度の法制化を画策してきました。ここまで徹底していると、誠に見上げた根性であると、半ば呆れつつ、感心してしまいます。この制度は英語でホワイトカラーイグゼンプションと表示されることが多いように、アメリカの意向をそのまま実行しようというものです。郵政民営化と全く同じ構図です。世界中から嫌われているアメリカの意向に従うことが日本にどれほど不利益をもたらすかなど考えもしないでただ従うのは頭がどうかしているとしか思えません。
 同じように頭がどうかしているとしか思えないのが、ハケン会社経営の奥谷禮子とかいう人で、この人はホワイトカラーイグゼンプションに賛成どころか、労働基準法も労働基準監督署も要らないと言っています。さらに土日祝日も不要で、労働者は一日24時間365日を好きなように働けばいいと、出来るはずもないことを前提に、労働者に不平や不満があるなら民法で解決できると言っております。民法で解決できるくらいならサービス残業や過労死や過労自殺はなかったであろうことを理解できないんですね。

 こんな人たちが会社を経営できる構造があるということです。それは安倍ちゃんが総理大臣になれる構造と同じで、命令されると従ってしまったり、物事を丸く収めようとしたり、強権と暴力を恐れたりする、そういう意識構造が社会の根底にあるということです。

 そしてその意識構造というのは、裏を返せば強権と暴力の側に立ちたいという願望にもなります。不二家に対するバッシングは自分の日頃の行いを省みない無知な庶民にとってはここぞとばかりにストレスを発散できるからでしょう。どうにもならないくらい低レベルな話です。

 休日に訪れたレストランで、店員の態度が悪いといって周囲の迷惑を顧みずに怒鳴りまくっている中年男がいました。この人が日頃どれだけ立派な行いをしているのか知りませんが、店にはいって来た時の横柄な態度といったら、それはすごいものでした。もちろん店員さんはそれなりに対応しようとしていましたが、多分顔に出ちゃったんでしょうね。訓練不足ではありますが、そうはいっても普通の人の感覚なら顔に出るだろうなと思えるくらい、中年男の態度は異常に不愉快なものでした。こんな客がいてかわいそうだなと思いました。

 無論、不二家もかつての雪印と同じように、同情の余地などまったくありませんが、直接に迷惑をこうむったわけでもないそこらへんの有象無象が批判するのは、このレストランの中年男とまったく同じで、非常に低レベルだと思います。
 日本人は一体どうしちゃったんでしょうね? それとも昔からこの程度だったのかな?