お笑い芸人ムーディー勝山の右から左へ受け流す歌がウケています。何かわからない何かを訳のわからないまま左へ受け流してしまう歌ですが、受け流す対象を特定したバージョンもありまして、それが権威であったり人気絶頂のものや人であったりしても、お構いなしに左へ受け流してしまいます。一発芸であり他に応用の利くものでもなく、本人に器用さもありそうではないのでゲッツ!やフォーッ!の人たち同様あまり長く持たないかもしれませんが、とにかく売れている間になるべくたくさんのものや人を受け流して欲しいと願っています。
考えてみれば、お笑いというものは前向きなもの、積極的建設的なものはほとんどなく、現在の世の中を笑い飛ばす、どちらかと言えば後ろ向きの文化なんですね。その象徴的なものがムーディー勝山のような気がします。
仕事をしているときに、前向きでない発言や行動をすると、すぐに非難されます。苦情対応で、後ろ向きの対応をしたら、それは大変なことになります。
「人間というものはそもそも救われないどうしようもない存在で、自己中心のエゴイストばかり、思いやりの欠片もなく批判をしたら怒る、ほめてもらわないと怒る、人に認められないと生きていけない、人のことは認めない、悪口が大好きで、嫉妬深く、いつも人の不幸ばかり祈っている、世の中はどんどん悪くなるばかりだし、戦争はなくならないし凶悪犯罪もなくならない、まもなく人類は滅亡するでしょうが、反省もしないし改善もしない、だから気に入らなかったらもう二度と利用しないでください」
そんなふうに言えたらどんなにかスッキリすることでしょう!
多分、仕事をしている人たちはみな、それに近いことを思っていると思います。もちろんそんな思いを表面に出す訳にいかないので、じっと胸のうちに秘めているわけですが、お笑いの後ろ向きな部分が、鬱憤を晴らしてくれるんですね。だから可笑しく感じるんです。
それにしても、世の中、少しは後ろ向きになってもよさそうなんですがね。あまりにも、前向きなことばかりが求められて、疲れてしまいます。