映画「海難1890」を見ました。すばらしい映画だと思います。
内野聖陽さん演じる日本の医者が、遭難したトルコ人士官に対して言う「守りたいのは、この村の真心だ」という言葉に、この映画のテーマが集約されています。
ネタバレになりますが、明治天皇に謁見した後、祖国トルコに帰還する船が台風で座礁。600人以上の乗組員の大半は亡くなってしまいますが、浜に打ち上げられた人々もいて、それを発見した村人たちは自分たちの生活を犠牲にして彼らを助けます。船を守りきれなかった自分自身に対して憤り、生き残った部下や村人に八つ当たりをする士官。彼に対して村人の思いを伝えるのが先の言葉です。それはまさに、優れた外交官の言葉そのものです。
ところが大変残念なことに現地トルコで行なわれたプレミア上映会をエルドアン大統領とともに鑑賞したわれらが暗愚の宰相安倍晋三は、以下のコメントを発表して、スットコドッコイぶりを遺憾なく発揮してしまいました。
「1985年3月、トルコによる日本人救出の際、外務大臣であった父・安倍晋太郎の秘書官として、私はこの歴史的瞬間の話を耳に致しました。あの時の感動と感謝の気持ちは今でも忘れませんし、今、プレミア上映を一緒に拝見をさせて頂きまして、あの時の感動・感激が再びよみがえって参りました。日本とトルコの人々は熱く温かい気持ちを持ち、お互いを助け合う強い絆で結ばれています。日本とトルコは広いアジアを東西から支える2つの翼です。エルドアン大統領とともに手を取り合って、日本とトルコが作るその2つの翼をより強く大きく、羽ばたかせていきたいと思います」
出典:http://www.kainan1890.jp/report/index.html
政府の一員だったにもかかわらず、何もできずに本当に恥ずかしかったとでも言うならわかりますが、当時の自分たちの責任は棚上げにして、しかも「アジアを東西から支える2つの翼」などと、よく臆面もなく言えるものです。
あの時は派遣できなかった自衛隊機をこれからは派遣できますとでも言いたいのでしょうか。映画は、国と国との紛争はフセインのような暴力ではなく、外交的努力によって互いに分かり合うことが、遠いけれども一番確実な道なのだということを伝えています。誰が観てもわかることです。暗愚の宰相安倍以外は。
反省という言葉はアベの頭の中にはないんですね、多分。