三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

現場社員は辞めていくだけ

2016年02月14日 | 政治・社会・会社

ある会社の本部の幹部社員を集めたミーティングで、代表取締役が次のように言いました。

「現場社員は辞めていくだけだ。給料が安いとかなんとか言って辞めていくだけだ。だから現場の人間の言うことなんか聞く必要はない。現場の言い分を聞いても店はよくならない」

2016年2月11日放送の「カンブリア宮殿」に静岡県のたこ満という会社が紹介されていました。その会社の経営理念は次の通りです。

「ひとりのお客様の満足と、ひとりの従業員の幸せ」

経営者としては相当覚悟を決めた経営方針です。人を相手の商売ですから、従業員が幸せでないとお客様を満足させられないと、明快かつ論理的な経営方針ですが、これを実行するのは本当に難しい。日本の風土だからできることでもあると思います。冒頭の会社の経営者とは正反対の考え方ですね。

翻って、冒頭の会社の「現場社員は辞めていくだけ」という社長の見解はトップダウンの経営方針で、力ずくで言うことを聞かせようとするやり方です。見ているうちは言うことを聞くけれども、目を離すと言うことを聞かなくなる可能性があります。そして近くにいる幹部は全員、面従腹背となります。ある程度の規模までは成長するでしょうが、それも年間数百億円の売上まででしょう。それ以上の規模では、末端社員まで自発的に働くようなシステムが必要で、そういうシステムはトップダウンの経営方針とは相容れないものです。
この会社はいずれ空中分解する運命にあると思います。そのほうがいいのかもしれません。こういう会社が消滅して、たこ満のような会社が増えていくことを世の中は歓迎するでしょう。