三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

手嶌葵コンサート

2018年08月26日 | 映画・舞台・コンサート
 有楽町のヒューリックホール東京の手嶌葵のコンサートに行ってきた。
 手嶌葵のコンサートはこれで6回目だ。自分ではそれほどファンではないつもりだったが、6回も行くというのは、それなりに気に入っているからだろう。それをファンというのであればファンかもしれない。
 とにかく歌唱法が独特なのである。オペラ歌手の歌は自分の喉を楽器として演奏しているということらしいが、それでも歌を聴くと、演奏というよりも歌っているように聞こえる。ところが手嶌葵の歌は、本人は歌っているつもりらしいが、歌っているというよりも演奏しているように聞こえる。一切しゃくらずにいきなり出る高音といい、ほとんど息を吐いているだけみたいな低音といい、手嶌葵にしかできない歌唱法だと思う。たぶん天性だろう。
 コンサートではやたらに歌詞を間違える。以前は、間違えると歌い終わってから恥ずかしそうに歌詞を間違えましたと報告していた。今回も間違っていたが、何事もなかったように次の曲にいっていた。毎度のことなのでいちいち報告しないことにしたのだろう。
 今回のコンサート会場はヒューリックホール東京だったが、Googleの予定表に予定を入力したときに、場所の欄にヒューリックと入力すると浅草橋ヒューリックホールが候補に出てくるので、そのまま登録してしまった。そして基本的にGoogleの予定表で動いているので、恥ずかしながら、入力を間違えた浅草橋ヒューリックホールに行ってしまった。中に入るとハロウィンかと思うほど変な仮装をした人ばかりで、手嶌葵の静かなコンサートには似つかわしくない。これはもしかしたらヒューリックホールは別にあるのかと検索したら、ヒューリックホール東京が有楽町にある。財布の中のチケットを確認すると、やはりヒューリックホール東京となっている。
 開場から開演までは1時間ある。電車に乗って余裕で間に合ったが、開演ギリギリに行っていたらチケットを無駄にするところだった。Googleを安易に信じ切っていたことを反省。そして予定だけでなく、その他のことについてもインターネットを安易に信じていることに気づいて、少し愕然とした。気をつけよう。

映画「2重螺旋の恋人」

2018年08月26日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「2重螺旋の恋人」を観た。
 https://nijurasen-koibito.com/

 いやはや、なんとも凄い映画を観せられたという気分である。観賞前の印象は、公式ページや紹介文から、双子の精神科医とそれぞれに関係を持った女性が主人公の心理サスペンスという感じだったが、実際に鑑賞してみると、サスペンスというよりもホラーな内容で、結構怖い。
 物語は途中まではリアルな感じだが、ふたりの精神科医が双子だと、主人公が知ったあたりから現実と夢と幻想または回想の境目が曖昧になっていく。そして誰が真実を言っていて誰が嘘を吐いているのか、わからなくなってしまう。それはある意味、人生の真実かもしれない。
 疑問はたくさん残る。女にとって愛とセックスは別のものなのか。精神科医は女の欲望さえも操れるのか。結末の意味は一体どういうことなのか。
 私には真相がよくわからないままに映画が終わった感じだが、突き詰めて考える気にはならない。人間というものは、欲望を満たすにも相手が必要だ。承認欲求も、場合によっては愛も、相手が必要である。結局他者の存在なしには欲求を満たせないのだ。禅のような、ひとりで究極まで考察して心理に至ろうとする生き方もあるにはあるが、主人公はまだ若くて、他者の存在を超越する方向には解決を求めない。或いは他者を意識することなしには生きられない。悲劇は他者である双子の精神科医に由来するのではなく、そもそも主人公自身が内包していたと考えれば、この作品の世界観が見えてくる。