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フルキャスト、処分中も労働者派遣…再び事業停止へ

2008-10-01 18:31:57 | Weblog
フルキャスト、処分中も労働者派遣…再び事業停止へ 2008年9月29日 
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080928-OYT1T00734.htm
産経 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080929/crm0809290942002-n1.htm
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080929AT1G2900V29092008.html
朝日 http://www.asahi.com/national/update/0929/TKY200809290054.html
 厚生労働省は、日雇い派遣大手「フルキャスト」(東京都渋谷区)に対し、2度目の事業停止命令を出す方針を固めた。
 同社が昨年、違法派遣で事業停止となった期間中も派遣を続けるなどしたためで、同社の全支店で来月上旬から1か月の処分となる見通し。日雇い派遣業界では、最大手だった「グッドウィル」が度重なる違反で廃業に追い込まれており、フルキャストへの再度の事業停止が、規制強化の流れをさらに加速させる可能性もある。
 フルキャストは昨年3月、労働者派遣法が禁じた建設、警備業に労働者を派遣したとして厚労省から事業改善命令を受けながら、同5には、違法な港湾作業に労働者を派遣。これを受け、厚労省は同8月、同社に改めて事業改善命令を出した上で、違反があった3支店に8月10日から2か月、残る313支店に同1か月の事業停止を命じた。
 しかし、同社はこの期間中にも、命令に違反して労働者派遣を続け、違反件数は900件を超えていたとされ、厚労省は、改善のための努力が不十分で悪質と判断したとみられる。
 厚労省は同社の弁明を聞いたうえで、来月初めにも、東京労働局から1か月の事業停止命令を出す方針。命令が出れば、同社は新たに派遣契約を結んで労働者を派遣することができなくなる。同時に、違反の原因究明と再発防止の措置を求める事業改善命令も出される見通しだ。
 フルキャストによると、同社の支店は現在、全国に156店あり、稼働する派遣労働者は1日8000人前後。日雇い派遣を原則禁止する厚労省の方針などを受け、中長期派遣への切り替えを進めているものの、現在も派遣労働者の4割程度を日雇いが占める。
 フルキャスト広報室は、読売新聞の取材に「現時点で事実を確認できていない。弊社は事業改善命令に対する改善結果報告をすべて終了しており、信頼回復に努めている」などとコメントした。

フルキャスト、事業停止命令へ 経営への影響深刻 2008年9月30日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080930AT1D2906129092008.html
 事業停止期間中に新たな労働者派遣をしたとして、フルキャストが厚生労働省から2度目の事業停止命令を受ける見通しになった。同社は10月1日までに厚労省に弁明書を提出するが、停止命令を受ければ顧客離れなど経営への影響は必至だ。
 フルキャストによれば、厚労省が指摘したのは2007年8―9月の事業停止期間中に合計961件の新規派遣をしたこと。同社は派遣が新規ではなく継続だったと弁明すると見られるが、厚労省の見方を覆すのは難しそうだ。



 日雇い派遣大手のフルキャストですが、なんとなんと、業務停止処分中も約170社・900件程度の新規日雇派遣を行っていたことが発覚しました。
 まあ、依頼する側もハローワークの日雇労働者の供給機構が大幅に衰えているからこそ、違法であることを承知で依頼するのだとは思いますが、今度は2度目ということで、本当に1ヶ月の処分で済むのかも正直疑問ですし、前回の処分の時と異なり、今回は既にグッドウィルが廃業して、他の民間事業者には日雇い派遣需要を受け入れるキャパシティがあるとはとても思えないだけに、日雇い派遣で働いている方も、その日雇派遣要員を受け入れる企業の側も大混乱しそう。
 まあ、フルキャストを処分するのは致し方ないと思いますが、日雇労働で生活している方が生活に困って高利のお金を借りるような事態に追い込まれたり、あるいは人手を確保できないために事業者が経営破綻することのないように、国の方で最大限とりうるバックアップ機能を整備した上で、厳正に処分を行って欲しいものだと思います。

留学仲介大手のゲートウェイ21が破産申請へ 前払い金、戻らない可能性

2008-10-01 18:23:15 | Weblog
留学仲介大手が破産申請へ 前払い金、戻らない可能性 2008年9月29日
朝日夕刊 http://www.asahi.com/national/update/0929/TKY200809290172.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080929-OYT1T00467.htm
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/today/news/20080929k0000e040062000c.html
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080929/biz0809292022008-n1.htm
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080930AT1G2903W29092008.html
 海外留学仲介大手の「ゲートウェイ21」(東京都新宿区)が営業を停止し、近く東京地裁に破産を申し立てることが29日わかった。負債総額は約12億9千万円にのぼるとみられ、留学予定者の前払い金約9億5千万円が返還不能に陥る可能性がある。同社を旅行業登録している都は情報収集を始めた。
 同社は、留学希望者に海外の語学学校やホームステイ先を紹介するとともに、受け入れ先への講習費や滞在費の支払いを代行して、仲介手数料を受けとっていた。代理人の弁護士によると、渡航先の受け入れ先への支払いが滞り、留学生らの受け入れを拒否されたことが破綻(はたん)につながったとみられるという。負債額の内訳や債権者数を調べるなどして、破産申し立ての準備を進めているという。
 同社ホームページ(閉鎖)によると、同社は1997年創業で、アメリカ、オーストラリアなど10カ国以上に毎年計約1万人の留学生を送り出しているという。東京・銀座や名古屋、広島、福岡など全国約10カ所に支社があり、社員数は約140人。民間信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、07年6月決算で年商は28億円。
 同区新宿4丁目のゲートウェイ21本社入り口には、今月26日付で「営業停止」を知らせる紙が張られ、「現地向け送金分の資金調達がかなわず、商品供給が困難となった。留学予定や返金に関する問題は後日開く債権者集会で説明する」と書かれていた。
 愛知県の女性会社員(27)は09年1月からカナダに約1年留学する予定で、今年3月に約130万円を支払った。しかし、今月、同社のホームページが削除されていたため、不審に思い、名古屋支社を訪れ、入り口の張り紙で事態を知った。「最近まで勧誘していた。信じられない。支払金が保証されるのか確かめたい」と話した。
 都消費生活総合センターには08年度に6件の相談があり、解約後に返金が進まないケースもあったという。同社など約1200社が加盟する日本旅行業協会(事務局・東京)によると、旅行業界は原油の値上がりや消費の冷え込みでかなり厳しい状況にあり、突然、倒産するケースもあるという。



 海外留学と一言に言っても、何十年も前ならともかく、現代では大半はこういった留学仲介業者経由で留学しているのではないかと思いますが、その留学仲介大手のゲートウェイ21が突然営業を停止して近く破産を申し立てることが判明。留学予定者の前払金9億5000万円が焦げ付く可能性が高くなりました。
 また、この会社の場合、現地向け送金が止まったことで、現在留学している留学生にも被害が及ぶ可能性が高く、その被害額は更に拡大する恐れが高いのではないかと思われます。
 それにしても、この会社。『留学NPO法人の「日本留学推進協会」から、最も国際基準に合致した留学システムと推薦を受けた』ことを最大のアピールにしているようですが、実はゲートウェイ21のHPだけでなく、日本留学推進協会のHPにもアクセスできなくなっているんですよね…(滝汗
 ひょっとしたら単にアクセスが集中してつながらないだけかもしれませんが、ごくごく個人的には、両社が共謀して利益をむさぼり、あげく経営が苦しくなったからトンズラした可能性もあるのではないか…と一応は疑っているのですが、さすがにそこまで勘ぐるのは失礼というものでしょうか…。
 英会話学校の場合は、まだネットで噂を拾うこともできますが、海外留学となるとその地域の治安や各種手続きなどいろいろと判断しなければならない材料が多く、どうしても名前が目に付く業者に頼りきりになリがちだと思いますが、『預かった資金の保全方法はどのように行っているのか』なども、今後は旅行会社と同様に厳しくチェックしなければならない時代になったのかもしれませんね…。

注:ゲートウェイ21も日本留学推進協会も中々ネットでヒットしない中、ゲートウェイ21が代理店募集に使っていた資料をネット上で見つけましたので、リンク先を紹介します(私が両社がグルである可能性を疑った理由は、このパンフでやたらと日本留学推進協会の名前を強調する形でゲートウェイ21社が自社の宣伝を行っているからです。もし日本留学推進協会が真に第三者的な立場をとる組織なら、ここまで両社の関係を強調されれば、逆に癒着しているのでは…と疑われることを恐れ、止めさせるように苦情の1つも入れるのではないでしょうか…。)
→ http://chikyu.gateway21.co.jp/merit.pdf

日経平均反発 終値108円高の1万1368円

2008-10-01 18:10:53 | Weblog
日経平均反発 終値108円高の1万1368円 2008年10月1日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081001NT001Y05201102008.html
 1日の東京株式市場で日経平均株価は5営業日ぶりに反発した。大引けは前日比108円40銭(0.96%)高の1万1368円26銭だった。前日の米株式相場が米金融安定化法案の成立期待で急伸したことが下支えした。日経平均が前日に大幅下落した反動もあり、銀行株や輸出関連株など主力株を中心に買い戻しが優勢となった。東証株価指数(TOPIX)は6営業日ぶりに反発した。
 ただ、8時50分発表の9月の日銀企業短期経済観測調査(短観)で大企業製造業の業況判断指数(DI)がほぼ5年ぶりにマイナスに転じるなど景況感の悪化が意識され、新たな買いは見送られた。日経平均は徐々に伸び悩み、前日の下げ幅(483円)の約2割を戻したにとどまった。
 焦点の米金融安定化法案の修正案は成立への期待が強まっているが、「修正案の具体的な内容を見極めるまで動きづらい」との声も多く、様子見ムードは強かった。東証1部の売買代金は概算1兆9998億円と2日ぶりに2兆円を下回った。売買高は概算19億3670万株。

大企業製造業の景況感、5年ぶりマイナス 9月の日銀短観 2008年10月1日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081001AT3L0101I01102008.html
 日銀が1日朝発表した9月調査の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でマイナス3となり、前回6月調査に比べ8ポイント悪化した。マイナスに転じるのは2003年6月調査(マイナス5)以来ほぼ5年ぶり。世界的に景気減速懸念が強まったうえ、米金融不安を背景にした株安・円高も企業の景況感を下押しした。3カ月後の先行きはマイナス4と悪化を見込んでいる。
 DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。9月26日にまとめた日経QUICKニュース社の調査では、大企業製造業DIの市場予想平均はマイナス2だった。
 大企業製造業を業種別にみると、特に一般機械や精密機械の悪化が目立った。北米での販売不振が響き、自動車も3四半期連続で悪化した。業種別の先行きでは造船・重機等や金属製品など8業種で悪化した。

景況感「悪化」が81% 9月の日銀生活意識調査 2008年10月1日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081001AT3L0104L01102008.html
 日銀が1日発表した9月の「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年前に比べて現在の景況感が「悪くなった」と答えた人の割合は81.0%と、前回6月調査から12ポイント増えた。増加は5四半期連続で、2006年6月から調査方法を変更しているため単純に比較できないが、調査開始の1996年3月以降で最高となった。これまで最も高かったのは99年2月調査の78.1%だった。
 原材料価格の高騰を受けた企業の価格転嫁が進み、食料品や日用品など身の回り品の値上げが相次いだことから消費者心理の悪化が続いている。現在の物価が1年前よりも「上がった」との回答は2.5ポイント増の94.6%に達し、前回調査に続き過去最高を更新した。
 一方、先行きの景況感は改善。1年後の景況感については現在よりも「悪くなる」との回答が57.9%と、過去最高だった前回調査から2.6ポイント減少。1年後の物価が「上がる」との回答も過去最高の前回から7.7ポイント減の81.2%になった。




 1日の日経平均は、前日483円下落した反動や、NYダウも485ドル高と前日の下落幅の6割戻しとなったことを受け、開始直後に11456円64銭まで上げる場面もあったものの、金融安定化法案の成立を見定めたいと一進一退ムードとなり午前は139円高で終了。
 午後になってもその流れは変わらず、結局2割戻しの108円40銭高に留まる1万1368円26銭で終了したようです。
 まあ、米国の金融安定化法案の様子見の他にも、先日発表された失業率の上昇や8月の鉱工業生産指数が過去最大の下げ幅を記録したこと、本日発表の日銀短観の企業の景況感を示す業況判断指数・大企業製造門部門まで5年振りにマイナスに転じたことや、個人向けの日銀生活意識調査でも『現在の景況感が悪くなった』と答えた人が過去最高となってしまったことなど、これでもかとばかり、マイナス材料が続出している状態ですし、株価を上昇させるには具体的な材料がどうしても欲しいということなんでしょうね…。

金融大手デクシアにも公的資金、欧州市場の動揺収まらず

2008-10-01 12:06:37 | Weblog
金融大手デクシアにも公的資金、欧州市場の動揺収まらず 2008年10月1日
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080930-OYT1T00652.htm
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080930AT2M3003N30092008.html
毎日 http://mainichi.jp/select/biz/news/20081001k0000m020110000c.html
 株価が急落していたフランス・ベルギー系の金融大手デクシアは30日、フランス、ベルギー、ルクセンブルクの政府から公的資金注入を受け入れるなどして、総額64億ユーロ(約9600億円)の資本増強を行うと発表した。
 28日の金融大手フォルティスに続く公的資金による救済で、米金融危機に端を発した欧州市場の動揺は収まっていない。
 デクシアは信用低下で資金繰りが悪化する懸念が出ていたため、3か国の政府首脳らが30日未明、対応を緊急協議した。総資産は日本の大手銀行並みの約6200億ユーロ(約93兆円)にのぼり、破綻(はたん)すれば影響が大きいとして、救済に踏み切った。
 欧州市場では、ベルギー金融大手のKBCなどの株価も財務内容への懸念などから急落しており、公的資金による救済がさらに広がるとの観測が浮上している。
 一方、アイルランド政府は30日、同国内を本拠とする主要銀行のすべての預金と、銀行の債務の一部を今後2年間、全額保証すると発表した。保証額は4000億ユーロ(約60兆円)にのぼる見通し。個人に加えて、法人預金なども対象で、地元の金融システムを守るための極めて異例の措置だ。
 アングロ・アイリッシュ銀行などの株式が売り込まれ、預金流出も相次いでいることから、緊急措置に踏み切ったとみられる。



 フランスとベルギーの政府系金融機関が合併してできたデクシアについては、前日のブログでも公的資金投入の可能性があることについて触れたのですが、投入額は総額64億ユーロ(約9800億円)になり、そのうちベルギー政府と仏政府が30億ユーロずつ、ルクセンブルク政府が3億7600万ユーロ負担することにしたようです。
 欧州の大手金融機関の場合、ベネルクス3国にまたがっているフォルティスなど、国をまたぐ場合も少なくないのですが、5月14日に発表された第一四半期決算で、実質ベースの純利益が14.5%減少するなど、確かにサブプライム損失の影響は出ていたとはいえ、純利益&最終利益共に黒字を維持していた金融機関に対して、しかも3国間の調整が必要だったはずなのに、あっという間に公的資金の投入を決めるスピードにはただただ驚かされます。
 一方、アイルランドでは、先日ロイター経由でグリトニル銀行の75%の株式を政府管理下に置く(http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/n_bank2__20080929_3/story/29reutersJAPAN339898/)ことが発表されましたが、こちらも、アイルランド国内を本拠とする主要銀行のすべての預金と、銀行の債務の一部を今後2年間、全額保証する追加対策を打ち出したようです。
 う~ん。なんでこの問題の当事国のアメリカよりも、欧州の国の方が、イザというときの対応が早いんでしょう???

米金融安定化法案、市民の抵抗感強く 「税金で救いたくない」

2008-10-01 11:59:36 | Weblog
米金融安定化法案、市民の抵抗感強く 「税金で救いたくない」 2008年9月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080930AT2M3000X30092008.html
 米金融安定化法案が議会で否決された29日、街頭の市民は政治への不信感とともに、政府が金融機関を救済することへの根強い抵抗感をあらわにした。
 「へまをしたウォール街の連中を我々の税金で救いたくはないからね」。ニュージャージー州在住の保険会社社員、マイケル・クレイマー氏(26)は、法案否決を歓迎した。
 コネティカット州の中堅企業役員、エド・シー氏(49)も政府救済には反対の立場。「民主、共和両党は何も決められず、互いに非難ばかりしている。政治には失望した」と不満げだ。

米金融安定化法案、なぜ否決? 「党議拘束」の習慣なく 2008年9月30日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080930AT2M3002F30092008.html
 与野党の議会幹部が合意していながら、金融安定化法案はなぜ否決されたのか。混乱の背景には、改選を控えた議員心理に加え、米議会の構造的な要因も働いている。
 二大政党制で様々な人種、支持層を包含する米議会では、個々の議員の判断と意見を尊重するという原則から、政党の規律は緩い。個々の法案などに大まかな対処方針は示すが、処罰を伴うような「党議拘束」の慣習はない。党決定に反する行動をとると党規違反で処罰対象となる日本の国会議員とは異なっている。
 米国では逆に、議員の「投票履歴」は有権者にとっての重要な評価基準にもなる。特に、細かい小選挙区で支持を集めて当選してきた下院議員の場合は地元の声を反映した投票行動をとる傾向が顕著で、そこに下院の11月4日改選という日程が絡んだのが今回の構図だった。

米下院:金融安定化法案を否決…新たな修正案の動き 2008年9月30日
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/world/news/20080930k0000e030047000c.html
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080930AT2M3001M30092008.html
 米下院は29日、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した金融危機を収束するための金融安定化法案を共和党などの反対多数で否決した。法案の行方は極めて不透明で、欧米の金融危機が一段と深刻化するのは避けられない情勢。これを受け、ニューヨーク株式市場は史上最大の下げ幅を記録、東京株式市場も全面安となるなど市場は大荒れの展開となり、米国発の世界金融恐慌が現実味を帯び始めた。
 米下院は同日の本会議で、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取ることを柱とした金融安定化法案を採決し、賛成205、反対228の反対多数で否決した。民主・共和両党の議会首脳が修正協議を重ねて合意した法案の審議が、再び振り出しに戻る異例の事態となった。議会は修正案について協議を続けるが、公的資金投入の枠組みに関する政府と議会側の意見の隔たりは大きく、難航は必至だ。
 同法案は、サブプライム関連の住宅ローン担保証券(MBS)など売却が困難になっている証券化商品や、住宅ローン債権などを政府が金融機関から買い取ることが柱。公的資金で金融機関を救済することへの国民からの反発を考慮し、不良資産の買い取りを当初は2500億ドルに限定するなど買い取りを3段階に分けた。さらに、政府が買い取り対象の金融機関の新株取得権を獲得し、金融機関の株価上昇で公的資金の損失を補える仕組みも整えた。
 しかし、11月に大統領選や上下両院の議員選挙を控え、ブッシュ政権の与党である共和党を中心に公的資金投入に反対する議員らの造反が相次ぎ、法案はあっさり否決された。共和党から反対に回った議員が多く、共和党だけで見ると、賛成65、反対133だった。民主党は賛成140、反対95だった。
 ブッシュ大統領はポールソン財務長官、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長らを緊急招集し、上下両院の議会首脳とも29日夜に会談、新たな修正案を策定して採決を急ぐ方針だ。ただ、ペロシ下院議長は再採決について「超党派で行動する必要がある」と述べただけで時期については明言を避けており、下院での採決見通しは立っていない。

米下院:世界金融恐慌に発展の懸念 安定化法案否決で 2008年9月30日 毎日夕刊
http://mainichi.jp/select/world/news/20080930k0000e020048000c.html
 米下院が29日、公的資金による金融機関からの不良資産買い取りを盛り込んだ金融安定化法案を否決したことで、世界の金融市場は大きく動揺している。米国発の金融危機は深刻さを増し、先週後半からは欧州に飛び火、英国などで公的管理下に置かれる金融機関が相次いでおり、収束の気配は見えない。低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した市場の混乱は、世界金融恐慌に発展する懸念が強まっている。
 29日の米市場は、法案否決前から不安定な動きを見せた。取引開始前に急きょ発表された米金融大手シティグループによる米銀4位ワコビアの銀行業務買い取りで、安心感が広がると見られたニューヨーク株式市場だが、欧州の金融危機深刻化を材料に株価は大きく下落。週末に金融安定化法案の議会合意が発表されたにもかかわらず、金融恐慌への不安が市場全体を覆う形になった。
 こうした中、同日の欧州市場では金融関連株が急落。米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)に続き米保険大手AIGが政府管理下に置かれたような「市場による金融機関の淘汰(とうた)」が欧州で再現されるとの懸念が一気に強まった。これを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)など日米欧の中央銀行は金融市場へのドル資金の協調供給量を倍増すると表明、市場の不安心理を鎮めるための追加策を打ち出した。
 米議会による法案否決が伝わったのは、この直後で、株価はわずか数分で一気に急落。下落幅は前週末終値比700ドルを超えた。民主、共和両党で非難の応酬ばかりが目立った否決後の米下院首脳の発言が、法案採決の不透明さを際立たせる形となって、市場をさらに冷やした。
 ブッシュ米大統領ら政府首脳は、再度修正案を策定して「一刻も早い成立を目指す」(ポールソン財務長官)としているが、協議が長引けば金融市場全体への悪影響は計り知れず、世界中から米議会に厳しい視線が注がれている。


自民総務会長「女性議長だから否決」 米金融安定化法案巡り 2008年10月1日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080930AT3S3001130092008.html
 自民党の笹川尭総務会長は30日、米下院による金融安定化法案の否決について国会内で記者団に「下院議長は女性で、ちょっと男性とはリードが違う気がする。それで破裂した」と述べた。
 社民党の福島瑞穂党首は同日、談話を発表し「法案の否決と議長が女性であることは何の関係もない。時代錯誤の女性差別だ」として発言の撤回を求めた。




 29日のNYダウの777ドルに及ぶ急落の原因となった金融安定化法案不成立の原因ですが、どうやら『へまをしたウォール街の連中を我々の税金で救いたくはない』といった嫉妬に近い感情的反発(→ この発言。金融部門で働く保険会社の社員が言っているというのも吃驚ですね…)が一般市民の間で高まり、選挙が近いことから、議員も有権者の意思を無視できず、そして日本のように党議拘束がないことから、土壇場で法案の成立に反対票を投じる造反?議員が続出してしまったことなどが挙げられそうですね。
 とはいえ、アメリカというのは日本のように多額の買い物でも現金で支払う習慣はなく、小切手やカード払いなど、もし自身が取引している銀行が業務停止になってしまっては、日本以上に日常生活に困ると思うのですが、金融安定化法案の成立に反対している人は、救済する銀行は大手の金融機関だけで、『自分の取引している銀行だけは安全』と信じ込んでいるんでしょうかねぇ…。
 証券の3-5位とワコビア、ワシントン・ミューチュアル、AIGといった大型案件は大方処理し尽くしましたから、もし今後出てくるとすれば証券上位2社とワコビアを吸収することになったシティ、あとは(厳密には国外の銀行ですがアメリカ社会とも関係の深い)UBSあたりくらいでしょうし、残りは中堅あるいはそれ以下の小型銀行の整理になってくると思いますが、現在こそ週末に1行ペースの破綻だからこそ、引き受け先を準備して発表する余裕もあるものの、もしこのペースが週十数行ペースになったときに、果たして全ての引き受け先を見つけることができるのでしょうか…。万が一にも引き受け先が見つからないまま、経営破綻となったときに取り付け騒ぎが発生することにはならないでしょうか…。

 勿論、公的資金による救済を行うならば、投資銀行などでよく見られる(日本の都銀の頭取と比べてもべらぼうに高い)最高経営責任者の高額報酬は修正するなり、返還規定を設けさせるなり、一定の受け入れ基準は必要だと思いますが、今のアメリカ社会は個別最適ばかりを考えて全体最適には目がいっていないのでは…という危惧をどうしても持ってしまいます。
 別のスレッドでも似たようなことを書きましたが、『サブプライム問題はあなたの国で今起こって他国も巻き込んでいる問題なんですよ!』と嫌味の一つも言いたくなりますし、肝心のアメリカが本腰を挙げて問題解決に取り組む姿勢を見せない限り、いくら日本や欧州が(資金供給などで)頑張っても効果はかなり限られてしまうのではないでしょうか…。

 ちなみに、この金融安定化法案では、自民党の笹川尭総務会長が『下院議長は女性で、ちょっと男性とはリードが違う気がする。それで破裂した』などと、実にしょうもない発言をしてくれたようで…(呆れ
 前中山国土交通大臣の日教組侮蔑発言といい、今回の女性を蔑視するかのようにも受け取れかねない発言といい、どうも自民党は勝手にコケている印象がありますが、発言する前に『テレビの画面を一瞬見ただけで勝手に解釈しないで、事実を確認してから発言して下さい』と、嫌味の一つも言いたくなりますね…(苦笑

米上院、金融安定化法案の修正案合意 預金保護上限を10万ドルから25万ドルに引き上げ

2008-10-01 11:42:15 | Weblog
米上院、金融安定化法案の修正案合意 預金保護上限引き上げ 2008年10月1日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081001AT2M0100L01102008.html
  米上院は30日、銀行破綻時に保護する預金の上限の引き上げを盛り込んだ金融安定化法案の修正案で合意した。1日に本会議で採決する方向だ。ニューヨーク・タイムズ紙など米メディアが一斉に報じた。預金保険制度による保護額を現在の10万ドルから25万ドルに引き上げる。金融安定化法案は下院が29日に否決したが、幅広い預金者の支持を得やすい保護拡大を盛り込み決着を図る。
 保護対象の預金拡大は30日、民主・共和両党の大統領候補であるオバマ氏、マケイン氏が提案。連邦預金保険公社(FDIC)のベアー総裁も「上限引き上げにより銀行の手元流動性が増し貸出余力が増える。同時に預金者も安心できる」と指摘。金融危機で資金調達に支障をきたしている銀行経営の支援と預金者の不安抑制の二つの効果があるとの見方を示していた。



 で、一旦否決されてしまった金融安定化法案ですが、国民の感情的反発を抑えるためにも、現行10万ドルまでの預金保険制度による保護額を25万ドルに引き上げることで、反発を少なくした上で造反?議員の一部を賛成に取り込む方針に出たようで、上院で合意して1日にも本会議で採択するつもりのようです。
 ほほぉ…、国民の感情的反発を抑えるための何らかのアメは必要だと思ってはいましたが、まさか預金保険保護限度額の引き上げを打ち出してくるとは予想外でしたね…。とはいえ、預金保険制度を維持し続けるためには、金融機関からの預金保険制度への拠出額も当然ながら増えるわけで、銀行にとっては収益圧迫要因にもなりかねませんが、本当にこれでいいんでしょうか…。
 まあ、法案を通すためには致し方ない一面もあるでしょうし、アメリカの場合、あまりにも国土が広いため、日本と異なり(日本では都道府県ごとに地方銀行や第二地方銀行が基本的には2つ以上あり、信用金庫や郵便局も含めれば、(相続時の手続きの煩雑さの問題もありますが)余程のお金持ちでなければ、預金の分散は比較的行いやすいかと思います))1000万円ずつ分散して預けるというのも困難でしょうし、こういった対策もありなのかもしれませんね…。

NYダウは485ドル高→10850.66ドル、NY原油は4.27ドル高→100.64ドルで終了

2008-10-01 11:33:07 | Weblog
NYダウ急反発、485ドル高 2008年10月1日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081001AT3L0100101102008.html
 9月30日の米株式相場は急反発。ダウ工業株30種平均は前日比485ドル21セント高の1万850ドル66セントで終えた。米議会幹部が金融安定化法案のとりまとめに意欲を示したと伝わり、法案の早期成立に対する期待が改めて浮上し買いを誘った。
 前日に株価が急落した後とあって、値ごろ感や自律反発狙いの買いが入りやすかった。関係当局が証券化商品の評価手法を実質的に緩める方向で作業を進めているとの思惑が浮上したことも、金融機関の財務悪化懸念の後退につながり買いを促した。
 一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は98.60ポイント高の2082.33で終えた。

NY原油反発、100ドル台に 2008年10月1日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081001ATQ2INYPC01102008.html
30日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は3営業日ぶりに反発。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の11月物は前日比4.27ドル高の1バレル100.64ドルで取引を終えた。米金融安定化法案の修正案の早期可決への期待から買い戻しが入った。
 米下院が金融安定化法案を否決した前日は、金融市場の混乱が景気下押しにつながるとの見方から原油相場が急落。この日は法案が修正されて近く成立するとの期待などから株式相場が金融株を中心に急反発し、原油も買い戻された。高値は101.40ドル、安値は93.36ドル。
 ガソリンとヒーティングオイルも3日ぶりに反発。

「経済は危機的な局面」 米大統領、金融法案修正へ議会と協議  2008年10月1日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080930AT2M3004530092008.html
 ブッシュ米大統領は30日、ホワイトハウスで緊急に声明を発表し「米経済は危機的な局面にある」と述べ、米議会に金融安定化法案の早期可決を要請した。大統領は「下院の否決により、法制化の作業が終わったわけではない」と指摘。超党派での新しい修正案の策定に向け、米政府として同日中に議会指導部と協議することを明らかにした。
 大統領は「今は緊急事態であり、何も行動しなければ状況は日々悪化する」と懸念を表明。前日の株価急落を挙げ「このままだと経済の被害は痛みを伴い、長引くことになる」と指摘した。
 大統領は法案修正の具体案は示さなかったが、「米経済は政府の断固たる行動にかかっている」と強調。公的資金による不良資産買い取りなど政府の市場介入は不可欠との認識を示した。

7月の米住宅価格、主要10都市で17.5%下落 過去最大の下げ 2008年10月1日 
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080930AT2M3004A30092008.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081001-OYT1T00259.htm
 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が30日発表した7月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は主要10都市ベースで前年同月比17.5%下落し、統計記録のある1987年以降で最大の値下がりとなった。下落は19カ月連続。
 主要20都市の下げ幅も16.3%と過去最大。前月比では主要10都市で1.1%、20都市で0.9%の下落だった。前月比の下落率は5カ月ぶりに拡大した。昨年末から今年初めにかけての急落ぶりに比べると「下落ペースは緩やか」(S&P)だが、住宅価格の底が見えない状況が続いている。
 都市別で下落率が最も大きかったのはラスベガスで前年同月比29.9%。次いでフェニックスが29.3%、マイアミが28.2%。前月比で価格が上昇した都市は6都市で、6月の9都市から減少した。



 9月30日のNYダウですが、前日に過去最大の777.68ドルの下落幅を記録した直後の反動や、大統領の金融混乱の危機感を煽るような発言、金融安定化法案を巡り新たな修正案が出て本会議で可決されることへの期待、法案に反対票を投じた一部議員が株価急落を受けて賛成に転じる動きが見られ始めたこと、住宅ローン関連など証券化商品の会計処理が見直されるとの報道 などを好感して、一時500ドルを上げる上げ幅を記録。終値ベースでも前日比485ドル21セント高い10850ドル66セントで終了となりました。
 まあ、前日の下げ幅があまりにも大きかったため、その反動で戻したといえばそれまでですし、実際前日の6割強(62.4%)しか戻していませんが、他にも7月の米住宅価格が主要都市で17.5%の下落幅となり過去最大の下げ幅を記録する など、アメリカの経済は、仮に金融安定化法案が成立しても、投機の動きを多少抑える程度で、実需の悪化まで止めることはできませんし、そういう意味では長期的な治療状態になるのは避けられないと思いますし、アメリカ経済の本格回復には時間がかかりそうな気がしますね。

 一方のNY原油は、こちらも前日に下げすぎた(10ドル半の下落)反動もあり、30日は4.27ドルの上昇で、1バレル100.64ドルで終了。まあ、こちらもいきなり実需が増えるというものでもありませんし、投機資金が入ることで、本来の値動きを必要以上に大きくしているものと思われますが、冬場に入ると灯油需要が入ってきてどうしても価格は割高になるだけで、こちらは株価回復の材料としても、一消費者の立場としても、できればしばらくはこの水準で落ち着いて欲しいものだと思います。。
 さすがに80ドルを割ると、産油国が減産を求める声が強くなりそうですし、かといって130ドルを超える水準が長期的に続くと、原油やガソリンを使わないと仕事にならない業種の業績を直撃してデモ行進が多発するなど、社会不安を煽るような現象が続出してしまう…。
 株価が落ち着いてからの原油相場の水準がどうなっていくのかにも注目があつまりそうですね…。

 ちなみに、1日の日経平均午前終値は前日比139円74銭高い11399円60銭で終了しました。