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中尾財務官の『為替市場に頻繁に介入する計画ない』発言で、一時対ドル円が75.941円まで上昇

2011-08-20 09:43:03 | Weblog
NY市場でドルが一時75.941円に下落、最安値更新 2011年08月20日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22786920110819
 19日午前中盤のニューヨーク外国為替市場で、ドルが一時76円を割り込み、最安値を更新した。
 電子取引システムEBSで、ドル/円 は75.941円に下落。その後は0.6%安の76.11円で推移した。
 市場では日本の当局による介入に対する警戒が高まっている。

為替市場に頻繁に介入する計画ない―中尾武彦財務官 2011年08月20日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT897916620110819
 財務省の中尾武彦財務官は19日、日本には為替市場に頻繁に介入する計画はないと述べる一方、投資家が円を逃避通貨として扱う理由はないと指摘した。
 中尾財務官はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで、円の最近の上昇は経済のファンダメンタルズを反映しておらず、円上昇を見込んだ「投機的要因」によるものとの見方を示した。
 財務官は「われわれには頻繁に介入する計画はない。介入を日常的手段として用いない」と述べた。
 財務官はまた、必要ならば引き続き適切な措置を講じる用意があるとしたが、円を特定の水準に誘導する計画はないとした。
 8月4日に単独介入に踏み切ったことについては、少なくとも投機抑制に向けた当局の意思を明確に示すことができたと述べ、介入の正統性を主張した。
 財務官は欧米諸国が介入を支持したかは明らかにしなかったが、今後の単独介入の可能性については排除しなかった。
 一方で、単独か協調かにかかわらず、介入については他国と協議する必要があるとの認識を示した。
 米景気減速や欧州債務危機をめぐる懸念を背景に、安全資産と見なされる円・スイスフランに資金が逃避する構図が継続しており、円は介入後も過去最高値近辺で推移している。
 これに対し財務官は、大規模債務と人口減に苦しむ日本の円が質への逃避先として選ばれる理由はないと指摘。これに加え、日本経済は依然として東日本大震災からの復興に苦戦しているとした。
 景気減速や財政赤字をめぐる懸念から、対円で年初来およそ6%下落しているドルについては、世界の基軸通貨としてのドルに対する脅威は目先見られないと言明。予見できる将来において、ドルは唯一の重要な基軸通貨であり続けると確信しているとした。
 前月米議会が承認した財政赤字削減計画については、債務削減に向けた非常に具体的な措置を盛り込んでいるとして評価する姿勢を示した。

NY外為市場=ドルが対円で最安値更新、一時76円割れ WSJ紙の財務官発言報道で 2011年08月20日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT897934620110819
 19日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが対円で最安値を更新したほか、対ユーロでも値下がりした。
 ドルの動きについて市場では、世界経済の見通しがさらに弱まれば、安全資産としてドルが買われるのではないか、との見方も出ている。
 ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、財務省の中尾武彦財務官は19日、日本には為替市場に頻繁に介入する計画はないと述べた。一方、投資家が円を逃避通貨として扱う理由はないとも指摘した。
 EBSによると、ドルは対円で一時は75.941円と76円を割り込み、その後は0.1%安の76.48円近辺で推移した。年初以降、ドルは対円で5.8%値下がりしている。
 世界的に市場の振れが一段と大きくなるなか、円やスイスフランといった伝統的な避難通貨に対する投資選好が強まっている。
 インタラクティブ・ブローカーズ(コネティカット州)のシニア市場アナリスト、アンドリュー・ウィルキンソン氏は「現状に対する懸念は根強く、日銀だけが為替介入で解決できることではない」と語った。
 市場では来週26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで行われる、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に注目が集まっている。
 USAAインベスメンツ(テキサス州)の投資信託ポートフォリオ部門バイス・プレジデント、ディディ・ワインブラット氏は、経済刺激策に関して悲観的だと指摘。「金利は
すでに可能な限り低い水準にあるため、FRBができることはあまり多くない。欧州も含め多くの警戒要因があるなか、個人的に良好な解決策がまったく思い浮かばない」と述べた。
 米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のグロース共同最高投資責任者(CIO)はこの日、米国債利回りの急低下は、米国がリセッション(景気後退)に陥る可能性があることを反映しているとの見方を示した。
 ユーロ/ドルは0.4%高の1.4392ドル。欧州中央銀行(ECB)が周辺国債を買い入れているとの観測もユーロを下支えたという。
 スイスフランはこの日上昇したものの、当局が再度介入するとの警戒感から上値は重かった。
 ドル/スイスフランは1%安の0.7856スイスフラン。ユーロ/スイスフランは0.6%安の1.1308スイスフラン。

円最高値、一時75円台 NY終値は76円台半ば 2011年8月20日 日経
 19日のニューヨーク外国為替市場で円相場は上昇した。前日比10銭円高・ドル安の1ドル=76円45~55銭で取引を終えた。一時は75円95銭まで上昇し、東日本大震災後の3月17日に付けた76円25銭を上回り最高値を更新した。日本政府高官の発言が円売り介入に消極的と受け止められ、投機的な円買い・ドル売りが膨らんだ。世界的な景気減速懸念と欧州の金融システム不安を背景に、逃避資金が低金利の円に向かった面もあった。
 19日朝方に、米ダウ・ジョーンズ通信とのインタビューで中尾武彦財務官が為替介入について「日常的な手段ではない」と発言したと伝わった。さしあたって円売り介入はないとの見方から、円の最高値を狙った投機的な買いが膨らんだという。高値更新後は円買いは続かず、前日終値とほぼ同水準まで伸び悩んだ。
 このところ低調な米経済指標の発表が相次いでいる。米景気浮揚を狙って米連邦準備理事会(FRB)が一段の金融緩和を打ち出すとの思惑も広がり、円買いにつながったとの指摘もあった。
 ニューヨーク市場の円の安値は取引終了直前に付けた76円56銭だった。
 円は対ユーロで4営業日ぶりに反落し、前日比45銭円安・ユーロ高の1ユーロ=110円15~25銭で取引を終えた。
 ユーロは対ドルで反発し、前日終値の1ユーロ=1.43ドル台前半から1.44ドルちょうど近辺に上昇した。対円でのドル売りがユーロの対ドル相場に波及した面があった。
 米景気の先行き不透明感と米株式相場の下落を受け、FRBが緊急会合を開くとの出所不明の噂が出て、米国で金融緩和がさらに進むとの思惑が広がったとの指摘もあった。週末とあって、持ち高調整目的のユーロ買いも入ったという。
 ユーロのこの日の高値は1.4453ドル、安値は1.4377ドル。




 さて、日本にとっては、世界株安以上にある意味厄介な円高ですが、中尾武彦財務官による「為替市場に頻繁に介入する計画ない」発言の影響で、とうとう対ドル円が瞬間値とはいえ75.941円と最高値を更新してしまいました。
 ん…。確かに中尾武彦財務官の言っていることそのものは正しいとは思いますが、これって単なる正論に過ぎませんし、投機筋を疑心暗鬼に陥れて相討ちさせることで、結果的に円高を最小限に留めることが、彼らがなすべきお仕事だと思うんですけどね…(呆れ

 投機筋目線で見れば、他の国の通貨が上がろうが下がろうが、『要は儲かればどっちでもいい(残念ながら、日本国内在住の方の中にも、ごくごく一部に同様の考えをされる方が存在します)』わけですし、そんな中、経済成長力のある中国は(国民間の貧困格差が大きいため)急激な為替変動は望まず、国主導でドルペッグ制を取ること+海外での通貨流通にも制限があることから投機対象にはしにくく、インドはインフラの未整備といった複数の課題を抱え、市場としては魅力的なものの、不安定要因が強すぎることからやはり投機の対象にはしにくく、どうしても国際競争力の高いスイスフランと経済成長力に魅力はないものの日本国民が日本国債を買い支えているため異常なまでの低金利が続いている円を狙い撃ちにしやすいという事情もあるのでしょうし、だからこそ『財務官自らが、余計な一言を言って投機筋に攻撃材料を与えてどうする!』と思うのですが、欧州は悪材料出まくりといった印象ですし、米国も経済成長減速の動きが顕著に…。
 この調子では、日本は望みもしないのに円高に苦しめられる状況が、まだまだ続くことになりそうですね…(溜息