日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

志水辰夫著「夜去り川」

2014-02-21 | 読書
久しぶりに読んだ志水辰夫

志水辰夫著「夜去り川」文春文庫刊 2014.01発行



2008年に現代ミステリー「行きずりの街」を読み
2009年「滅びし者へ」
2010年現代物「暗夜」を読んでいたので久しぶりな気がした。

流れ者の武士が破天荒にも渡良瀬川の支流の渡し船の船頭になり
村人に溶け込み村人に好かれ頼られる存在になる。
渡し船は農作業の為に乗るお百姓や
商売人や寺の坊主達だが
時には怪しげな輩も乗り込んで来る。

若くて二枚目なにわか船頭は
口さがのない村人の好奇の目にさらされつつ
目的の探索を続ける。

その間に怪我人に適切な処置をして尊敬される様になり
豪商の若女将と怪しくなりかけたりと
読者を飽きさせる事なく進む。

若者の特典のちゃっかりしたところと
侍の折り目正しさを見せつつも
「この商売を続けて行く事を良し」とする様になる

が、諦めない探索と冴え渡る感と剣道指南の腕を発揮して解決へと進む。

解決の後には元の生活と、幼なじみとの結婚など
裸の仕事から一気に若侍への道に戻る。

黒船来航の落ち着かない転換期
地域の産業の転換など、時代変遷と庶民の生活の考え方
いつの時代も翻弄されつつ、シッカリと潮流に乗る庶民
たくましさを映し出した一冊です。

喜寿を迎えた作者だが
衰える事なく新作を生み出している
私は時代小説より、現代小説の方が好き
次作を期待していよう。
コメント
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