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日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

澤田瞳子著「若冲」

2017-05-30 | 読書
先々週読んだ本、澤田瞳子著「若冲」文春文庫刊



丁度一年前、都美術館の「若冲展」の騒ぎの後(2017年4月)に刊行された本

謎と言われている若冲の生涯をどのように書いたか?
小説にする前に相当資料を読み作品を見、足跡を追った筈・・

若冲の顔形は、端正とはいい難い、
寝不足で疲れているけれど、右往左往しない頑固さを備えた相国寺のあの姿だけ。

青物問屋の兄弟は分かるものの、若冲自身の家族は不明

    

若冲展の図録(立派なものです)にも親兄弟は記載されても妻の記録は無い

・・なのに、澤田瞳子氏は大胆不敵な仮定の下に書き進めた。
・・なんと、妻帯したのに早々と自死され
後悔の念に一生引きずられ、ライバルは嫁の弟

これぞ小説、仮定の妻がいなければ物語自身が成立しない
余りにも嘘八百・・と思ったが、
これぞ小説家!脱帽です。

仮定の基づく心理描写、仮定に元ずく騒動
むろん、判明している事実も盛り込んで魅力的な若冲像を作り出している。

若冲の虜になった人、小説の好きな人必見(?)の一冊です。

でも、うっかり「自殺した妻がいた」なんて口にだしてはいけない。
気をつけなくちゃ〜〜
小説だもの、、
コメント
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