野田佳彦首相の答弁を聞いていると、やたらと「です」という言葉が耳についてならない。アクセントがそこにあって、自分にも言い聞かせているのだろう。しかも、まるっきり感情がこもっていないのだから、薄気味悪いことこの上ない。あれでは、いくら野党に協議を呼びかけても、誰も応じないだろう。どことなく赤ん坊が手をバタバタさせて、大声を張り上げている感じがするのは、私の思い過ごしだろうか。総選挙のときのマニフェストが破綻しているのに、それでも政権を手放したくない民主党は、恥も外聞もなく、自民党への抱きつき戦法を取っている。年金問題にしても、岡田克也社会保障税一体改革担当大臣あたりが、ひたすら頭を下げている。これまでの経過もあって、簡単に自民党など野党が応じてくれないのを知ると、今度はキレて恫喝的な態度に豹変するのである。野田あたりが幕末期に生きていても、坂本龍馬にはなれなかっただろう。幕府方で敵であった勝海舟を師と仰いだりで、龍馬は垣根を設けなかった。人間としてのスケールが、そもそも違っていたのだ。今の時代にあっても、維新回天を実現するには、敵が味方となり、味方が敵になる場合はある。しかし、それには大局的見地からの決断が求められる。幼児性のあるドジョウではなく、船中八策を世に問うた、龍馬のような逸材でなければ役不足なのである。
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