マティス国防長官の辞任劇は、我が国の安全保障にとっても由々しき問題であり、その衝撃は深刻なものがある。マティスがトランプにあてた昨年12月20日の書簡が公表されているが、それを読むと、今のアメリカがどこに向かおうとしているかが分かる▼マティスは「米国は自由世界の中で依然として必要不可欠な国家ですが、強い同盟を維持しなければ、そして、同盟国への敬意がなければ、我々は我々の利益を守ることはできませんし、市民と理想を守るという役割を効果的に果たすこともできません」(仮訳・尾内達也)とトランプを批判した▼トランプは同盟国との関係を再調整しようとしており、アメリカ一国の利益しか頭にないように思えてならない。それが今後のアメリカの安全保障政策を左右するようなことになれば、日本も他人事ではいられない。このままではアメリカは北朝鮮の核を容認しかねない。自分たちに届くミサイルさえ開発されなければ、それで矛を収めるのである。韓国からのアメリカ軍の撤退も時間の問題だろう▼日本は国民の生命と財産を守り抜くためにも、核武装する以外になくなる。対ミサイル防衛システムに多額の資金を投じるよりも、はるかに効果的で安上がりであるからだ。アメリカが容認するかどうかよりも、同盟関係が信用できなくなれば、それしか選択肢はないのである。
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