日本に対して中共や北朝鮮、さらには韓国から軍事的な挑発が繰り返されるのは、今の憲法下では「交戦権」が認められておらず、自衛隊が手出しできないのを知っているからだ。主権国家である限り、交戦権は当然の権利である。憲法9条二項は国家であることを否定しているのである。戦えない軍隊をいくら増強しても、張り子の虎でしかない。憲法を変えない限り不自然な状態はこのまま続くのである▼「交戦権」がなければ、捕虜としての扱いも受けられない。国際法上は交戦者として認められるのは国家だけである。だからこそ、そこの軍隊の構成員が敵の権力に陥った場合には、捕虜としての待遇が保証されるのだ。「交戦権」がないということは、自衛隊が一人前の軍隊として、国際社会から認知されないということである。それでいて国際貢献という美名のもとに危険な場所に自衛隊は派遣されているのだから、言語道断ではないだろうか▼いくら憲法改正の実現が難しかったとはいえ、そうした問題点を訴えてこなかった、歴代の自民党政権の責任は重大である。色摩力夫は『国家権力の解剖』において「『交戦権』の否認については、もはや名案はない。論理的には、当初から難問であったのであるが、わが国では、あまり問題にする向きが少なかったこともあり、政府はごまかしで凌いできた」と批判している。日本が危機に直面しているのは、今の憲法に欠陥があるからであり、そのことから目を背けてならないのである。
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