曖昧な決着は将来に禍根を残す。その意味でも岩屋毅防衛相の責任は重大であり、安倍首相はすぐに更迭すべきである。海上自衛隊のP1哨戒機への火器管制レーダーの照射に対して、断固たる処置を取らないばかりか、昨日の会見での「未来志向で進めるよう真摯に努力したい」「根底には信頼関係がある」などという言葉は、間違っても口にすべきではなかった▼そうでなくても、韓国側は自らの非を認めず、あろうことか、我が国に謝罪を求めてきているのである。今回の件で日本は徹底的に韓国を追い詰め、ぐうの音も出ないようにすべきである。安倍首相が泣いて馬謖を斬ることができなければ、今の自公政権は国民の支持を失うことになるだろう▼「人類は誰でも友達である」との理想主義は国際社会には通用しないのである。永井陽之助は「二十世紀と共に生きて」(『二十世紀の遺産』に収録)において、マキャベリ、ルソー、ウェーバーの国際秩序観を紹介している。「国際秩序は、国内秩序と本質的に異なって、中央政府当局の欠如した一種の無政府状態であり、民族国家こそ、その生存と優越を求める闘争において唯一の究極的価値の担い手である。国際社会は、融和しがたい、神々の闘争の場であって、暴力(強制力)こそ最後の言葉となる」。今もなお国際社会は無政府状態である。敵対国家の暴力には身構えなければならず、安易な妥協は我が国の国益を損なうだけなのである。
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