ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

おろし金造りの達人。

2016-12-30 22:02:53 | 匠の技
[逸品伝道]シリーズ part2

二回目は、合田商店。同商店が製造しているものは「銅手打ちおろし金」と「銅玉子焼き器」の2つ。
合田商店は大阪・住之江区にある。住宅地の一角で自宅の一階が工場(鍛冶屋)になっている。ここで合田裕一さん(85歳)と息子さんの八郎さん(58歳)ふたりが仕事をしている。
訪ねたとき丁度、八郎さんがガスコンロの上で玉子焼き器の中に"錫(すず)引き"をしていた。錫引きというのは、100%に近い純錫を焼き器の中に入れて溶かし全面に錫を広げていく。すべて手作業である。この作業は熟練しないとできない。その難しさは初めて観る私にもわかる。引いたあとは、気泡のようなものができないように丁寧に丁寧に成らしていく。
錫引きしていた玉子焼き器は正方形である。玉子焼き器といえば長方形だと思っていたが、正方形は関東用として出荷される。関東と関西の玉子焼きの作り方が異なるので形も違う、という。
八郎さんの隣で、お父さんの裕一さんは、おろし金に錫引きした部分を研磨していた。おろし金の目立てをする前の作業である。研磨がすむと、その錫引きしたところに目立てをする位置決めの線を引いていく。そして目立て作業行う。
台に置いたおろし金の板に、目立て用の釘のような小さな彫刻刃の頭を金槌で小刻みに叩いていく。叩いた反動で彫刻刃を持つ手が自然に移動する。そしてまた叩く。この繰り返しで目立てができおろし金の刃になる。均等割りで間隔が詰まった刃が浮き上がっている。まさしく職人芸である。
おろし金は周知のとおり両面に刃が浮き上がり、荒目と細目がある。関西は表になる方が細目、裏が荒目。一方関東は、関西の逆になっている。こんな道具にまで違いがあるようだ。はっきりしたことはわからないが食文化の違いなんでしょう、と八郎さんはいう。
さらに驚かされたのがある。あるところから修理を頼まれている、という。それもよくあることらしい。機械の修理(?)と聞いてしまった。いえいえ、おろし金の修理ですよ、と。えぇー、考えられない。驚きである。
見ると持つところにすべて刻印が押してある。何十年も使われている風格がある。前回の鍋もそうだったが、たかがおろし金、されど・・・だった。






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« たかが鍋、されど鍋。匠の技。 | トップ | 初春 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

匠の技」カテゴリの最新記事