漆塗りで仕上げられている蒔絵(まきえ)の住所録の表紙に描かれている2羽の鶴を見ていると、一度は、わが目でこのように天を飛ぶ美しい鶴を見てみたいと思う気持ちが湧いてくる。
日本では、「鶴」と呼ばれるようになったのは平安時代だといわれている。
その鶴が “吉祥の鳥” といわれている所以がいくつかある。
それは、ご承知の通り、古来より鶴は千年も長生きするといわれ「長寿の象徴」として尊ばれている。また、雄牝でいつも連れ添っていることから夫婦鶴といわれ「仲良きことの象徴」とされている。さらに鳴き声が共鳴して遠方まで届くことから天に届く声といわれ「天上界に通ずる鳥」とされ、めでたい鳥といわれてきた。
これらの理由から、いまでも高貴な鳥として尊ばれているのではないだろうか。
自然になかに生息する姿も美しいが、やはり浮かぶのは、伊藤若冲の「旭日松鶴図」。旭日に、千年の吉祥を慶ぶ双鶴の姿である。
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