ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

仏像を彫るというより、木の中から仏様を探す。

2017-02-13 11:27:03 | 渡邊勢山師の仕事
仏像の命は、「木」。千年も生き続ける仏像を造るのには木の生命力をに頼るしかない。そんなことを仏師・渡邊勢山師から聞いたことがある。

木の中で仏像に適している木は、有用樹木の種類が600くらいある中で10種類もないと言われている。
仏像に姿を変える木の条件は、まず第一に未来永劫の命ある素材であること。それには強靭であること、恒久性、耐久性に優れていること。そして虫になどに対して強いということ。さらに木の持つ品位や美観といった要素もなくてはならないものらしい。

それらの条件をクリアする木としてあげられるのが、「白檀」、「桂」、「桐」、「楠」、「欅」、そして「檜」などである。その中でもやはり「檜」は最高峰の木である。檜の中でも仏像として使える檜は、また極々一部になるという。

樹齢300年から500年もので、仏像用に育てられた木を使う。それを伐採してから5年は海水につけて水中乾燥させる。そして製材して陸上乾燥する。伐採して10年くらい寝かし、始めて使える木になるわけである。長い長い年月を経て強靭な耐久性ある用材に仕上げていく。これが仏像造りの基礎となる。

よく言われることに木には神様が宿る、と。特別に育てられた木が、「御霊木」、「御神木」といわれ、伊勢神宮などに使われている。仏像も同じことである。仏様が宿る木を育てていくのである。
勢山師が言われたことに「例えば樹齢350年の檜を使用するなら、乾燥に10年、製作に2年、あわせて362年の製作期間がかかったと思うようにしています。神様が350年、私が2年の役割分担です。神様が受けもつ時間が圧倒的に長いので尊重せざる得ないのです。尊重せずに、人間の力を誇示すると割れたり、曲がったりと罰があたるのです」と。

重くて深い言葉である。山にも海にも、どこにも神様はいるという。特に山の神様は木の中に宿って精霊木として我われと一緒に生き、護り続けていることになる。その中でも社寺仏閣は精霊木がどこよりも多く使われている。さらにその象徴になる仏像には神様(仏様)が宿る、といわれている。
だから、仏像を彫る、という表現よりは木の中から仏様を探す、という表現が正しい、と勢山師はいう。確かに、形にこだわると本質が見えなくなるのと同じかも知れない。



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「阿弥陀如来座像」の姿公開。

2017-02-12 10:55:33 | 渡邊勢山師の世界
滋賀県・比良山釈迦岳の麓にある大仏師・渡邊勢山氏の工房「勢山社」を訪ねた。
現在、造顕中の仏像から、修復しているものまで、見せていただいた。今回は、まず見て楽しんでいただこうと写真を中心に掲載。(無断転載は禁じています)

造顕中の丈六佛(一丈六尺)「阿弥陀如来坐像」
荒削が終わり、これから形・位置などの微妙な調整をし仕上げに入るところ。、そして漆を塗り、金箔を張る。

仏像に使われる木材の種類。(白檀・桐・桂・楠・欅・檜) 300年から500年かけて仏像用に育てる。
仏像造りには木選びが何よりも大事と言われている。渡邊勢山師は山に入り木を自らが選び切り出す。
勢山師がよく言われる。「祈りとともに歩んだ千年前の仏像 千年の未来を託す新生の仏像」がある。
「千年もつ仏像を造るには、やはり木が命です」と。

<2011年に取材した内容のもの>



如来座像の正面と斜めから。


如来座像の横姿。なんと肩からのラインが艶やかで色っぽい。


この背姿の美しさに魅了される。


すでに納佛された一丈八尺の千手観音像の原型


筆者が仏師風(?)に如来様に寄り添ってみた。(大きさ比較)


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賑わいをみせる「魚の棚」。

2017-02-11 21:56:55 | 一茶庵「易社」
明石の「魚の棚(うおのたな)」は、阪神間では有名な商店街のひとつ。それは、明石海峡付近や播磨灘一帯で採られ、明石漁港から水上げされた新鮮な魚介類「明石鯛」「明石蛸」をメインに活きのいい鮮魚や干物を、ここ魚の棚で売られているから。だから鮮魚店が多いのが特徴である。

明石銀座通りから、明淡国道(兵庫県道718号線の一部)までを繋ぐ国道2号の南側に全長350mのアーケード街が「魚の棚商店街」と呼ばれている。そこに100を超える店舗が軒を連ねる。

「魚の棚商店街」の誕生秘話にこんな人物までが登場してくる。それは、剣豪 宮本武蔵。武蔵がこの明石地域の町割りにかかわったといわれており、その町の筋に商いの露天が並んだ。その一つがいまの「魚の棚商店街」ということらしい。
当時は ”うおんたな” と言われていたようだ。現在でも正式呼称は "うおんたな" ということらしい。商店街入口の看板にはローマ字で ”UONTANA” といまでも書かれている。

旨い魚を食べるならと阪神間から足繁く通う食通も多いようだ。
今日は明石に来ている。ランチに旨い魚をと思って商店街を一往復してみた。目にとまったのが魚屋食堂ではなく、なぜかお好み焼き屋さん。苦笑。うどんモダン焼きをいただいた。これが思いのほか美味かったのである。










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見事な職人芸。水引「松竹梅」。

2017-02-10 10:42:51 | 伝統文化
先日、大阪・高麗橋西詰めにある「渋谷利兵衛商店」さんの社長、渋谷善雄さんにお目にかかった。

この会社は婚礼儀式品、つまり「結納品」を扱うお店。大阪の老舗である。享保9年、1724年創業の、当時は介鰹乃し蝋燭のお店で、その後婚礼儀式品の店に。そして現在も大阪では有名な結納品一式取り扱いのお店として約300年の歴史をもつ。

このお店に入れば、水引飾りがお店にところ狭しと展示されている。結納品のお飾りとしていろんなランクがある。その中で『松・竹・梅』の水引飾りが目に入った。

これらすべて手作りの逸品。見事な水引を織りあわせている。
職人さんの匠の技である。その職人さんも今では数少なくなっているのが現状のようである。

結納はいまでも婚礼に欠かせない儀式。それを演出する日本独特の慣習のひとつ。

一般の婚礼では簡略化され、結納儀式をするところも少なくなっていると聞く。この儀式が必要かどうかはそれぞれによって違うだろう。

それはさておいて、私が伺っている間にも電話や来客の応対に忙しい。改めて婚姻という認識の重さを感じさせられた。

写真上から松 竹 梅












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「匠の技」に人気が集中。ブログランキングトップ3

2017-02-07 11:43:44 | 匠の技
2005年11月5日に書いた「So-netブログ」がブログ第一号である。その第一号は、いまでもよく覚えているが「音と舞で小宇宙の世界がー」といタイトルのもの。西宮市の大谷美術館で雅楽演奏と舞いのイベントをプロデュースさせていただいたものを紹介した記事だった。

ということは、ブログを書き始めて12年が経ったということである。飽きずによく書き続けているのに自分ながら驚く。いまではいろんなところのブログを作成し楽しんでいる。12年も続けている「So-net」では、書いた数が1347コラムに及ぶ。年間平均すると約113。3日に一度のペースで書いていることになる。

先日、小生の「So-netブログ」の閲覧数を調べてみた。その中から閲覧数が多い順上位20位までを拾ってみた。カテゴリー別に分けて掲載しているが上位3位までが同じカテゴリーで書いたものである。その他の上位のものを観ていると、いろんな傾向が見えてくる。今後、その傾向を参考にしながら続けていくのも楽しいと思っている。

ちなみに上位3位までを紹介すると、
1位が「「ODAモデル」が、さらに進化する。東大阪のゴルフパターづくり名人。」
http://nagomian.blog.so-net.ne.jp/2011-06-22
2位が「何十年も使い続けられる「おろし金」を造る。」
http://nagomian.blog.so-net.ne.jp/2011-05-28
3位が「銅の特性を生かして造る銅鍋は、叩いて硬くする。」
http://nagomian.blog.so-net.ne.jp/2011-05-20

これらの3記事ともカテゴリーとしては「文化想造塾<逸品殿堂>」というもので、すべてが大阪の町工場の職人とその匠の技を紹介した記事である。1位と2位は、飛び抜けて閲覧数が多い。いまだに毎日の閲覧数で上位にランクされ続けている。

日本の伝統技術は「知恵」と「工夫」と「緻密」と「こだわり」で成り立っているといっても過言ではない。そしてその上に「進化」が加わっている。だからこそ"技術大国 ニッポン!"の名は揺るぎないものになっているのではないだろうか。
今回の上位にランクされるもののほとんどは身近なものばかりである。こんなモノにこんなワザが施されている。これが"ニッポン"なんだと改めて思った。













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