ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

国宝、風神雷神図屏風の妙景 [日本の美シリーズⅣ]

2020-05-21 16:03:05 | 日本の美

京都 四条通り花見小路を南に下ったところ、通常なら外国人観光客で賑わう花街の突き当りに日本最古の禅寺である建仁寺がある。
1202年将軍源頼家が寺域を寄進し栄西禅師が開山した寺として有名。寺の詳しい内容は別のテーマの折に書くとして、なんといっても建仁寺の魅力は、言うまでもないが禅寺特有の静寂さに銘庭や国宝級の襖絵や屏風、そして天井双雲図が身近に楽しめることにある。日本文化の贅を尽くした最高の空間をもつ寺として人気を博している。


「日本の美シリーズⅣ」で紹介するのは、「国宝「風神雷神図屏風」。何回みても美しい作品である。本物は京都国立博物館に寄託されている。建仁寺にあるのはレプリカではあるが、江戸時代の画人、俵屋宗達の最高傑作として堪能できる。

風神雷神に注目すると、両神とも対角線上に二分し、両端に収まっているように描かれている。このことにより、中央に空間が広がり、奥行きが生まれるので浮かび上がってくるように見える。さらに、その空間があるため両面から飛び出してきそうな躍動感を感じる。

「風神雷神図」は平面で見るとわからないが、本来は屏風なので立てられた状態にすると画面の中央が凹む。これにより、両神がお互いを睨んでいるようにも会話をしているようにも見える。また顔は、少し微笑んでいるかのようにも見えるから不思議だ。

俵屋宗達の独特の空間のとらえ方により、不思議な奥行きが生じる。また、雷神の太鼓をはみ出して描いていることにより画面の外にも世界が広がっていく。風神雷神が屏風を駆けめぐるような印象を与える。まさに俵屋宗達の画の達人たる所以なのだろう。

特に、潮音の庭を通して眺める風神雷神屏風は妙景である。少しの間でもここに身を置けることは命の洗浄になるような気がする。

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創造力と独創性を加えると写経が楽しい。【仏画曼陀羅アート】

2020-05-20 17:00:15 | 文化想造塾「曼荼羅」

むかし、学生生活を京都で過ごしていたころ、爺くさい性格から寺めぐりが趣味だった。そのときに写経を体験し、たまにするようになった。
いま風に言うなら、行きつけのBARに顔を出す感覚で、行きつけのTERAができた。坊さんの知り合いも増え、いろいろと手ほどきも受けた。あるとき、ちょくちょく顔を出していたものだから、ある坊主に「坊主になる気ないか?」と言われ、坊主も悪くないな~って思ったこともあった。
二十数年前に、大阪の仕事場を、京都のあるお寺の花の教場として提供していた。そのご縁で、再び写経をするようになり、遊びがてら京都によく出かけていた。年をとっても、爺くさい性格は歳とともに育まれていった。

前段が長くなったが、いま取り組んでいる一つに、写経をもっと楽しく続けるための方法として考えたのが「曼荼羅絵図」という写経。般若心経と仏画を組み合わせ、それに創造力やオリジナル性という要素を加えると写経が楽しくなる。それが「仏画曼陀羅アート」である。

前回の投稿に続いて、今回は写経用紙を新しく作った。中央部分に円を描いて、それぞれの円の中に、他の円とは異なる大きさの般若心経を書いた。中心部になるに従い小さくなっていく。最終の円は直径が約20㎜、その中に小さな如来様を描いた。これは手本でもなんでもない。写経の好きな人が自由な発想で楽しんでいただくための参考本である。

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千年の時が経ても変わらぬ風景。[比叡山延暦寺Ⅴ]

2020-05-19 17:15:42 | 文化想造塾「神社仏閣」

延暦寺の秋は美しい。厳かな空気を感じる風景に出会えるのは数々あるが、ここ比叡山延暦寺の空気はまた違うような気がした。山の奥深く人の気配を感じさせないこの地で、千年のときを経ても変わらない神仏への尊崇の営みがある。
訪れた日は、雨露に濡れた葉が雨後の陽射しに輝いていた。

横川地区の核となる御堂である横川中堂は、舞台造りと鮮やかな朱塗りの建物が紅葉に映えていた。848年に根本観音堂として創建、本尊には聖観音菩薩像が安置されている。

神道と仏教が融合し一つの信仰体系として再構成された神仏習合。各寺院でもよく見かける鳥居や社。明治になるまで神仏習合は長く続いた。延暦寺の山麓で静かにたたずむ社があった。登る道中、随所で見られる琵琶湖。山間から臨む琵琶湖は、雨後の靄にかすんでいた。

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釈迦堂に陽が注ぐ。 [比叡山延暦寺Ⅳ]

2020-05-18 16:33:45 | 文化想造塾「神社仏閣」

釈迦堂は、延暦寺の西塔の中心をなすお堂である。正式名称は転法輪堂という。お釈迦様の仏法の講義を転法輪ということから、その名称がつけられた。本尊として釈迦如来が祀られているので、「釈迦堂」の名で知られている。その本尊は、最澄自作の釈迦如来像といわれている。

西塔は、東塔から歩くこと15分程度で、まず西塔の山王院や伝教大師御廟があり、そしてにない堂からの長い石段を下りると釈迦堂が山の合間にひっそりと佇んでいるように見える。

釈迦堂にお参りし、下りてきた石段の方を振り向くと、陽がにない堂の方から木々の合間を通し石段に降り注いでいた。自然の美しさに感動を覚えた。少し石段に近づき撮影したときは、陽射しはすでに隠れていた。(写真参照)

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舎利子の肖像画がひときわ目立つ。【比叡山延暦寺Ⅲ】

2020-05-16 16:33:46 | 文化想造塾「神社仏閣」

延暦寺の東塔地区にある大講堂は、最澄が延暦寺を創建したとき、一乗止観院(根本中堂前身)と同時に建てられた。しかしながら、1571年の織田信長の比叡山焼討ちにあい、他の堂塔と同じように焼失。それ以後も度重なる火災で焼失し、現在の大講堂は昭和39年に山麓坂本の讃仏堂(旧東照宮本地堂)を移築したものであり、国の重要文化財に指定されている。

その大講堂には本尊である大日如来が安置されている。その左右には、日蓮、道元、栄西、円珍、法然、親鸞、良忍、真盛、一遍など比叡山で修業した各宗派の宗祖の木像が祀られている。また、外陣には、釈迦をはじめとする、天台宗ゆかりの尊者の肖像画が掛けられている。数多くの尊者の肖像画の中でひときわ目に映ったのが、他の尊者とはかなり違和感のある「舎利弗尊者(シャーリープトラそんじゃ)」。般若心経等の経典に名がよく登場する「舎利子」である。釈尊の十大弟子のひとりで、釈尊が厚く信頼していた弟子だったと記載されている。当然、インド人だから顔の彫りの深さや法衣が違って当たり前であるが、こういう肖像画が掲げられているのも延暦寺ならではことかもしれない。

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