みづうみ(湖)が眠っているというが、夜ではなく昼間だろう。夏には賑わっていたかもしれない湖も、冬の今時分は人っ子一人いない。
そんな静けさの湖に向かう障子を閉めておくのは、実に勿体ないような気がするが、何か期することがあるのだろう。単に見飽きただけかもしれないが、この句内省的である。
竪穴式住居から始まった住宅は、熊や猪、毒蛇や蚊や蠅などから身を守るのが第一だったろう。堅牢な住宅によって安全を、何と言っても安眠を獲得したが、それによって人間は、動物的能力、例えば聴力を著しく低下させた。
その点、障子は自然界と柔らかく繋がっている。