一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

 557  脇腹に犬を放てり山笑う

2012年04月16日 | 

 「この句はどういう意味ですか」と質問があった。句会の短い時間では、誰も意味が分からなかったようである。

 「しめしめ、よくぞ聞いてくれました」とばかり「山の途中のことを中腹と言うでしょう。つまり山の脇腹に犬を放ったので、くすぐったがって山が笑った、という意味です」

「あらまー、そういう意味ですか」と笑ってくれた方もいましたが、「なーんだ、つまらない句ね」と一蹴した方もおりました。

 「自分の俳句の解説など、するもんじゃない」とその時つくづく思いましたが、結局こうやって俳句ブログをだらだらやっているのは、実に余計なつまらんことをしていることになる。こういうのを、「自句自悔」と言うのだ。

 それにしても、三日坊主の私が、こうして毎日ブログを続けているなんて、奇跡に近く、感心しているんです。だから、内容がお粗末なのは致し方ないのです。  

熱海、曹洞宗福泉寺の陶製の大仏

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556  下萌や犬の掘りたる深き穴   洋子

2012年04月15日 | 

(したもえや いぬのほりたる ふかきあな)

  庭に大きな穴と盛り上げた土の山があったので、犯人は我が家の「モモ」に違いないので、「モモ、駄目じゃないか、こんなところに穴を掘って」などと呟きながら、スコップで穴を埋めようとしたところ、盛り上げた土の中から、野兎が出てきて驚いたことがあった。つまりそれは、野兎を土で隠すための穴だったのだ。 

  しかし、今回の穴は格別深い。掘ったデンの体がすっぽり入ってしまうんだから。天気のいい日に、梅の木の紐に繋いでおいた時、退屈まぎれに毎日少しずつ掘ったのだ。穴から首だけ出して寝ている。たぶん、冬暖かく夏涼しいのではないだろうか?

穴に寝ているデンの写真を撮りたかったが

私がいると穴から出てきてしまうので

どうしてもできなかったのが

できました

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555  落花浴ぶ刹那切なの落花浴ぶ

2012年04月14日 | 

(らっかあぶせつな せつなのらっかあぶ)

 散りゆく桜には、「同期の桜」のような戦争肯定の軍歌のイメージが、戦争を知らない私にもあったが、最近そういう残像もようやく消えかかっている。

 日の丸や君が代を戦争と結び付けるのも、すでに時代錯誤かもしれない。逆に、日の丸や君が代が、平和の象徴とならねばならないのだろう。

 さて、桜には、開花を待つ「高揚感」と、散ってゆく「寂寥感」が一対となっている。歳を重ねるにつれて、この高揚感と寂寥感が益々強くなってゆくような気がする。こういうことを、もののあわれ、と言っていいのかもしれない、などと思う。

ムスカリ

ユリ科(ヒアシンス科)ムスカリ属

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554  花莚少し崩して膝小僧

2012年04月13日 | 

(はなむしろ すこしくずして ひざこぞう)

   「むしろ」には、「莚、筵、蓆、席」の四文字がある。素材や編み方、品質に多少の違いがあるのかもしれない。日本は畳文化だから、屋外でも地面では莚を敷いて、正座していたのだろうか。上等な茶会席などなら、板や竹の上に敷いたかもしれない。

  太平洋戦争に敗戦して後の60年代の後半、女性がミニスカートで膝小僧を出す時代がやってきた。明治期に次ぐ第二の文明開化によって、素肌を見せない伝統の着物をあっさりと捨てたのだ。

おっとっと、それにしてもほんのり桜色のあなたの膝小僧、男としては目のやりどころに困ります。

キランソウ(金瘡小草)、ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)、コウボウソウ(弘法草)

シソ科キランソウ属

 

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553  ひらひらと鵯はらはらと山桜

2012年04月12日 | 

(ひらひらとヒヨ はらはらとやまざくら) 

 「この句のオノマトペは平凡ね」

そう言われて、私はきょとんとしてしまった。

「えっ、オノ・・、なんですって?」

先輩のその女性は、

「ひらひらとか、はらはらのような擬態語のことをオ・ノ・マ・ト・ペ・と言うのよ」

「オ・ノ・マ・ト・ペ・ですか、擬態語ね。勉強になりました。有難うございます」

とは言ったものの、「この人、この句の情景を見たことないんじゃないのか」と思った。

 何故なら彼女は、俳句の内容に関しては、一言も言わなかったからである。 

 梅や桜の花の蜜が大好きなのが、目白や鵯。2階のような高いところからなら、蜜を吸う様子がよく見える。

鵯が桜の蜜を吸うと、枝がゆらゆら揺れて鵯がバランスを崩しひっくり返りそうになるから、態勢を維持するために、羽ばたく。その時、なぶられた桜が散る。

 ウソなんかも桜の蜜が大好きです。ホントですよ。

ミツマタ(三叉・三椏)  ジンチョウゲ科ミツマタ属

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552  残雪のイーハトーブに風ぁ吹く    さくら

2012年04月11日 | 

  「イーハトーブ」とは、宮沢賢治の造語である。賢治にとっての理想郷のことで、語源は岩手をもじったらしい。

 賢治は、童話などの中で、盛岡をモーリオ、花巻をハームキヤ、仙台をセンダード、東京をトーキオなどと、地名を造語している。

 賢治に惚れている私は、句会でこの句の「風ぁ」に一目惚れしてしまった。単に「風が」「風の」だったら採らなかったかもしれない。

 披講の際、作者に発音を伝授してもらったが、「かぜぁー」でも「かざー」でもなく、「かじゃー」に近かった。

ラッパスイセン(喇叭水仙) ヒガンバナ科スイセン属

ついこないだから、花の科、属を載せ始めましたが、

水仙の親分がヒガンバナであることを発見し、スイセンな驚きです

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551   春の塵貝標本の深眠り    薪

2012年04月10日 | 

(はるのちり かいひょうほんの ふかねむり)

 気密度の高い現代建築でも、「ほこり」というものは、いつの間にやら降り積もってしまうから不思議だ。この「ほこり」は当然一年中あるが、特別「春の」と指定し、季語としているのは、中国内陸部、砂漠地帯の砂塵が、砂嵐によって空に舞い上がり、偏西風に乗って飛来し、はるか日本に降り注ぐ「黄砂」とも関係がある。

 さてこの句、標本だからはっきりとした目的を持って集められた珍しい貝であろうと推測できるが、閑散とした薄暗い博物館のガラスケースのガラスや、テーブルや台に、又は貝標本自体にも、うっすら春の塵がたかっていることも想像される。

 作者によると、この貝標本は、最近できた真鶴半島の先端にある「真鶴町立遠藤貝類博物館」で展示しているという。知らなかったよ。

 ところで私は、この人間の収集癖には、いつも考えさせられる。それは、美術品だったり、学問的に価値のある頭蓋骨だったり、本だったり、おもちゃだったり、ときにはゴミ屋敷のゴミだったりもする。

 つまり収集には、良く言えば生命力を、悪く言えば人間の深~い業のようなものを感ずる。

スノードロップ(ヒガンバナ科、スノードロップ属、マツユキソウ属)

 

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550  誰一人帰って来ない花祭

2012年04月09日 | 

 太陽暦で、うるう年と言えば、4年に1日だけ増えるだけだが、今年の旧暦では、うるう月がある。つまり、3月が2回もあり、1年が13カ月あることになり、丸々30日増える。このように、太陽暦と月暦の誤差を調整するために、ほぼ3年に一度うるう月で調整している。こういう時、例えば雛祭など、昔はどうしていたのだろう。 

  さて、本来の釈迦の誕生を祝う灌仏会(降誕会・仏生会・浴仏会・龍華会・花会式・花祭)は、旧暦の4月8日。今年の太陽暦では、5月28日にあたる。

 旧暦から新暦に変わった明治期以後、灌仏会は桜の開花と重なるようになったため、花祭と呼ばれるようになったそうである。

ハナニラ(花韮)  ヒガンバナ科ハナニラ属

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549  お手植えも大樹となりて花の宴

2012年04月08日 | 

 昨日は、恒例の土曜日、午前中のテニスの後、総勢15名がこの会の長老のお宅に招かれ、花見の宴となりました。

長老のお宅のソメイヨシノは、なんと30数年前に土地を買った時に植えた、記念すべきお手植えの桜なのだそうです。

歴史と言えば、宇宙の歴史、地球の歴史、人類の歴史、日本の歴史と色々ありますが、一家の歴史や一本の桜の歴史もあるんですね。

30数年で、こんなに大きくなるんだ、良く頑張ったね。

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548    2012年3月 岩戸句会 

2012年04月07日 | 岩戸句会

 春の塵貝標本の深眠り              薪

草餅やカルデラ大地の窪みかな 

下萌や犬の堀りたる深き穴           洋子

いそぎんちゃく今日はなんだか浮き浮きす

 短めの生命線や花便り             炎火

キャベツ切る脳溢血の家系なり 

 子等はしゃぎ磯巾着の花しぼむ       遊石

朝まだき海にぎにぎし若芽取り

 雛納め一人一人に声掛けて         稱子

春愁や別れを言うに声たてず

 花ずおう峠の茶屋の手水鉢         歩智

抜きん出て咲きし木蓮君が花 

しだれ梅外出誘ふ香かな           章子

のどけさや口ずさみ弾くアベマリア

 くっきりと肉球しるす春の土          豊春

安いよと浅蜊つき出すしゃがれ声

 剪定の刃先狂わす新芽かな         正太

春泥や双子をのせて乳母車

 水温みいざ咲かんとて岸の花        鼓夢

せせらぎを聞きて白鷺上り梁

 踏切の警鐘きこゆ列車内           空白

ディーゼル車うるさき音の雪の駅

 磯巾着お口に手当てほほほほほ      雲水

おぼろ月あれあのほらそれなんだっけ

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547  変りなき暮らしいつまで花見酒    潤子

2012年04月06日 | 

生ずるは独り、死するも独り、共に住するといえど独り、さすれば、共にはつるなき故なり

 念佛の行者は智慧をも愚癡をも捨て、善惡の境界をも捨て、貴賤高下の道理をも捨て、地獄をおそるる心をも捨て、極樂を願ふ心をも捨て、又諸宗の悟をも捨て、一切の事を捨てて申す念佛こそ、彌陀超世の本願に尤もかなひ候へ。

 かやうに打ちあげ打ちあげ唱ふれば、佛もなく我もなく、まして此内に兎角の道理もなし。善惡の境界、皆淨土なり。外に求むべからず。厭ふべからず。よろづ生きとし生けるもの、山河草木、吹く風、立つ浪の音までも、念佛ならずといふことなし。(一遍上人)

昨日の千歳川

今朝の長興山紹太寺の枝垂桜

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546  ふつふつと幹を流るる桜かな

2012年04月05日 | 

 ある染色家が言っていた。桜が咲く前の樹皮で、布を桜色を染めることができる、と。それも桜の咲くこの時期のものでなければならないそうだ。

桜色が、根っこから樹幹を通って全ての枝の隅々まで運ばれてゆく。染色に関しては一種の化学反応だからこの話は疑わしいが、それはさておき、さくらの花びらに色素が送られてゆくのは間違いない事実だ。

 花の咲く前の桜の幹の中を、枝の中を、桜色になるべく樹液が音を立てて流れて行くのは、想像するだけで楽しいし、桜の木がなおさら愛おしく感じられる。

ヒメオドリコソウ

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545 花嵐散歩を尻尾が拒みおり

2012年04月04日 | 

(はなあらし さんぽをしっぽが こばみおり)

 隙あらば逃げ出して、遊びに出かけようとする我が家の犬、デン。自由にしてやりたいのだが、残念ながらそうはいかぬ。

 万一、人に吠えたり、餌をねだったり、幼子やお年寄りを驚かしたり、噛みついたら、飼主責任は重い。オーストラリアでは、犬を家の外に放すと犯罪として罰せられるという。犬にとっては、迷惑な時代に違いない。

 そんなデンでも、昨日のような嵐では散歩を嫌がるから実に可笑しい。しかし、連れ出さない訳にはいかないのだ。ウンチ・オシッコをするまでは、帰れない。

 でないと、明日の朝、たぶん4時ごろからうるさくてかなわないのだ。

タラの芽

タラノキ(楤の木)ウコギ科

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544  孤高なる老樹を溢る桜かな

2012年04月03日 | 

(ここうなる ろうじゅをあふる さくらかな)

 小田原市入生田に、禅宗の一つ黄檗宗の長興山紹太寺がある。江戸前期に隠元禅師が伝えたのが黄檗宗。紹太寺は、江戸期小田原城主稲葉氏一族の菩提寺でもある。この寺は、普茶料理でも有名で、昔は予約するのさえ大変だったそうである。

 そこに樹齢340年と言われているしだれ桜がある。何十本もある満開の公園の桜や並木の桜もいいが、たった1本の老樹のしだれ桜も、確かに見ごたえがある。久し振りに見に行ってみるか。

ツクシ(土筆)、ツクシは、スギナ(杉菜)の胞子茎

スギナ(トクサ目トクサ科)

 

 

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543   晴れ女にもひとときの花の雨

2012年04月02日 | 

 

 私の知人に、自称他称の「雨男」がいる。遊びでも仕事でも、彼が行くと雨どころか、しばしば大雨や台風になったりする。

 事前に、彼が熱海に来ることが分かると、家族や知り合いは「それじゃあ、きっと雨だ」、と思う。そして、ホントに雨になる。遊びに来る場合はまだ良いが、これが出張などが多い仕事だったらさぞ大変だろう。

 この句は、その反対で自称「晴れ女」の句。世の中、自称晴れ女や晴れ男も結構いる。実は、私も典型的な晴れ男なのだ。

 と言うのも、行事があって万一雨になったら、それは雨女か雨男のせいである。従って、私の責任ではないから、いつまでも私が晴れ男であることは揺るがない、という実に身勝手な晴れ男である。

ヤマガラ(山雀)

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