一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

675  送り火の煙と共に灰左様なら  三九

2012年08月16日 | 

  お盆の日取りは、3種類ある。①新暦の7月15日。②新暦の一月遅れの8月15日。そして、③旧暦の7月15日(今年は、新暦の9月1日)

現在全国的には、②が最も多いが、③が歴史的にも正しい。

 以下の短歌は、十返舎 一九の辞世の狂歌と言われている。

この世をば どりゃ御暇に 線香の 煙と共に灰左様なら    一九

(このよをば どりゃおいとまに せんこうの けむりとともに はいさようなら)

それをパクッたらしいのが掲句。

一九(一休とも読める)の代表作は、弥次さん喜多さんが登場する、かの有名な「東海道中膝栗毛」

この世には、どこまでが本気で、どこまでが冗談か分からないような話をする御仁が時々いるが、元祖は落語などと同様、どうやら江戸時代に始まったのかもしれない。

作者の名前、三九は、thank youとも読めて面白い。

ムクゲ(木槿)別名:ハチス  アオイ科の 落葉低木。

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674  父似なる声に驚く敗戦日

2012年08月15日 | 

  子供の頃は、「父親に似ている」と言われたら、本当に不愉快で嫌だった。しかし、亡くなって20年余も経つと、様々な感情から、懐かしさだけが残ってしまった。

 だから、喋っている自分の声が、ある時突然父の声に似ていて驚くが、それは懐かしさが含まれての驚きなのである。

 又、父の戦友の妹が母だから、私達兄弟は、第二次世界大戦がなかったら、生まれていなかったことになる。そんな縁に感慨もひとしおである。

スイレン(睡蓮) スイレン科スイレン属

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673  星月夜天動説も捨て難し  健

2012年08月14日 | 

  知識としては、地動説が正しいことは、分かっている。しかし、実際星空を眺めていれば、地球が動かず、空が動いている、というのが実感だろう。

 つまり、我々庶民にとって、地動説だろうが天動説だろうが、どちらでも構わないし、どちらかといえば、天動説の方が現実的で魅力的なのである。

 天動説は、数々のギリシャ神話や、日本でもかぐや姫などの星や月にまつわる物語を作り出した。そういうロマンをぶち壊したのが科学技術であって、全くの有難迷惑なのである。

 更に、あろうことか、大気圏外には、日本を含む各国が打ち上げた人工衛星の宇宙ゴミ(スペースデブリspace debris)が、4500トン、微小なものも含めると数千万個も浮遊しているという。

 これを人類の英知、科学技術の進歩などと言って、手放しで喜べようか。

ヒルガオ(昼顔)   ヒルガオ
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672  内側の外側にいて秋立ちぬ   春樹

2012年08月13日 | 

 この句、昨日までは夏だったから「夏の内側、秋の外側」にいたことになる。ところが、今日は秋だから「秋の内側、夏の外側」にいることになる。つまり、(秋の)内側にいて、(夏の)外側にいる。昨日まではその逆だった、というわけだ。

屁理屈かもしれないが、理屈上はそういうことになる。

  立秋によって、同じ場所で同じ生活をしていながら、夏の内側から外側に変わってしまった、作者の新鮮な驚きが感じられる。

 とすると、この句は夏を見ている立ち位置だが、真後ろを振り返れば、秋と冬を仕切る透明なガラス戸が、もうそこに見えているに違いない。

カンナ(カンナカンナ属)

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671  掃除洗濯はや新涼を使い切る   布沙子

2012年08月12日 | 

(そうじせんたく はやしんりょうを つかいきる)

 「新涼」とは、秋になって初めて覚える涼しさで秋の季語。「涼し」「朝涼」「夕涼」などは、暑さの中の夏に覚える涼しさで夏の季語。ややこしいと言えば、確かにややこしいが、こういう俳句独特の取り決めに文句を言っても始まらない。

 それにしても「新涼」とは、なんと美しい言葉だろうか。多くの人々が、歳時記からこういう言葉を発見して、俳句の虜(とりこ)になってゆく。

 この句の「新涼」は、「朝涼・あさすず」と言えるもので、早朝の掃除洗濯が終わったら、早30度を越えるような残暑になったのだろう。

キンミズヒキ(金水引) バラ科の多年草

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670  樹液吸う寄ってたかってたまに喧嘩

2012年08月11日 | 

(じゅえきすう よってたかって たまにけんか)

 コナラ(小楢)やクヌギ(檪)の樹液を吸う虫たちは、相当いる。

ハエ(蠅)類は、 ショウジョウバエ、ホシアシナガヤセバエ、モンキアシナガヤセバエなど

チョウ(蝶)類は、 アカタテハ、サトキマダラヒカゲ、ルリタテハ、ゴマダラチョウ、クロヒカゲなど

クワガタ類、カブトムシ、ヨツボシケシキスイ、カナブン、シラホシハナムグリ、カミキリムシ類、ムカデ類、スズメバチ類・・・・と上げ出したら切りがないほど色々いるらしい。 

 喧嘩する人間も、虫と大して変わらない。というより、虫の方がよほど穏やかだ。鉄砲も戦車も核兵器もなくて、素手で戦うんだから。

何ユリでしょうか?

オトメユリ(乙女百合)はユリ科ユリ属の植物でした

別名、 ヒメサユリ(姫早百合・姫小百合)。

自生している地域では、「オトメユリ」よりも「ヒメサユリ  」で知られている場合が多いとか

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669  ヒロシマ忌まひるの冷やし麦茶かな

2012年08月10日 | 

 シリアの内戦には、心が痛む。権力欲などの欲望が招く闘争。そのための兵器の開発、武器の輸出。金儲けのために売り、殺すために買う。

 日本もつい67年前まで、戦争をしていたのだ。人間とは、一体何なのか。権力を握った人間は、どうして狂うのだろうか。野田総理も、狂ってしまったのではないだろうか

 歴史は繰り返すというが、戦争を知らない人間ほど戦争をしたがるらしい。だから、日本だって危ない。世界中が危ない。

 それなのに私は今、テラスの木陰で麦茶を飲んでいる・・・・・・

ゲンノショウコ(現の証拠)は、フウロソウ科の多年草、

別名イシャイラズ(医者いらず)、タチマチ草、ゲンソウ(玄草)、ミコシグサ

 

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668  あるだけの窓を閉めゆく夜の秋

2012年08月09日 | 

  立秋以後、昼のまだまだ残暑厳しき折、夜になってようやく涼しさを覚える「夜の秋」。「夜の秋」は、歳時記では夏の季語だが、秋に入れるべきでなないだろうか。逆に「秋近し」は、明らかに秋ではない。「涼し」は、暑さの中ゆえに、探したり作り出したりする「涼し」だから、夏でなければならない。

 快適に眠るには、窓を閉めるのも1案だが、半袖半ズボンを長袖長ズボンにするのも1案だし、上掛けを厚手の毛布などに替えるのも1案。

 この句、深夜に目覚めた時、肌寒さを覚えたのだが、やや風が強かったので窓を閉めることにした。

セージ  シソ科アキギリ属の多年草

 

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667  撫子や狂へば老も聖童女  蓼汀

2012年08月08日 | 

 (なでしこや くるえばおいも せいどうじょ)

 ナデシコ(撫子)は、秋の七草の一つで、かわらなでしこ(河原撫子)、ヤマトナデシコ(大和撫子)とも言い、古名の「とこなつ」、別名「おもひぐさ」「なつかしぐさ」などとも呼ぶ。

 さて、耳が遠くなるのは、俗世間の雑音を避け、安らかに暮らせということ。老眼になるのは、細かい仕事や読書などは止めろということ。体力がなくなるのも、記憶力が減退するのも、今までのようにあくせくせず、のんびり暮らしなさいということ。

 最終的な痴呆やボケなどは、死の恐怖からの解放であって、だからこの句のように、美しかった少女が、老いて認知症になり、再び穢れのない聖童女に戻るのも、すべて神様の優しい計らいであり、実に有難い御沙汰なのである。

サンゴバナ(珊瑚花) キツネノマゴ科キツネノマゴ属、別名ジャスティシア

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666  立秋や蝉の音にこそ驚きぬ

2012年08月07日 | 

(りっしゅうや せみのねにこそ おどろきぬ)

 今日は立秋である。「今日から秋」と言う意味なのだが、現代俳句協会編の「現代俳句歳時記」では、夏に分類されている。新暦の8月を夏にすることによって、広島・長崎の原爆忌や敗戦忌(終戦記念日)、朝顔や西瓜なども夏に組み入れられた。

 植物や動物をどこに入れようとかまわないが,立秋を夏に入れるとは、どういう歴史観を持っているのか、疑ってしまう、と言うよりその無節操に呆れてしまう。

 そんなことより、歳時記で困るのは明治以前の節句や忌日、祭などの行事である。例えば、お盆は本来、旧暦の7月15日満月に行われねばならないが、明治に新暦になってから、新暦の7月15日に行ったり、一月遅れの8月15日に行われたりしている。新暦と旧暦がごちゃごちゃになって迷惑しているのだ。

 さて、夏の蝉に分類されている「みんみん」が鳴き出した。つくつく法師と共に、私にとっては秋の歳時記に入れたい蝉である。

キョウチクトウ(夾竹桃)  キョウチクトウ科キョウチクトウ属

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665  韓国の靴流れ着く夏の暮   實

2012年08月06日 | 

 (かんこくの くつながれつく なつのくれ)

 韓国の川にゴミを捨てれば、黒潮から別れた対馬海流に運ばれて、自然と出雲などの日本海沿岸に漂着する。それと同様、開闢以来2000年間に、朝鮮半島から渡って来た、渡来人は1千万人以上とも言われている。

 渡来人によって縄文人が駆逐され、大和朝廷が成立したのであり、現在の日本人のほとんどは縄文以後の渡来人の末裔であるらしい。DNA鑑定によれば、これに北方系と南方系が加わるようだ。

 藤村の詩にある「椰子の実」などの自然物ではなく、今や靴やペットボトル、や油の固まりなど科学製品が流れ着くのだから、嫌な時代になったものだ。

 「流れ着く」を使うことによって、作者がそういう現代批評の精神をもって、この句を作っただろうことは、容易に想像される。

 オニユリ(鬼百合)ユリ科 ユリ属

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664  緑陰の椅子とテーブル水羊羹

2012年08月05日 | 

(りょくいんの いすとテーブル みずようかん)

 子供の頃の夏の思い出の食べ物と言えば、第一に母の作った水羊羹。粉末のこし餡と砂糖、塩、寒天で簡単にできる。冷蔵庫の冷やした、流し缶に固まったとろけるような水羊羹を食べたいだけ好きに切って、食べる。それはそれは実に旨かった。

 ところが、有名な虎屋の羊羹など、固くてねとねと歯に絡み、私の好みで言えば、食えたものではない。そういう上等と言われている羊羹を、もう一度鍋で溶かし、自分の好みに薄めて作り直すことができることを、最近教えてもらった。

シコンノボタン(紫紺野牡丹) ノボタン科

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663  風鈴の吊り処きく風もなし  歩智

2012年08月04日 | 

(ふうりんの つりどころきく かぜもなし)

 買って来たのだろうか。風鈴を軒先に掛けたいのだが、どこに掛けたらよいかと思案していて、全く風がないから、釘を打つことができない、と嘆いているのだろう。とにかく、風が出るまで待つほかない、ということらしい。

 句会で、この句を見た時、「風鈴の吊り処きく風少し」の方が良いのでは、などと余計なことを言ったが、原句「風もなし」の方が余程良い。

 朝凪か夕凪か解らないが、風のない蒸し暑さに辟易しているのであろうし、風を待望している作者の心持が伝わって来るからだ。

 又、「吊り処」も「きく」も旨い表現だ。

手摺りに作っていた足長の巣が、台風で無くなったと思っていたら、

今度は2階の軒下にしっかりと作っています。

 

 

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662  落とし文折り目きっちりにて候  炎火

2012年08月03日 | 

 (おとしぶみ おりめきっちり にてそうろう)

インターネットで公開している、山形県月山自然博物館の制作した、虫のオトシブミが、落とし文を作る映像。(←クリックすると見ることができます)

サワグルミの葉を葉の中心辺りから主脈に向かって切り、葉の先端から二つに主脈に折り始め・・・・・中に卵を産んで、最終的にきっちり解けないように結んで、地面に落とす。

この1連の作業を間違いなくこなす能力が、彼女のDNAにきっちり組み込まれている、そのことに私は感動してしまう。

たぶん、作者も同様の映像を見たのであろう。日頃、全く使わない「候」を使うことによって、作者の感動が伝わって来るから不思議だ。

ヤマユリ(山百合) ユリ科ユリ属

百合根は、イノシシの好物らしく、庭に植えたカサブランカが、すっかり食べられてしまった。

こうイノシシが増えては、野山の山百合は全滅するかもしれない

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661  炎天や日立タイムの冷蔵庫

2012年08月02日 | 

 6年前に買った日立の冷蔵庫が、1年余りで自動製氷機が壊れた。補償期間が過ぎていたし、友人の冷蔵庫も、やはり同様に製氷機が壊れて修理を依頼したところ、1万円もかかったと聞いていたから、修理依頼は止めていた。何故なら、大きなタッパーに水を入れて凍らせ、アイスピックで割った方が、よほど良い氷が出来るからだ。

 しかし、今回は、ハンマーで叩いたような音が数分、1日数回起こるようになった。発火の危険性があると困るので、修理を依頼した。

 今までの日立と言えば、モーターで有名だったが、故障はそのモーターで、どうやら補償期間が切れる頃に壊れるような製品作りをしているらしい。

 そういえば以前、ソニーのデジカメを3万円で買って、やはり1年余りで故障したことがある。修理に出したら、1万5千円もかかるという。随分悩んだが、結局仕方なく修理を依頼した。ソニーのオーディオも、MDが同じように壊れている。その時に、「ソニータイム」という言葉があることを知った。これは、ソニーだけに止まらない。たぶん、日本の大手電気機器メーカーの全てがそうなのだ。つまり他にも、日立タイム、東芝タイムなど・・・・

 今年の3月期の決算で、パナソニックが4000億の赤字を出したと聞いたが、消費者を無視し、1年余で壊れるような製品を作っているようでは、倒産するのは時間の問題だ。

 日本の大手電気機器メーカーが成長できたのは、丈夫で長持ちする製品を作り、日本ブランドとして、信用を得てきたからではないのか。物造りの原点を是非再考してもらいたい。

 

 

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