一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

764  ようこそ窯ウォームシェアに美女二人

2012年11月15日 | 

 今日、今年一番の寒気がやって来た。朝の気温が、室内で14度。12月中旬の寒さという。北国の人が聞いたら笑うだろうが、早くも石油ストーブにスイッチを入れて、今日からズボン下を穿くことにした。作業場の薪ストーブにも火を入れることに。

 さて、ルームシェアは知っていたが、ウォームシェアは初耳だったので、早速一句。今日は、間違いなく身も心も美しい女性二人がやって来る予定なのだ。

 「ウォームシェア・俳句」で検索したが、まだ俳句は見当たらない。 

ピラカンサス. バラ科 トキワサンザシ属の 常緑 広葉低木

常盤山櫨子(ときわさんざし)、橘擬(たちばなもどき)

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763  畳屋の間口全開今朝の冬  京子

2012年11月14日 | 

(たたみやの まぐちぜんかい けさのふゆ) 

 建築では工場生産の規格品が増えて、誰でもできる簡単な仕事が多くなったようだが、畳や建具などはそうはいかない。寸分違わず畳を敷くには、必ず現場の寸法を測らねばならないからだ。

この句の畳屋も、昔ながらの畳屋のようである。寒さをものともせず働く姿には、頭が下がる思いがする。

 しかし、この数十年で、日本の町から染物屋、鍛冶屋など多くの店や職人が消えていった、と思っていたら、庶民から見えなくなっただけで、大きな工場や小さな町工場の中にも、様々な職人さんが結構頑張っているらしい。

ダイモンジソウ(大文字草) ユキノシタ科の多年草

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762  みづうみを眠らせておく白障子   和子

2012年11月13日 | 

 みづうみ(湖)が眠っているというが、夜ではなく昼間だろう。夏には賑わっていたかもしれない湖も、冬の今時分は人っ子一人いない。

 そんな静けさの湖に向かう障子を閉めておくのは、実に勿体ないような気がするが、何か期することがあるのだろう。単に見飽きただけかもしれないが、この句内省的である。

 竪穴式住居から始まった住宅は、熊や猪、毒蛇や蚊や蠅などから身を守るのが第一だったろう。堅牢な住宅によって安全を、何と言っても安眠を獲得したが、それによって人間は、動物的能力、例えば聴力を著しく低下させた。

 その点、障子は自然界と柔らかく繋がっている。

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761  柿紅葉死ぬの生きるの言った頃  純子

2012年11月12日 | 

「紅葉」の読み方には、①もみじ②こうよう、の二種類あり、意味にも二種類ある。

①  「もみじ」は、「イロハモミジ」のように、樹木のカエデ(楓)そのものを言う。

②   秋になって、木々の葉が赤くなることを「コウヨウ(紅葉)する」と言い、又「モミジ(紅葉)する」とも言う。この場合は、カエデのことではなく、全ての木々のことを言う。ややこしいが、例えば、モミジヤマ(紅葉山)、タニモミジ(谷紅葉)ハゼモミジ(櫨紅葉)、ツタモミジ(蔦紅葉)、カキモミジ(柿紅葉)などと使う。

 さて、「死ぬの生きるの」とは、「私にとって、生とは何か、死とは何か」という哲学的命題の考察を言うのだろう。幸か不幸か、大抵の人間が、青春期に通過する問題である。

 若さゆえの空理空論の「哲学的命題」。ところが、今まさに眼前に迫って来ている「死ぬの生きるの」なのだ。

ルリマツリ(イソマツ科ルリマツリ属) 常緑半つる性低木(南アフリカ原産)

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760  大声の兄弟四人初時雨

2012年11月11日 | 

(おおごえの きょうだいよにん はつしぐれ) 

 私には、3人の姉がいる、ということは3人の義理の兄がいる。この3人が3人とも声が大きい。声が大きいのは、親分肌であり、明るく豪放な正直者である、という証拠でもある。

又、3人とも酒飲みである。宴会が始まったら、怒鳴り合っているようで、それこそ実にやかましい。勿論、喧嘩になることもなく、実に楽しい酒飲みではある。

だから、元来気が小さく、声も小さい私さえ、ついつい負けじと声が大きくなってしまう。

ランタナ クマツヅラ科の常緑小低木。中南米原産 。和名はシチヘンゲ(七変化)。

 

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759  木の葉散る自力の他力と木の葉散る  都峰

2012年11月10日 | 

「他力」とは、浄土宗・浄土真宗の阿弥陀信仰の教義で、「阿弥陀如来が衆生を救済する力」をいう。一方、「他力」の対語としての「自力」は、人間の身勝手な思慮や行動などである。

 しかし人間の日々の一挙手一投足、一思一考も、阿弥陀如来によって動かされているのであって、

如来の智慧と慈悲(本願)のはたらきに目覚めさせられることにより救済される、というのが根本のようである。

 従って、この句の「自力の他力」とは、「自力自力、俺が俺が」と言うけれど、「実は阿弥陀如来の大きな力(他力)によってあなたは動かされているのです。有難や、ああ、有難や」という意味であろう。つまり

木の葉散るああ有難や木の葉散る

キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)

ナス科キダチチョウセンアサガオ属

別名、エンゼルトランペット、ダチュラ

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 758  冬近し積まれし薪の匂ひけり   稱子

2012年11月09日 | 

 木々の中で、特に松の香りが精神病に効く、というのは以前(257回)書いたが、どんな木でもそれなりに効果はある。窯場の薪置き場に来て、松の匂いを「芳香」と感じた人は、どこか精神病的要素があるのかもしれない。

木の香り成分を総称して、フィトンチッド(Phytoncid)と言うそうだが、人間にとって免疫力の向上などに寄与するそうだ。つまり、体に優しく、心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらすのである。

 いづれにしても人間にとって、地球上における、生存に必要な、最も重要な存在は、植物なのであって、人間が作り出した科学製品などではない。

キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)

ナス科キダチチョウセンアサガオ属

別名、エンゼルトランペット、ダチュラ

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757  七竃混み合う地下のティールーム  鼓夢

2012年11月08日 | 

  ナナカマド(七竈)は、バラ科、ナナカマド属の落葉高木。夏に白い花を咲かせ、秋に真っ赤な実が成り、葉の紅葉も見事。七竈の語源は、七度窯に入れても燃え尽きない、という俗説からきている、という。

 混み合っているのは、地下(街)なのか、ティールームなのか。言葉の順序から「地下街」にしておく。ティールームのショーウインドウの大壷にどさりと七竈が活けてある。

 もしかすると、その懐かしき七竈に釣られて、入った北国の客で混んでいるのかもしれない。とすると、混んでいるのは、やはりティールームかもしれない。ならば、七竃地下の混み合うティールームがふさわしいかも知れない。

チャノキ(茶の木) ツバキ科ツバキ属の常緑低木

 

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756  冬立つ日自負をうながす鳥がきて  仁

2012年11月07日 | 

 今日は立冬。暦の上でも俳句の上でも、今日から冬である。

  「自負」とは、「自分に負ける」ではなく、「自分を背負う」という意味。自分の学業や仕事、才能などに自信を持つこと。

  自負をうながす(促す)鳥・・・・うながす相手は、作者自身であろう。「もっと自分に自信を持ちなさい」と言う鳥。しかし、そんな鳥を、私は知らない。

  みすぼらしい鳥それとも美しい鳥だろうか。小さな鳥それとも大きな鳥だろうか。留鳥それとも渡り鳥だろうか。山野の鳥それとも海鳥だろうか。

  「どんな鳥なのか、想像がつかない」私が、馬鹿なのだろうか。どうしてもそう思えてくる。つまりこの句、自負をうながさないどころか、自信を喪失させる句のようである。

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755  曼珠沙華活断層の地を走る  貞次

2012年11月06日 | 

 この句を直訳すると、「曼珠沙華が活断層の地を走っている」となる。しかし、作者の本意は、「曼珠沙華が咲いている/この地を活断層が走っている」である。

  では、「曼珠沙華活断層が地を走る」とすれば良いではないか、と思うのだが、この作者のように、そうは問屋が卸さない。

 俳句では、この句のように、助詞の「は」や「が」を使うのを嫌い、何故か「の」を使いたがるのだ。「理由は?」

 「さあ、よく分かりません」

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754  身に入むや朱肉に深き窪みあり  薪

2012年11月05日 | 

(みにしむや しゅにくにふかき くぼみあり) 

先月の句会で高得点だった句。私は「深き」がオーバーな表現ではないか、と思い、選ばなかったが、皆さんの講評では、

 「長年使い続けた窪みのある朱肉を見ると、様々な過去が思い出される。結婚や子育て、借り入れや保証人の書類など、特に実印が必要になる時は、その重要性に大いに気を使った。そんな様々な若かりし頃のことが思い出されて感慨深い」、という。

 ところが、我が家には窪みのある朱肉がない。何故なら、日頃の宅急便などのハンコは、シャチハタの印鑑が幅を効かせているし、朱肉の出る幕がめっきり減っているからです。

ウメバチソウ(梅鉢草) ユキノシタ科 ウメバチソウ属

 

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753 小鳥来る少女のような小児科医   野里女

2012年11月04日 | 

 冬鳥として大陸から渡って来る小鳥は、ツグミ(鶫)、ヒワ(鶸)、アトリ(花鶏)、カシラダカ(頭高)、ジョウビタキ(尉鶲)など

 6年の医学部を卒業し、国家試験に合格して、2年の臨床研究が済んでようやく医師となるようだが、最短でも26才。

 さて、大学病院の小児科に、連ドラの「梅ちゃん先生」のような、少女のような女の子がやって来ましたとさ。口が達者で生意気なすれっからしの女の子が多い現代で、育ちが良くてお嬢様のような、おしとやかな女医さんがやって来ましたとさ。

 ところで、私が通っている病院の女医さんは、「梅ちゃん先生」から50年経っったような先生で、眼力も腕も確かだが、今ではひそかに「罵倒観音」と呼ばれています。

セイタカアワダチソウ(背高泡立草) キク科アキノキリンソウ属の多年草

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752  豆腐屋のラッパの響く秋夕焼  しずか

2012年11月03日 | 

(とうふやの ラッパのひびく あきゆやけ)

 歴史の中から探せば、産業革命以前、近代科学文明発生以前を、日本ならば「江戸時代」を理想に近い社会と考える私にとって、江戸・明治・大正・昭和にはあって、平成にはないであろう豆腐屋のラッパの響く、道路や家並みなどの光景は、懐かしく恋しい。

 しかし、最近のちり紙交換や選挙カーのスピーカーから流れる電子音。テレビやラジオ、音響機器から流れる電気的音楽。本当は、こんなものを喜んでいるようではいけないのだ・・・・・・・

 

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751  秋夕焼浴びて石仏多情なり  正太

2012年11月02日 | 

 「多情」とは、①情が深くて、感じやすいこと。②異性に対する心が移りやすいこと(移り気)。

 作者は、石仏に対して言っているから、まさか②ではあるまい。唯、一般的に「多情」は、②を指すことが多く、違和感は感じる。

 好意的に①と考え話を進めると、五百羅漢など沢山の石仏があるのかもしれない。勿論、そうではなくて、一体の石仏が夕日を浴びて、情が深く複雑な表情を読み取った、と考えるべきだろう。

 「多情な石仏」がどこにおわすか、作者に尋ねて一度見に行かねばなるまい。

マユハケオモト(眉刷毛万年青)

 流通名, ハエマンサス.  ヒガンバナ科.  ハエマンツス属.  常緑 多年草(半耐寒性).

 

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750  絶滅種一つ増やして獺祭忌   となみ

2012年11月01日 | 

 

(ぜつめつしゅ ひとつふやして だっさいき) 

獺(かわうそ)は、ネコ目イタチ科カワウソ亜科に属する哺乳動物。ニホンカワウソは、既に絶滅種だそうである。先日、土佐の四万十川で、見なくなって40年経つニホンカワウソを、船から探し続けている方を、放映していた。

獺祭魚(たつ、うおをまつる)は七十二候の一で、2月19日。元来は、春になってカワウソが漁をはじめ、カワウソの習性として捕らえた魚を、人間が先祖を祭るときの供物のように川岸に並べることから、書物を多く紐解き、座右に並べて詩文を作ること、また好書家、考証癖、書癖などを言う言葉にもなった。

 正岡子規が、自身を「獺祭書屋主人」と呼んだので、子規の忌日9月19日を獺祭忌(だっさいき)と呼んでいる。

イヌタデ(犬蓼)タデ科の 一年草

別名、アカマンマ(赤マンマ)

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