キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「田舎はいやらしい~地域活性化は本当に必要か? 」

2022年09月16日 | Book
著者は様々な技能を持つ有資格者。 九州南部の過疎地に住む。
都会人がイメージしたり調査した田舎と、実際に住んでみた田舎には大きな違いがある。 政府が掲げる「地域活性化」を、過疎地の人達は本当に望んでいるのかがテーマ。 
都会に住む知識人が見た田舎は、ある意味理想郷に見えるので、賞賛したりポジティブな評価をしたりするけれど、長く生活してみると田舎特有のいやらしさがあるという。
田舎者の傾向として、あまり変化を好まない、仕事の責任を取らない、人に押し付ける、仕事の改善意識がない、仕事の丸投げをする、引き継ぎをしない、失敗を責める、会社は年功序列が当たり前、小さな会社は基本的にブラック企業、労働基準法の遵守意識がない、テレビが全てであり有名人に憧れ、出会うと大騒ぎ、コミュニケーションが下手で相手が知っている前提で話を進める、意外に不親切、郷土愛が強すぎる等々。 
都会でもそういう事例はあるが、根本的に都会人とは違うマインドを持っており、昔からの流儀を理解して付き合わないと大変。 実は、政府の役人や知識人が掲げる地域活性化を、田舎では全く望んでいない。 現状のまま何も変わらないことが重要と言う。
自分も40年前に、著者と同じ地域に約10年間住んだことがあり、なんとなく感じていたことが、この本でよく整理・考察されており共感を覚えた。 昭和50年代に感じたことを、令和のこの時代でも同じように感じる人がいるということは、過疎地に住む人たちの慣習は昔から何も変わっていないという事だろう。情報化社会になって表面上の生活スタイルは変わっても、地域に脈々と受け継がれた人間の本質、生活や慣習は変わらない。都会にもいやらしさはあるけれど、田舎は人間関係が濃密な分だけ、都会人にはいやらしさを強く感じてしまうのだろう。
この本のタイトルは変な感じだが、中身は大変面白かった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする