「シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略」レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース
時代は個人所有から共有へ進むというのが著者の主張。確かにインターネットの出現で、他人との情報共有がやりやすくなった。他人との接点を持つのも容易で、それがモノのやり取りを便利にしている。インターネットが登場した頃は、企業からの情報発信がメインだったが、その後双方向のコミュニケーションツールとしての役割が強くなって、その間を取り持つビジネスが盛んになりつつある。また、経済危機、環境保護意識の高まりがリユースの傾向を後押しし、ネットを使った物々交換、余剰資源の活用などの新しいビジネスも登場している。
とにかく著者が集めた数多くの事例が紹介されていて、最初は興味深く読んでいたが、日本には馴染みの無い企業が多いこともあって、読み終わった時には、紹介されていた企業の名前をすっかり忘れてしまった。この本が米国で出版されて1年になる。ここで紹介された事例が今も上手く行っているかどうかは判らない。往々にして最初は注目を浴びるが、何かのきっかけで閉鎖されるサイトも多い。多くの人間が介在するとトラブルも増えるので、それを上手く乗り切る仕組みを持ったところが生き残ることになるのかも。
この本を読んで、これからはシェアの時代だからと安易に流行に乗るのではなく、自分にとってその必要性をまず見極めることが重要ではないかと思った。