Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダリアの花、131

2017-04-11 10:36:17 | 日記

『なんだ、お父さんとおじさん仲がいいんだ。』何だか父の様子が怒っているようだと感じ、2人は自分を遠ざけて、

その後喧嘩でもするのではないかと案じていた蛍さんは、思わずほっとして胸を撫で下ろしました。

 蛍さんが父の険悪を感じながらも2人の傍を離れたのは、父がそうでも、

相手のおじさんがにこやかで喧嘩腰ではなかったからでした。

その様子に、彼女は2人がそう変な事にはならないだろうと予測して2人の傍を離れて来たのでした。

又、もし喧嘩が始まれば、自分より母の方が仲裁として頼りになると知っていたからでした。

『一応お母さんにこの事を報告しておかなくちゃ。』と、彼女は座敷へ急ぎました。

 お父さんと、お父さんのお友達のおじさんが、仲良く本堂で話をしている。

そう娘から聞かされた母は、まぁ、あの人は知り合いと話し出すと長いからねぇと、ホホホと微笑むと、

お父さんの友達って誰かしら?と気になり、何となく本堂へ行ってみるのでした。

 そこで彼女は夫をなだめて座敷へ連れ帰るという大仕事を遣り終える事になり、皆が待つ座敷にやれやれと帰って来ました。

父は廊下の端で頭を冷やしてから入ると、頬を赤くすり成して、気持ちが静まるのを待っていました。

本堂では、腰を落として頬を撫でながら、光君の祖父が、やれやれと、娘の父というのは真面に相手に出来ないと呟くと、

孫娘の祖父としての自分の立場を初めて第三者の目で見て考えてみるのでした。

 『ああ、孫もやはり男が一番だな。男同士だ。』そう考えると、この案外気に入っていた世界も急に色褪せて来て、

元の光君のいる世界に帰りたいと願わずにはいられ無くなって来ました。


ダリアの花、130

2017-04-11 09:31:40 | 日記

 蛍さんの目の前の男性は目を怒らせていますが、目の前の父娘のやり取りが可笑しくて、

つい口に手を当てて、確りと目は怒らせているつもりですが、

手の下に隠した口元同様目も緩んで段々と細くなり、ついには顔を親子から背けて、肩を震わせると、

くくくと忍び笑いをしてしまい、おかげで目には涙が溜まってしまいます。

 そんな男性の背を見て、蛍さんの父は堪忍袋の緒が切れました。それは自分の娘の蛍さんにでしたが、

怒りの先は目の前の娘の相手をしていた男性に向かいました。いわゆる八つ当たりです。

 逆上して赤い顔をすると、娘にはお前座敷に行っておいで、と優しい声音で言い、

お父さんが悪かったねと謝り、手で娘の向きを変えると、ほいっと後ろへ押しやりました。

 蛍さんにすると父のごめんねの言葉が聞きたかったので、おとうさん、ごめんねを言っていないよと、

いつも自分が悪かった時に必ず父に言わされる言葉を、この機会に絶対彼に言わせるぞと頑張ります。

 父は癇癪が募って来ているのに、娘が傍らから離れて行かないものですから、

怒りが堪え切れ無くなって困ってしまいました。この儘では娘の目の前で醜態をさらす事になります。

 父は事休すという状態を感じて、無言で必死に感情を堪えたため酷く赤黒い顔になってしまいました。

それを見て、彼の身を心配したもう1人の男性が機転を利かせました。

「お嬢ちゃん、後から謝ってもらいなさいね。おじさんもお父さんに話があるから、蛍ちゃんは向こうに行っててくれないかなぁ。」

と、片手で拝みながら笑顔で優しく頼みます。

それならと、他所のおじさんに優しく頼まれては断れませんと、蛍さんは機嫌を直してと奥へと消えて行きました。

 さて、残った2人の男性は、片方は肩を怒らせ、その怒りにぶるぶると震えています。

相手に親切にされたので、直ぐに怒りの持って行きようがありません。

 もう片方はにやけて目が細くなり、その赤くなった目の涙を拭い、口元が緩むのを必死に堪えています。

思いっきり笑うという事が相手の男性に悪くて出来ません。

しかし次の瞬間、思わずぷっと口から息が出てしまうと、彼はクックククと身を屈めて腹に手をやり笑ってしまうのでした。

その途端、蛍さんの父が抑えていた怒りが爆発しました。

 パチン!

蛍さんは廊下を曲がろうとした所で、後ろでパンと何かが弾ける音がしたので、振り返って父と男の人を見ました。

2人の陰は何だか重なって見え、俯いてひそひそ話をしているように感じました。


花まつりの日

2017-04-11 09:20:33 | 日記

 大仏と言えばお釈迦様。お釈迦さまと言えば誕生祭の花まつりの日。

白い象の行列や、お釈迦様の像に甘茶を掛ける事。

昔よく園児が白い像を先頭にパレードしていた姿を思い出します。

近くのお寺が到着地点、よく私も甘茶を掛けに行きました。

名前が甘茶だけに、甘いお茶なのかなと、飲みたく思いながら、柄杓から注がれる茶色いお茶の流れを見つめていたものです。

 今は昔です。当時園児だった私も、すっかり…になり、象の行列も今はなくなり、

そのスタートのお寺も無くなってから久しくなりました。