女性というのは魔物だね。男の人は呟きます。
こんなに小さくても男性にとっては魔なんだなぁ。女の子か、返って身内の子供の方が始末に負えないものなのかもしれないなぁ。
何だか嬉しそうにも聞こえる語調です。顔も目尻が下がって、頬もうっすらと赤く染まっています。
そんな男性を見ていると、蛍さんは本当にこの男の人って変な人と思います。
「おじさん何だか変。」
そう言って、ホーちゃんもう座敷に帰ると彼に背を向けて駆け出そうとしたところへ、廊下の奥から彼女の父親が根負けして渋々姿を現しました。
アッと、蛍さんはまた男の人に向き直り、素知らぬ顔でにこやかに目の前の男の人に話しかけました。
「おじさん面白ーい。」
キャッキャとこれ見よがしに高笑いの声等立てて、父の気を引こうという構です。
男の人はあからさまな蛍さんの行動に、苦笑いどころではありません。
「あなたそのお年でもうそうなの。」
と、これはこれは、と大受けしてはははとお腹の底から笑い声を立てるのでした。
おじさん、凄い、ホーちゃんに合わせてくれるんだ、よく私の気持ちが分かるわねと蛍さんは思いました。
「おじさん、子供の気持ちがよく分かるんだね。」
蛍さんは目を輝かせて、本当に感心してしまいました。凄ーいと拍手喝采!大絶賛していると、
かっかと頭に来た父に抱き上げられて、ぺんぺんとお尻を叩かれてしまいました。
痛い!
「お父さん、行き成り何するの、人の前でお尻を叩くなんて。ホーちゃん何も悪い事してないのに。」
すかさず蛍さんは父にぶうぶう抗議をしました。
「酷いじゃない、知らないおじさんの前で恥ずかしい。」
私は女の子なのよ、それなのに人前でお尻を叩くなんて、お父さん謝ってよ。そう言う蛍さんに、
「謝るのはお嬢ちゃんの方だよ。」
迎えに来たお父さんに心配をかけてと、おじさんは険しい顔で怒りました。
えーっと、蛍さんは驚きました。おじさん私に調子を合わせてくれてたんじゃないの、行き成り怒って父の見方をするなんて、
彼女にするとおじさんの言動の理由が全く分からないのでした。