Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダリアの花、142

2017-04-19 22:49:35 | 日記

 父が茶屋に入って行くと、残っていた男の人はやれやれと溜め息を吐きました。緊張が緩んだのでしょう。

蛍さんに、

「じゃあ何処にも行かないで、ここでおじさんと一緒にお父さんを待っていようね。」

と言うと、ベロベロバーとか、ひょっとこ、とか言って、口をとがらせて見せたり、非常に面白い顔をして見せてくれたりするのでした。

「ははははは、いやあ可笑しいねぇ。ははははは、あら可笑しいわ。」

そんな自分を見た第三者の反応なども面白おかしく口真似などして、如何にも愉快だという雰囲気を作り上げてくれました。

 こんな風に、暫く山門の所で男の人が蛍さんをあやしていると、先ほど最初に本堂を見に行った男の人がバタバタと帰って来ました。

酷く慌てています。蛍さんを気にしてちらちら見ながら大変ですと言うと、そこにいた男の人の耳元に何やら囁きました。

兎に角こちらへ来てくださいと、蛍さんから離れた場所まで男の人を連れていくと、2人でひそひそと話を始めました。

 「何と本堂の中に人がいました。子供です。男の子と女の子です。女の子はあの子です。」

そう言って、蛍さんの方を見て手でそっと彼女の方を示しました。

えっと、話を聞いた男の人は驚きました。子供まで、あの人の子供まで2人いるというのかい。そう言うと、はてさてと、

これは困った事になったものだと考え込んでしまいました。

 こんな年端も行かない子供のスパイという者がいるだろうか、そう呟くと、今来た男の人が、

「いや、幼くてもくノ一の様に修業を積んでいるのかもしれません。」

内心冗談めいて、表情など全く変えずに真面目に意見を言います。

「うーん、そう言う事が、…無きにしも非ずかなぁ。」

意見をわれた男の人は、そう言って顎をしごきながら俯いて考え込み、ふと目を上げてそう言った男の人の真面目な顔の表情の中で、目だけが笑っている事に気付きました。

それで一寸眉をしかめて、

「君の今の言葉は冗談だね。」

と言うと、本堂から来た男の人はクスリと笑うと、分かりましたか、と、目の前の男の人から顔を背けて、ぷっくくくと笑いだすのでした。

 「いやぁ、申し訳ありません。笑い事ではありませんでしたね。」

そう笑っていた男の人は言って、真面目に考え込んでいた男の人に謝ると、

「それより、何処に空間と時間の繋ぎ目が出来ているのか早く探さないと。」

と言うのでした。

「えっ?時間もかね。」

蛍さんと居た男の人は驚くと同時に、それは深刻な事態だと、事の急を悟るのでした。

 

 


ダリアの花、141

2017-04-19 22:40:02 | 日記

 そこで彼女は、

「その人なら、お父さんに似た人なら、あっちの下のお店に行ったよ。」

そう言うと、彼女は男の人が行った店を指さして、彼がそこへ行く前に口にした言葉を、そっくりそのまま真似して話すのでした。

 「ほー、すると向こうの世界にもこの寺と同じ寺や、参道の入り口の所に茶屋が有る訳だ。」

「それで、茶屋も久しぶりと言って、寺より先に茶屋へ行ったのかい。」

渋い顔で父が言いました。語気にはムッとした不快感が漂っていました。

まあまあ、と、父の横にいた男の人は言います。

「一喋りというからには話好きな人なのでしょう、あなたに似て人好きのされるお人なのでしょうな。」

笑いながら父に似た人を取り成すようにこう言うと、父は横にいた男の人のこの言葉に機嫌をよくしたようでした。

にこやかな笑顔を見せました。

 「確かに、私もあそこへはよく下らない話をしに行きます。あそこで話すと、店の人がうまく調子を合わせてくれるので

話が弾んで楽しいですからね。時間の経つのを忘れますよ。」

と、機嫌よく笑います。

 そうか、今回は自分と同じにそんな事を言う奴が現れたんだな。今迄が変な奴ばかり出て来たものだから、

こっちもすっかり用心してしまったが、そう言う奴なら自分と同じで結構害のない大丈夫な奴かもしれないな。

さて、ではちょっと私が茶屋へ行ってその男の人を探してきましょう。そう言って蛍さんを男の人に預けて、

いざご対面、と参道を下りて行こうとしました。

 すると男の人は、

「気を付けてくださいね、相手はまたどんなスパイか分からないのですから。」

と、彼の注意を喚起するのでした。

用心用心、用心に越した事はありませんからな。

そんな男の人の言葉を受けながら、父は自分に似ているのなら大丈夫でしょうと笑顔で返事を返すと、

足早に参道を下りて麓の茶屋へと向かって行くのでした。

 


アナログですからね

2017-04-19 22:17:22 | 日記

 実は未だに車にナビ無しで走っています。

知らない場所は東西南北を感覚で見極めて走っています。少し迷いながら、一応目的地には辿り着くという状態でいます。

だから地図は必需品です。しっかり見ながら出かけます。そんな私は地図を読むのは得意な方だと思います。