Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダリアの花、134

2017-04-13 16:54:04 | 日記

が、目の前の男性に対してきっと睨みを利かせた彼の目付きが、この場がこの儘ただで済みそうもない事を物語っていました。

 光君の祖父にしても、そう喧嘩が好きな訳ではありません。同じ世界なら彼らの息子に当たるだろう人物、

自分に背中を向けている男性の肩をトントンと叩き、一寸一寸と、

もし世界が違っても、事情が分かりそうなこの男性にこの場を何とかしてもらおうと振り向かせると、

無言の儘手で彼の注意を自分の前の男性に促します。そしてやる気満々のその父の瞳に気付かせます。

 ところが、世界が違うかもしれないこの夫婦の息子にすると、喧嘩など殆ど経験なく育ってきたものですから、

この父の目の意味するところが分かりません。『おとっちゃんはご機嫌斜めなんだな。』と感じた程度です。

まだ後ろにいた妻の方が、その場の雰囲気を敏感に感じ取ると、ここはもう自分では収まらないと判断しました。

座敷の住職さんを呼ぶべく急いでこの場を離れて行くのでした。

 これは困った。光君の祖父にすると、頼みの綱の奥さんに去られては万事休すといった面持ちでしたが、

不思議な事に丁度よい塩梅で、去っていく母の跡を慕い、アッと若い男性が2、3歩前に出て来ました。

父と光君の祖父の間に割って入った物ですから、

ガツン!

と、思いっきり父の拳がこの息子の頬に命中したのでした。

  はあ、やれやれ、光君の祖父は一仕事終えて本堂の中央入口、敷居に腰を掛けると思い切り一息吐いて、ほっと安堵の表情を浮かべました。

親子で大変だったなあと、大の大人2人の大喧嘩に巻き込まれて、住職さんも加わって組んず解れつの大乱闘の末、

今は静かに静まり返った本堂で、こうして1人寛いでいると眼に映る青々した草、匂ってくる草いきれに、

『夏草や強者どもが夢のあと』と呟いてみるのでした。

   夏草か、夏草、夏、季節は夏と、連想して来て彼はハッとしました。

今何時だろう。?

日差しはかなり緩くなり夕刻の近いことを告げているようです。

五月にしてはこの暑さは気だるい暑さです。また、墓所は花や蝋燭、線香が溢れています。

振り返って本堂の鴨居を見上げると、見慣れた燭台が綺麗に吊り下げられて夜の出番を待ています。

もしかすると、これは、彼は元の時代に帰って来たのでしょうか。


ダリアの花、133

2017-04-13 11:43:57 | 日記

夫の方はまだむっすりとして、謝罪の件は承知していない様子でした。

が、妻に住職さんからも言われたでしょうと、きつく諭されると、仕方なく、住職さんに言われたもので、と、

妻の前までやって来ると、はにかんだ様に光君の祖父に言うのでした。

 そこでさっき争った男性とはまた別の若い男性がもう1人いるのを見ると、

これは2対1、多勢に無勢という恐れを感じたのか、やや怖気付いてしまい真顔になりました。

妻にほらと袖を引っ張られると、しぶしぶ用心しながら、先程は申し訳の無い事でした。と謝罪の言葉を並べるのでした。

 ここに及んで、若い男性は何故光君の祖父の頬が赤いのかが理解できました。

ここが殴ったの?と光君の祖父に訊いて、そうだという答えを聞くと、えーっとばかりに驚きます。

『あのおとっちゃんが暴力を揮うなんて。』と絶句しました。

何しろ彼の父は、彼ら兄弟が幼い頃から、暴力は決して揮ってはいけないと輸し、

常日頃から何か兄弟間で争い事があると、相当な剣幕で叱責し罰なども課してきたのでした。

それで、自分はもとより亡くなった兄達も、非暴力を肝に銘じて育って来たのでした。

 『信じられない!』おとっちゃんが、あの乱暴に対しては酷く五月蠅くて、仕様が無かった内の父が…と、

彼は皆に背を向けると頬に手を当て、降って湧いたような突拍子もない出来事に、

えー、えーと、呆然自失の体で驚きの言葉を呟くのでした。

 そんな彼の様子に、あちらの若いのは私に怖気づいたなと感じると、目の前の対戦相手が1人減ったというこの好機会に、

さっさと嫌な要件は済ませて妻と共に座敷に引き取ろうと、夫は光君の祖父にそそくさと頭を下げて謝ると、

さあもう行こうと妻を促します。妻の方は丁寧に自らももう1度頭を下げると、

これで気は済んだというように晴れ晴れとしてにっこり微笑むと、辺りの雰囲気はパッと明るく柔和になりました。

まるで朝露に濡れた華の蕾が今開花したようで、その清涼な美しさに光君の祖父は思わず見とれてしまうのでした。

 「お前、ちょっと先に帰っていなさい。」

そう夫が言うので、妻の方はまた夫が一悶着起こそうとしている気配を感じます。

共に帰りましょうと夫を案じて誘います。そして念のためと、

「また何か騒ぎを起こしたら、私は実家に帰らせてもらいますよ。」

と、そっと夫の耳元で囁きます。これには彼も一寸顔をしかめて怯みます。

 


買わないと思います

2017-04-13 10:19:35 | 日記

 わざわざグッズは買わないと思います。何となく卵料理が増えるだけですね。

お総菜売り場で卵が入った商品に、イースターシールが張られている物を、 何と無く買い込んで来るだけだと思います。

家でも、ゆで卵に食紅などでカラフルな模様を書き込む事も無く過ぎて行くでしょう。

 イースターで思い出すのが、幼少時に園などに飾ってあったカラフルな模様の卵。

着色料の臭いでしょうね、変な臭いがしたという事だけよく覚えています。皆が騒いでいました。

色が奇麗なので気に入っていましたが、私も臭いがダメでしたね。

 こんな風に、何時もイースターは、お店で売られている便乗商品の中で何時も買うような商品のシールに目を止めると、

一瞬だけ『ああそうか』と思い、一寸微笑んでカゴに入れて、お家で美味しくいただくだけですね。