キュランダ観光の順番はもう覚えていないのですが、多分昼食にはまだ少し早かったと思うので、最初に水陸両用の「アーミーダック」で、パンフレットにあった順路の熱帯雨林を巡ったと思います。
ここで思いだしてみると、レストラン内には白壁があったような気がします。全くの木造りの建物では無くて、プレハブに近い簡単な作りの建物だったのかもしれません。テレビも置いてある、日本の一般的な大衆食堂のような雰囲気だった気がします。この辺りうろ覚えで大変申し訳ありません。
「アーミーダック」について、どう説明してよいか困ります。私は初めてみる乗り物でした。アーミーというからには軍隊で使う乗り物なのかなと連想していました。連想通りに鉄の箱型の乗り物でした。四角くて厳めしい、そして飾りっ気のない鉄の素材そのものという風貌でした。軍の廃品利用かな?という感じでした。戦争の品が観光に使われるなんて平和的ですね。と、ここまでは当時を振り返って記憶を辿ったのですが、「アーミーダック」で検索すると、キュランダ「アーミーダック」の観光はまだ行われていますね、写真も多くありました。アーミー柄の観光船にタイヤが付いていました。私が乗った物とは違う感じがしますが、当時もこうだったと言われればそうかもしれないと思ってしまいます。
しっかり覚えている部分を書くと、この車で熱帯雨林を回る内に、水嵩がどんどん増して車内に入ってくるのではないかと不安になる場所がありました。運転手さんの前もっての説明でも、これから車は水の中に入るというような話で、大抵は大丈夫だが、水かさが増して車内に水が入ってくるかもしれないという説明がありましたから、進むにつれてせり上がって来る水の高さに、皆深刻な表情でドキドキしてしまいました。あと2㎝くらいで車の縁の高さに達するという深さの所がありました。車は物ともせずに静かにその儘前進して行きます。誰も何も言いませんでした。何の質問もありませんでした。もちろん私もだんまりでした。多分皆、観光車なのだから大丈夫と思っていたのでしょう。私もそうでしたが、内心はドキドキでした。
そして、深みから上がる前に差し掛かった池の端で、ジャバジャバと聞こえてくる水音に、音の辺りをふと見ると、やや不揃いな板を横に並べて堰が作ってありました。水嵩がその堤から上になると、水は溢れて流れ出て行くのです。ここでピンと来た人も何人かいたようでした。が、皆相変わらず黙っていました。案内の人もだんまりです。
要するに、その堤防より高く水嵩は増さない溜め池のような場所を車は走っていたわけです。案内の人の説明は、観光客向けのハラハラドッキリ用のスピーチだったわけです。『騙された!』と、私は苦笑いしました。水陸両用の車に乗ること自体初めて、熱帯雨林も初めての私には全てが初体験なのでした。このジョークもとても楽しい物でした。皆微笑んで苦笑いをしていました。そして車から降りる時に楽しかったー。と、言って喜んで下りたのでした。本当に楽しかったです。童心に帰った気分でした。