Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2017-11-02 20:03:31 | 日記

 お隣の御主人と一頻話したところで、話が途切れたのを潮に私は眠ることにしました。毛布をかぶって目を閉じました。

「お前、今の話を聞いていた?」

お隣のご主人が奥様に話しかける声が聞こえます。ご主人はやはり奥様に感謝してもらいたかったのではないでしょうか。

「聞こえましたよ。」

初めてと言ってもよいくらい、奥様の声がはっきりと聞こえました。それ以前にもご主人と話しておられたのですが、囁くような感じの小声でしたから、話どころか、声の質も全く私には分かりませんでした。

『熟年の婿取りさんご夫婦か。』と、私はこの言葉を思い浮かべながら眠る事に勤めていました。それまで添い遂げる婿養子さんを貰えるなんて奥様は嬉しい立場かもしれないわ、同じ立場の私はこんな風に考えながら目を閉じていました。

 メモを見ると、

「宝塚近くに住む人に2家族会う。夜眠れず朝目が疲れている。」

とあります。あまり眠れなかったようですね。もう1家族は何方だったでしょう。旅の後半に書いていただいた皆の住所録を見ると、熟年と新婚の2家族のようです。同じ県にお住まいの方々ですから。


美湾

2017-11-02 19:46:27 | 日記

 私の体調はまだ本調子とはいかないようでした。夜は十分睡眠を取った方が良いと判断してゆっくり眠ることにしました。が、調子が良くなったのか、お隣のご主人が何だか盛んに話しかけて来ます。元々どうも社交的なご主人のようでした。何しろ、機内で隣り合わせに座ってから離陸の間までの短い間に、息子さんの結婚の事やハワイでの挙式、住まいの場所など、あれこれと進んで話してくださったのです。それであの物凄い離陸に驚いて、訳知り顔なご主人に前回は如何でしたかと聞いたくらいなのですから。

 「私は婿養子なんです。」

妻が婿取りでね、というような話だったと思います。それはそれはと、跡取り娘の私は思います。

「偉いですね、お婿さんに行かれるなんて。」

と私は感心の声を上げ、今時なかなかお婿さんに行かれる方はいませんから、奥様はお幸せですね。等そんな話をしていたと思います。私は離婚したという話を伏せて、あまり自分の事は話さないようにしていました。子供がいる事は話したと思うので、両親に子供を任せて海外旅行に出てきた我が儘娘風を装っていました。


美湾

2017-11-02 09:12:02 | 日記

 水平飛行になると、もう機内の様子は落ち着いていました。体の方も楽になりました。

「良かったですね、大した事が無くて。」

私はお隣の席のご主人に話しかけました。ご主人の方は私の意見に賛成できかねたようで微笑んだだけでだんまりでした。その隣の奥様はというと、静かに目を閉じて休んでいるようでした。機内の様子を見てみると、それなりに話声はしていて、落ち着いた雰囲気のようでした。動いている人も何人か見え、私には特に大事があったようには見えませんでした。『案外酷い状態でもなかったのだわ。』と、ホッとしました。

 あまり他所の御主人に話しかけても、と、私は目の前の座席の背に挟み込んであった冊子を読んだり、テレビ画面のイヤホンを耳にして、流れて来る音声の調節をしたりしていました。飛行中は夜間に入りますから、毛布などを取り寝る準備をしていたかもしれません。目に映る機内の中には、当然かもしれませんが見知った顔は1人も居ませんでした。私はニッコリと安心しました。

 機内食については全然覚えがありませんが、朝食は出ていたと思います。スクランブルエッグでハムを巻き込んだようなおかずを覚えています。何時の機内食かわかりませんが、初めて食べた献立でしたからよく覚えています。そして、このおかずは私がこの旅を終えてから可なりの間、長期に渡って我が家の定番の朝食の1つになりました。