お隣の御主人と一頻話したところで、話が途切れたのを潮に私は眠ることにしました。毛布をかぶって目を閉じました。
「お前、今の話を聞いていた?」
お隣のご主人が奥様に話しかける声が聞こえます。ご主人はやはり奥様に感謝してもらいたかったのではないでしょうか。
「聞こえましたよ。」
初めてと言ってもよいくらい、奥様の声がはっきりと聞こえました。それ以前にもご主人と話しておられたのですが、囁くような感じの小声でしたから、話どころか、声の質も全く私には分かりませんでした。
『熟年の婿取りさんご夫婦か。』と、私はこの言葉を思い浮かべながら眠る事に勤めていました。それまで添い遂げる婿養子さんを貰えるなんて奥様は嬉しい立場かもしれないわ、同じ立場の私はこんな風に考えながら目を閉じていました。
メモを見ると、
「宝塚近くに住む人に2家族会う。夜眠れず朝目が疲れている。」
とあります。あまり眠れなかったようですね。もう1家族は何方だったでしょう。旅の後半に書いていただいた皆の住所録を見ると、熟年と新婚の2家族のようです。同じ県にお住まいの方々ですから。