9日の記述に移ろうとして、ここで、日程表を見ていて私は気付きました。8日の日の夕方はウルルの麓でシャンパンサンセットというロマンティックなひと時があったのでした。
カタ・ジュタの散策後、ウルルの壁面のくぼみや神聖な水飲み場を眺めた最後にこのシャンパンサンセットがあったと思います。これでこの日の日程は終了です。
皆でチーズ数種類の皿などを勧められながら、シャンパンのグラスを各々手に手に、夕日に映えるウルルを見て1日が終わるのです。夕映えに染まる朱色の世界までにはまだ少し間があったように思いますが、美味しいチーズに魅かれて、機嫌よく私は数枚のチーズをパクパクと連続で食べてしまいました。
このチーズの中には、よく知られているカマンベールチーズもありましたが、普通のチーズでとても美味しく感じる物が有り、私は声に出して「美味しいこのチーズ。」と言って3枚は軽く平らげてしまいました。その先は流石に遠慮して手が出ませんでした。日本のべったりとしたクリーミーなチーズとは違い、あっさりとしていてやや弾力があり、塩加減も薄めで何枚でも行ける感じのチーズでした。私の口には合っていました。
「本当に美味しかったんですか?」
とガイドさんに言われて、ええと答えた私でした。外国のチーズは美味しくないですよ、と彼女に更に言われて、「ええ、私もそう聞いています。ヨーロッパの方のチーズは日本人が食べると石鹸を食べているみたいに感じるのでしょう。」と私は彼女に応えながら、「私の口には合っていました、あのチーズ、美味しかったです。」と言い、日本人向けに改良されたのでしょうか?と意見を添えたのでした。…私の口にだけ合っていたのでしょうか?
気になって後で見に行くと、皿にはチーズが結構沢山残っていました。『残っているなら食べたいわ。』そう思いながら、『私1人がやたらとぱくつくのもねぇ…』と、名残り惜し気にはしたないと思い、それ以上チーズにおいそれとは手が出せない私なのでした。
シャンパンを飲む前に、先住民の人達の飲酒について注意がありました。アルコール類は絶対に先住民の人達に上げないでくださいという事でした。元々飲酒の習慣がない人達なので、アルコールを覚え、アルコール欲しさに犯罪を犯す例があったとかいうような事でした。
私はシャンパンは好みというものではなく、元々お酒自体嗜まない達でしたから、2口ほど飲む間に周囲の様子を見て、柵で隔てられた灌木の傍によるとするするとグラスの中身を柵の外の緑の中に滑らせるのでした。他の観光客の何人かが、やはり柵の外にグラスのシャンパンを空けていたので、私はそれに倣ったのでした。
戻って来ると、ガイドさんが「見ていました。」と言われるので、誰もいない所に空けました。私は元々お酒はあまり飲まないんです。と、言い訳めいた事を言うと、
「高価なシャンパンなんですよ。」
という事でした。申し訳の無い事です。こういうのを「猫に小判」と言うのですよね。
私にとっては飲み慣れないシャンパン、この日のシャンパンは少しとろっとした濃度が感じられて、緩めのあんかけの様な濃度です。勿論お酒の味です。果実酒なのでそうだけれど、癖の無い、甘みや酸味がきつくないゆったりしたお酒でした。実はグラス1杯空けると私は酔いそうでした。その後はバスに揺られてホテルまで帰りました。