レインフォレステーションの観光を終えて、私達はスカイレールの乗り場に来ました。これは近代的で真新しい綺麗な乗り物でした。私は日本でこれだけ綺麗なロープウェイに乗った事がないので非常に嬉しく思いました。今まで見て来た物が自然そのものに近い物ばかりだったので、町中育ちの私がこの近代的な乗り物にホッとしたのは確かでした。
私達は1台の収容人数の都合で分乗して乗り込むと、熱帯雨林の上空に向けて出発しました。下方一面が濃い緑の樹林です。日本とは違い広葉樹の日差しを返す明るい緑が多いのでしょう、密度の濃い明るい緑の葉が滴るように眼下に広がっていました。日本のように雑木が栗林していたり、整然と植樹された針葉樹のそそり立つような幾何学的な影を含んだ深緑の山々の光景とは違い、柔らかみのある樹林の風景でした。所によっては薄く筋を引いたり、やや濃い霧に覆われたように、白い靄が掛かっている樹林もありました。その深い樹林の海原の中にスカイレールを支える金属の支柱が突き刺さるように真っすぐ下りて行って、そのまま緑の波の中に消えている、その様を私は眼下に見下ろし眺めていました。
「前人未到のマングローブの森を、人の技術の進歩でこうやって見下ろしながら進んで行けるんです。」
そんな説明があり、ちょっと不思議に思った私は、
「人が行ったことの無い森の中に、どうやってこのスカイレールの支柱などの土台を気付いたんですか?」
と同行ガイドさんに聞いてみるのでした。
思った事をつい口にしてしまって、直ぐに内心少し反省してしまいました。この下は未だに前人未到の場所なんです、という説明があった物ですから、つい疑問に思ってしまったんです。
「上空から支柱を下ろして、下に誰もいなくて如何いう風に支柱を固定したのでしょうか?」
そんな事も質問してみました。これだけの土木工事を全て空中から操作するのって大変じゃないでしょうか?そんな誰もが言葉を途切らせてしまうような私の質問に、乗り合わせた誰かが、このスカイレールが出来るまでは前人未到だったという事でしょう。とぼそりと言っていました。普通そうですよね、あとは苦笑いして無言の一行なのでした。
(スカイレールのパンフレット。目に溢れる緑です。書き込んだ後気になり検索したところ、支柱の土台を組みに人々は歩いて工事現場まで行ったようです。資材は空中からヘリコプターなどで運び、樹林がヘリコプターの影響を受けないように高さやプロペラの風圧等にも気を使ったそうです。工事前後で支柱の周りの自然の状態が、全く同じ状態になるように元に戻されたそうです。その為環境や樹木など、相当研究したり保全に力を入れて気配りされたようです。工事前後で樹林の様子が全く同じ状態に保全されているので、現在でも前人未到の時と同じ自然の状態である。そう言う事を強調されたかったようです。熱帯雨林は今も前人未到の人の立ち入らない時の姿をしているという事ですね。世界的にも非常に素晴らしいですね。)