結局、私は何もする事なく、そのままさり気なくスーパーマーケットから出てきました。私は非力です、何だか目頭が熱くなってしまいました。しかしどこで誰が見ているか知れません。もし私が沈んだ表情で歩いていれば、スーパーで何かあったと思われます。それがスーパーで見た彼等のせいだと思われ、彼らに何かあってもいけません。そう思い直すと、私は何事もなかったように微笑みました。気持ちを切り替えて観光を楽しむ観光者然として、帰りかけていた歩を変え、目に着いた建物の寄り集まる方向へと向きを変え、その道を進んでいきました。
そこは飲食店の建物が寄り集まっている場所でした。ちらちらとそのお店を覗いて、私は空腹を感じて軽食を扱うレストランに入って行きました。ドリンクやピザなどがメニューにあるカフェに近いレストランでした。
注文のカウンターには若い女性が控えていました。メニューを見てピザを選び、その中からマルゲリータを指差して、This, please.と言うと、彼女はピザ・マルゲリータと本場らしい発音をして確認してくれました。私にはその発音がすぐには真似できませんでしたが、その言葉の雰囲気は分かりました。直に本場の発音に触れる事ができるのはとても嬉しい事でした。
(リゾートガイド、私が行ったお店もこの中にあるのかもしれません。当時は建物自体少なく、ホテルを出ると見晴らしのよい荒野状態で、道を辿るとゲート、ゲートの道を進むと、リゾートのモール、何処を歩いていても、高い場所からなら案外人の流れや動きが把握できるような見通しの良さがありました。平地では建物が邪魔になり、それなりに見通しは利かないのでした。)